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2、そもそもフェルセン家とは?


さて、前回はフェルセンの家族についてお話をしました。
ここでフェルセン家についても軽く触れておく必要があります。一体どんな家系なのでしょうか。





フェルセン家はドイツ系貴族で、13世紀頃にポメラニアに出現した後やがて北に移動、16世紀にはエストニアに広まり、17世紀にはスウェーデンに定住しました。

一族は1674年に男爵の称号を、1712年には伯爵の称号を授与されました。



中世の猛々しい戦士たちがフェルセン家の祖先です。
また彼らの先祖の中には、元帥、大臣など高官職の者が多くを占めています。

宮廷やリクスダーグ(議会)、さらに軍を率いる長の中には常にフォン・フェルセンの人間が姿を見せていました。
各世代においてフェルセン家の何人かは、多かれ少なかれ王族と個人的に親密な関係を持っていました。

その例をいくつか挙げてみます。

アクセル(このお話ではハンス・アクセル・フォン・フェルセンのことを「アクセル」と表記することがあります)の母は、グスタフ3世が王太子だった頃に求愛されたことがあるようです。



また、グスタフの末弟フレドリク・アドルフはアクセルの妹ソフィーと従姉のウルリカに求婚したことがあるようですが、どちらも成就しませんでした。

余談ですが、そのウルリカは妹のアウグスタと共にセルゲルという彫刻家のモデルとして奉仕しました。宮廷の中で2人はその美しさから「三美神」と例えられました(後の1人はロヴィーサ・マイヤーフェルトという女性です)。




フェルセン家は日常的にフランス語を使用していました。家族や友人の間で──相手が国王でも──フランス語の書簡が交わされたほどです。
ちなみにアクセルはスウェーデン語とフランス語を含めて5ヶ国語を話すことができました。


また、フルートとチェンバロを演奏することもできます。




アクセルの幼少期はほとんど明らかになっていませんが、恵まれた環境にいて、教育を受けながら幸せな子供時代を送っていたようです。
そして彼は周りが自分に何を期待しているのかをよく理解していました。





これからいよいよハンス・アクセル・フォン・フェルセンの人生が幕を開けます。

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