担当顧客3倍、繰り返し罵倒・・・JTB元社員が「パワハラ」訴え 会社側は棄却求める

上司に多すぎる業務量を押しつけられたうえ、繰り返し罵倒されたとして、JTBの元社員が会社側を相手に起こした裁判が10日、大阪地裁で始まりました。

 訴状によりますと、大手旅行会社JTBで企業向けの営業をしていた元社員の男性(37)は4年前、担当する顧客の数が同僚に比べて約3倍と多く、業務の負担が大きいにもかかわらず、新規の顧客を得る営業をするように上司から強く求められたと訴えています。

男性が現状では新規の営業はできないと相談すると、「できないと言い訳するな」「お前は元々できない子なんだから」などと、人格を否定する言葉で繰り返し罵倒されたとしています。

その後、男性は不眠や呼吸困難などの症状が続いたことで適応障害と診断されました。

男性は、JTBと当時の上司を相手取り慰謝料など約270万円の損害賠償を求めて提訴し、10日に開かれた裁判で「原告に対して過大な要求を行い、心理的負荷を蓄積させたことは明らか」と訴えました。

一方、JTB側は、原告が担当していた顧客の数は多かったものの、それぞれの仕事の負担は小さな顧客だったので業務量は適正だったと反論。

人格を否定する発言もなかったとして、訴えの棄却を求めています。(ABCニュースより)


このニュースを見て思ったことと、旅行会社の体質について書いてみたいと思います。
世間的にJTBやKNT、HISなど旅行会社は就職希望ランキングでも上位に入り、華やかな印象を持たれると思いますが、実態は大きく違います。
実際は、徹底した新規営業のノルマ、顧客のクレーム対応、煩雑な手配業務に追われて、時間がいくらあっても足りない膨大な業務があります。それでいて、手数料商売で今はインターネットで仕入れ価格もスケルトンの状況のため、クーポン発券による手数料以上の利益を乗せるのが難しい時代になっています。
JTBなどは1兆円企業と言われますが、利益は10億も残らないような薄利多売でビジネスしている業界です。
そうなると当然ですが、営業ノルマを口うるさく言われ、経費削減に走ります。
JTBのような大企業では、支店長、業務課長、営業課長、リーダーという徹底した縦割りの組織のもと、営業成績だけで社員の能力を判断されます。中間管理職であるリーダーや課長は、部下の営業成績がそのまま自己の評価になるため、パワハラに近い恫喝や指導が当然多くなります。支店長も同様で、本社、営業本部からの予算達成ノルマに自分の人事が大きく左右されるため、当然支店内は数字至上主義になります。
このような体育会の体質はJTBに限らず、他の大手旅行会社も同様です。
私はこのような労働集約型のビジネス構造に疑問を持ち、他者との差別が金額面でしか差別化できない代理店ビジネスに成長性を感じず、旅行会社を辞めようと思いました。
コロナ禍で会社の存続すら危うい状況が、もうしばらく続くと思いますが、このようなパワハラ事案は叩けば、いくらでも出てくると思います。会社が原告の訴えを否定しているのも、見苦しくどうしようもないなと思ってしまいます。

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