NHKマイルC

東京5週連続G1のマイル初戦。
短距離質の参戦も目立つ3歳のマイルG1らしく、古馬G1よりも速いテン3F。その分、差し決着になりやすい。1000m57~58秒台の追走耐性に33秒台のキレが欲しい。

NHKマイル   34.0-23.6-34.7=1.32.3
ヴィクトリアM 34.2-23.2-33.9=1.31.3
安田記念    34.5-23.1-33.9=1.31.5


序~終盤1F平均
白:レース、緑:勝馬

勝ち馬は、1000m通過57~58秒の逃げ馬から3馬身ほど離れた位置で、11秒台で追い上げ、34秒前半で差し切る。前傾で差しが効きやすいレースですが、脚が遅すぎると差し損ねてしまう。勝つためには、テンから一定の持続力と適度なキレがほしい。

レース平均     34.2-23.6-34.6
ダノンスコーピオン 34.7-23.2-34.3
シュネルマイスター 34.9-22.7-34.0
ラウダシオン    34.3-23.8-34.4
アドマイヤマーズ  35.0-23.5-33.9
ケイアイノーテック 36.0-23.1-33.7
アエロリット    34.8-23.2-34.3

シュネルマイスターやダノンスコーピオンは後方差しのイメージですが、ラップ的にはアエロリットと変わらないのが面白い。



ーーーー 前哨戦

〇サウジアラビアRC

白:過去平均、緑:結果

黄色:皐月賞平均

早期デビュー組の王道2歳重賞。
例年よりは緩急の効いた構成で、ラスト1Fの維持が魅力。本番はさらにテンが速く、終いがタフになるため、レースを重ねて経験を積みたい。

過去(白) 35.8-23.9-34.4=1.34.1
結果(緑) 34.9-24.3-34.2=1.33.4 (ク9.6)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


△シンザン記念

白:過去平均、緑:結果
黄色:皐月賞平均

テン3F34.3は、2010年以降の京都良馬場開催では最速。
そんな激流の中、この開催の芝の緩さが加わって、珍しいハイペース持久力戦。17番人気の最後方追い込み馬が馬券に絡む差し決着。同日2勝Cとは0.8秒速い結果だが、ハイペースに引っ張られたもので過信禁物。

過去(白) 35.2-24.4-35.3=1.34.9
結果(緑) 34.3-24.1-36.1=1.34.5 (ク9.3)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


〇クイーンC

白:過去平均、緑:結果
黄色:皐月賞平均

中盤厳しくも、終い耐えきるハイレベル戦。
勝ち馬は、クイーンCの結果で指標となるG1馬条件をクリア。

▼指標1:中盤2F+終盤3Fが全て11秒台
メジャーエンブレム(NHKマイル)
アカイトリノムスメ(秋華賞)
クイーンズウォーク

▼(参考)指標2:ラスト3Fが33秒台
ヴィルシーナ(ヴィクトリアM)
クロノジェネシス(有馬記念他)

全体時計は、メジャーE・アカイトリノMの同条件2頭よりは0.5秒程度の高速馬場。例年、同週2勝クラスと比較して0.x秒上回る程度が多いですが、今年は1秒以上の差があった。

過去(白) 35.0-23.8-35.1=1.33.9
結果(緑) 35.4-23.3-34.4=1.33.1 (ク9.4)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


〇桜花賞

白:過去平均、緑:結果
黄色:皐月賞平均

ハイレベル阪神JF連対馬のワンツー決着。
全体時計は、21年以来の11秒台連発ラップで、前日阪神牝馬Sを0.8秒上回る好タイム。NHKマイルCで求められる構成とも酷似していて、2歳冬から近いラップで走れていた2頭の強さを改めて示す結果に。

過去(白) 34.5-23.7-34.1=1.32.4
結果(緑) 34.5-23.6-34.1=1.32.2 (ク9.3)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


✕NZT

白:過去平均、緑:結果
黄色:皐月賞平均

含水率が高く芝の塊が飛ぶ、荒れ馬場。
にしても、急な下り坂でテン3F36秒は遅い。逆に、中盤は引き締まりながらも隊列は維持されての持続戦。例年以上に本番とは真逆の質に。

過去(白) 35.0-23.9-34.7=1.33.6
結果(緑) 36.0-22.9-35.5=1.34.4 (稍:ク9.3)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


✕アーリントンC

白:過去平均、緑:結果
黄色:皐月賞平均

見事なW型瞬発力グラフ。
歴史的なスローで再現性が低く、レース価値が低め。

過去(白) 34.7-24.3-34.7=1.33.7
結果(緑) 35.8-25.1-33.2=1.34.1 (ク9.4)
本番(黄) 34.0-23.6-34.7=1.32.3


まとめ

阪神JFのレベルの高さと、アーリントンCの異常さと、心強さと。


ーーーー 出走馬考察

【B+評価】ダノンマッキンリー S

モーリス × Holy Roman Emperor(愛/短) × Diesis(英/短)

重賞レベルの秋明菊賞・ファルコンS勝ち馬。
かかる馬。
それでも、中盤が11秒台前半で速い秋明菊賞とファルコンSは好走。11秒台後半で遅い朝日杯・クロッカスは凡走。スプリントのような前半から飛ばし続ける質なら、なんとか折り合えて末脚に繋げられる。

母系が欧州スプリンターで固められていて、血統的にも本質は短距離。今回は、いかにテンが流れやすいレースとはいえ、この馬が好走してきた質よりはスローなので見送り。


【A-評価】ノーブルロジャー SCM

Palace Malice(米/ダ/マ) × More Than Ready(米/ダ/短) × Kris S.(米/ダ/マ)

シンザン記念勝ち馬。
本質が分かりづらい戦績で、超スロー→ハイペース→重馬場をすべて連対。新馬→シンザン記念で4秒以上速いペースに対応したり、毎日杯でべラジオボンドを差し返したり、1戦ごとに驚きを与えてくれるGoodホース。

王道路線に戻ってきたときにどんなパフォーマンスをするか、期待感とまとまり感。


【A-評価】ディスペランツァ SL

ルーラーシップ × Medaglia d'Oro(米/ダ/中) × Danehill(英/短)

アーリントンC勝ち馬。
歴史的スローを中団外から差し切ったのは価値がある。ただ、いまだ1000m通過60秒を切ったことがないのんびり屋さん。500kgを超える父譲りの雄大な馬体ゆえ、ズブさとパワーがそうさせる。勢いに乗ってからのトップスピードと持続力は魅力で、差しが決まりやすい展開なので3着候補。


【B-評価】イフェイオン LS

エピファネイア × ゼンノロブロイ × Kendor(仏/マ)

フェアリーS勝ち馬。
血統や走法の印象に反して、スタートはそれなりに速く12秒台中盤。ただ、上がりは、直線平坦な京都を含めても全て34秒台の低速持続タイプ。父も母も体力型で固められて、如何にもキレ負けしそうなタイプ。なんとか桜花賞のハイレベル経験を活かしたい。


【B-評価】ボンドガール S

ダイワメジャー × Tizway(米/ダ/マ)  × Malibu Moon(米/ダ/短)

伝説の新馬戦勝ち馬。
重賞の2戦は大きく口を割りながらも、連対できるほどには能力がある。ただ、目標にはもう半歩レベルアップが必要。加えて、かかる課題は残したままで、優しい鞍上の継続騎乗の赤オッズは相当渋い。前走は、桜花賞の抽選対象でG1仕上げ。半年ぶりの実戦で-4kgもとても印象が悪い。


【B-評価】ロジリオン M

リオンディーズ × Pyro(米/ダ/マ) × Silver Hawk(英/中)

可もなく不可もなく、父のような狂気もなければ、日欧米で纏められた戦績もまとまった70点ホース。前走のドン詰まりで人気急落なら3着に…。


【C評価】チャンネルトンネル M

グレーターロンドン × Henry the navigator(英/マ) × Cozzene(米/マ)

ジュニア→スプリング→アーリントンで微妙な展開負け3連発。ただ、シックスペンスしかり・ディスペランツァしかり、重賞を勝つ馬はそんな逆境も超えていくわけで。


【C評価】エンヤラブフェイス SL

エイシンヒカリ × Devil's Bag(米/ダ/マ) × Niniski(愛/長)

位置が取れない・上がりが使えないだと、G1で好走は難しいかな。


【B-評価】キャプテンシー S

モーリス × ステイゴールド × Numerous(米/ダ/マ)

ジュニアC勝ち馬。
年明けの中山は高速馬場で、舞台適性が完璧なところを逃げて圧勝。前走のリズム崩壊を立て直しにくい。時計優秀なジュニアCの再現でどこまで、と。逃げたい馬に継続ミルコは…ね。


【C評価】ウォーターリヒト LC

Drefong (米/ダ/短) × ヴィクトワールピサ × サクラバクシンオー

気持ちは前向きだけどスタートは遅め。
未勝利からシンザン記念の距離短縮がいい活性になって、きさらぎ賞では重賞連対。
なんだけども、次走で超スローのスプリングSを最後方の脚余しで極上のリズムは終了。今回2度目の距離短縮も、前回とは追走リズムが雲泥の差。再度リズムの時かもしれない。が、頭まではみれない。


【C評価】アレンジャー L

リアルスティール × ネオユニヴァース × Lyphard(仏/マ)

脚長で身体を大きく見せる走り。
近走は全てペースに恵まれて、かつ内枠の最短距離。それでも勝ちきれない。


【B評価】ゴンバデカーブース LC

Bricks and Mortar(米/中) × ディープインパクト × Loup Solitaire(仏/マ)

新馬戦は、2歳6月で1000m通過が60.1。これはグランアレグリアのレースに次ぐ史上2番目の速さで、緩みすぎないラップを好タイムでまとめた。続くサウジアラビアRCは、同じ1000m通過で上がりを1秒縮めて成長を見せた。そこからの3戦目。

ホープフルは熱発、年明けは喉なり手術に爪の治療で、いまだ完全じゃない状態。加えて、プリンシパルと両睨みで、とにかく臨戦がゴタゴタ。そんなこんなで、緩いレース経験のみ、少頭数経験のみ、揉まれ弱くて極端な戦法の経験のみ。


【B-評価】シュトラウス S

モーリス × アドマイヤベガ × Topsider(米/ダ/短)

東スポ杯の勝ち馬。ただ、レースレベル微妙。
朝日杯で抑えられず逃げ。レース単品でみて暴走させるのは簡単だが、成長期の学習面においては最悪。ファルコンで北村騎手になっての再教育中。レース云々の前に自分との闘い。


【S評価】アスコリピチェーノ LM

ダイワメジャー × Danehill Dancer(愛/短) × Sadler's Wells(愛/中)

阪神JFレコードホルダー。
阪神JF時点で桜花賞並の好時計。阪神JFは短距離馬が多く参戦し、前傾になりやすいレースで、ラスト1Fで大きく失速するのが通例。今年も序盤も中盤も締まった流れの中、この馬はラスト11.5でまとめられた。

ダイワメジャー × 欧州血統で、パワーと持続力が持ち味。同系には、レシステンシア・セリフォス・メジャーエンブレム・アドマイヤマーズがいて、NHKマイル好相性。10秒台のキレよりも、11秒前半を維持する持続力で勝ってきた。桜花賞は熱発に+10kgで上昇の余地あり。阪神JF同様、前傾になるこの舞台なら当然中心。


【B-評価】マスクオールウィン SL

Drefong (米/ダ/短) × ハーツクライ × Spirit One(仏/マ)

フェアリーSはハイペースを最後方から展開向いて2着。桜花賞は総合力が問われ後方から惨敗。父の前向きさを母系の体力が補完するが、前に行きたい気持ちをボテッとした身体が邪魔をしてる。


【A-評価】ジャンタルマンタル S

Palace Malice × Wilburn × Tomorrows Cat (すべて米/ダ/マ)

完成度が高く、馬体をスラっと見せて高貴な走り。
ダノンプレミアムのイメージ。米国ダートマイラー血統で固められた前向きな気性を武器に、立ち回り力と加速力でG1を制覇した。
共同通信杯は、初輸送・G1馬の前哨戦仕上げ・超スローでかかりっぱなしの三重苦の中、上がり32秒台2着にまとめる力を見せた。皐月賞は、苦→楽の舞台で、高速馬場も味方した。4角はワクワクは今でも忘れない。
終いはしっかり減速するタイプで、差し有利のレース質でどこまで耐えられるか。


【C評価】ユキノロイヤル SL

ディーマジェスティ × タイキシャトル × ホリスキー

令和の時代に昭和を思わせる古き良き血統構成で、上がりのかかる競馬で良績。テンも抜けて速いわけじゃない。


【B-評価】アルセナール L

エピファネイア × ダイワメジャー × French Deputy(米/ダ/マ)

クイーンC2着馬。
内容は良くて、新馬戦よりも3秒以上速いペースかつ不利もありながら、新馬よりも速い上がりが支えたのはいい成長曲線。ただ、加速に時間がかかるタイプで、ラスト1Fでようやく最高速に向かって伸びていく重い馬。ゴール板通過後のタイムアタックなら世代No.1。


隊列想定

近走1F実績

先行勢多数に見えるけど、スタート普通の馬と脚の遅い馬の集まり。
内からノーブルロジャーやイフェイオン、中外からスタート下手なミルコのキャプテンシーと割と鈍足のユキノロイヤルがどこまで。


◎ アスコリピチェーノ
▲ ディスペランツァ
△ ノーブルロジャー
ーー
✕ ジャンタルマンタル
✕ ダノンマッキンリー
ーー
危 ボンドガール

勝ち馬は、1000m通過57~58秒の逃げ馬から3馬身ほど離れた位置で、11秒台で追い上げ、34秒前半で差し切る。

これを体現しているアスコリピチェーノが自信の本命。
次点でペースが上がっても末脚を活かせたときのディスペランツァと、高水準Goodホースの人気落ちノーブルロジャーまで。

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