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脳科学と三途の川

母は、三途の川を三度見ている。私の知っている限り。

一度目は、全身火傷を負った時
二度目は、肺炎で二日間朦朧としていた時
三度目は、今回転倒して頭を打ち、認知症症状の一つなのか
嫉妬の感情に任せて暴れていた頭の中で見ていた出来事だ。
現実では暴れて動いているのに、頭の中では穏やかな別世界で過ごしていた。
(ちょうどTVでエヴァをやっていたので、頭の中にカノンが流れて仕方ない)


そんなこんなで認知症症状なのか、はたまた別の症状なのか
母を父から離して自分の家で世話しながら、それまで先生とコミュニケーション取れていなかったと思われる病院検査などに通い、苦手なコミュニケーションを自己流で切り抜けながら、一か月一緒に過ごしていた。

母の頭の中の話が興味深すぎて、現状把握するための聞き取りも時間がかかった。
なんせ突然『思い出した』と夜中にしゃべり出す。
認知症に関して勉強不足なため、レム睡眠中の情報処理みたいだな…
くらいの発想しかできず、わかる範囲で自分も情報処理をしている状態。
母の脳の中で一体何が起こっているのだろう。

こちらから話した内容、その日やったことによって記憶が呼び起こされるのか
話した内容がカウンセリングになっていたのか、私には判断がつかない。
『きっとプロの精神科医ならもっと明確に診断するはず…』と、知識不足を感じながら、
勉強する時間や本をめくる時間も取れないまま、見守った一か月。
得られたことは僅かだけど、できることはいつも通り傾聴と、できる限りの要望に応えることだけだという思いに至った。

元々身内に霊感がある人がいて、母はその手の番組も大好きで見てきている。
ちなみに私は霊感が全くないので、科学的にこうかもなと思っても、
身内や知り合い、よく知っている人が言うことは丸っと信じる。
(見えないものを証明することは難しいし、その人の世界ではそう見えている、知らない世界を否定することは困難だ。)

初めて読んでいる方には何のことやら、わからないと思いますが
我が家で必ず障壁となる【宗教×スピリチュアル×素直】なあの人(父親)にとっては、
脳科学と霊の世界が入り混じって、コンボとしか言いようがない大混乱な状態となっているようで
私が言うことも、
母の、目に見える人が誰も彼も身内や知っている人にしか感じられないのも、不思議で理解しがたいことのようです。

『変』とは聞いていたけど、認知症を疑っていなかったことが驚愕でした。
CTは撮ったと聞いていたので、『大丈夫だった』というその言葉を鵜呑みにしていたのですが、実は所見では兆候ありだった。(今回画像と診断結果を父からもらった)

今年に入り、コロナ自粛によるZOOMが原因で、母が認知しなくて済んでいた父の宗教仲間とのやりとりを目の当たりにしたり
差し入れしてくる女性とのやりとりを見たりして、嫉妬心に火がつき我を失っていったらしい。

落ち着きを取り戻してから『それからおかしいんだよ』と言い
転倒してから記憶に違和感を感じるようになったと言うので
いくつかストレスが重なって発症したのではないかと思っている。

父とまともな会話ができないことの一つとして
都合が悪くなると(自分の理解できない範囲の持論をこちらから伝えると)
聖書に書いてあると言い、こちらの意見を全面否定して譲らなくなる。
(信仰が揺らぐほどのことでもないだろうと思うので、私を否定することで自分の中の葛藤を紛らわせているのだと思うけど、時間が余計にかかって面倒なので、本音を言えば外して進めたい)

そんなわけで
悪魔や霊の所業としか思えないのか、あの人にとっては大変混乱した局面に立たされているようだ。
(個人的には現代版訳聖書を出してくれたらいいのにと思う。漫画やアニメならいくらでもありそうだけど)

私としては、母の【誰もが見たことがある人に見える】状態は、
会いたい人や気になる相手を思い浮かべているからで、
窓から眺めて、通行人の性別・姿が似ているとそう見える
見当識障害が起きている状態だと推測している。
『あぁ今この人のことを考えてるんだなぁ』
『そいつが嫌いなんだなぁ』
というのが駄々洩れ状態なのだと思っているので、
そうなった時は、『違うよ』と言うと納得し
『今何してるかねぇ』と話を逸らしたり
嫌いな相手なら、話を合わせて一緒に文句を言ったりすると満足する。
あとは外に出て散歩。息が詰まるとはよく言っていたので、頭の中では色々なことに考えを巡らせているのだと思う。
それは、私もよくあることなので、一緒に散歩に出て頭をリフレッシュしていた。

父に関しては、それができずに
『何でそんなことを言うんだ!おかしい!霊の仕業か!?』で立ち止まっていた。
危機的状況で、そういうパニック状態なのは理解できるけど
素直な割には私の言葉は、上から目線と信じない。
なので、自分が尊敬できる人、介護をしているという宗教の仲間、自分で勉強するでも何でもいいのだけど、聖書以外のものに頼ってほしい。
そして、早々に『ヘウレーカ!』とガテンしてくれたらと切に願う。

うちに来るまでの間
母は、なかなか信じてもらえず同意も得られなかったのか
『私の頭の中だけのことかもしれないけど…』と言いながら
思い出したと言って話してくれた。
正気と混乱の狭間。完全否定は切ないぞよ…。

認知症、勉強不足ですが
母は、混乱している時の記憶があるんじゃないかと思う時があって、
そうなると本心を隠すので、後から聞き出すのは少し手間がかかるのだ。
後からでも、話しやすい関係でいなければ。
母が諦めて殻に閉じこもり、どんどん遠くに行ってしまうのだけは避けたい。

ひとまず
言葉は悪いけど、父本人が混乱している状態を『ザマァミロ』と思いながら
母も最悪の錯乱状態は脱して、福祉の方々の手を借りながら見守るくらいの余裕は出てきました。

私も専門的な所はまだまだわからないままだけど
自分の世界観を壊せず、まともに相手に向かっていこうとするのは
介護してもらう側としても、自分自身もしんどい。
反面教師として、私自身はあの人がいてよかったなぁとは思うけど。
それでも父の元に戻って行った母の覚悟は、やはり伊達じゃないな…と
感嘆とともに頭を抱えるけど

何とかせねばな。

好きなものや思うことを遠慮せずゆるっと出していきたい。しゃべると長くてすみません。2021年はイラストもゆるゆると楽しんでいこうと思ってます。いいねを押すと絵がランダムに出ます🌸