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18、ブリュッセルにて


逃亡計画が失敗に終わったフェルセンはまだ諦めてはいませんでした。





フェルセンが逃亡計画の首謀者であることはすぐに知れ渡り、指名手配まで出されることになります。


逃亡が失敗に終わりテュイルリー宮に戻った後、国王と王妃は厳重な監視下に置かれました。
その数日後、フェルセンはアントワネットから手紙を受け取ります。

私はあなたを愛していると伝えることができる機会を利用しています。そしてそれが実際に私ができる唯一の事です。 私は大丈夫です、私のことは心配なさらないでください。 あなたもご無事であることを祈っております。(…) さようなら、殿方の中で最も愛され、そして私を愛してくださったあなた。 心からの抱擁をあなたに送ります

アントワネットはフェルセンの身を案じていました。



フェルセンはフランス王室を、特に王妃を救うことを諦めていません。

スウェーデン国王グスタフ3世もまた同様に、友好的なフランス王室を救済したいと考え全面的な援助を約束しており、具体的な救出計画を考えます。
フェルセンはその計画を伝えるべく再びパリへ向かう決意をします。もう一度アントワネットと会い、話し、共に過ごしたいとも考えていました。

しかしアントワネットはフェルセンに忠告しました。

あなたがここに来ることは決して望んでいることではありません。あなたがパリに来ると私たちの安全が危険に晒されてしまいます。私の言うことをどうか信じてください。あなたに会いたいと強く願っているのはこの私なのですから

それでも最終的には彼がパリに来ることを許可しています。


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ブリュッセルにいる間のフェルセンは、毎日エレオノールの元に通い続け共に食事をしていました。
この2人の関係はブリュッセルのサロンをこえて一般的に噂されるようになりました。

フェルセンの妹ソフィーはこのことに関して、

もし彼女(※アントワネットのこと)がこれらの噂に気づいたら、その愛ゆえにとてつもなく深い悲しみを味わうかもしれません。 誰もがあなたの行動を観察し、あなたのことについて話しています。 不幸な女性である彼女のことを考えて、彼女にこのような耐え難い苦しみを与えないでください

と兄を非難する手紙を送っています。


その一方でパリでは王妃と革命指導者の一人であるバルナーヴに関する噂が広まっていました。
フェルセンがパリ行きを決意したのには、バルナーヴに対する嫉妬もあったようです。


フェルセンは極秘でフランスへ赴く準備を始めます。





フェルセンはテュイルリー宮で監視されていたアントワネットと書簡を送り合っていました。それは暗号や特殊インクを用いて書かれたものも多いです。

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