東京優駿

ちょっとこれをみてほしい。

これは皐月賞上位入線組の個別ラップ
ジャスティンミラノだけラスト1Fの傾きがおかしい。ほとんど減速してない。

そりゃG1勝つわ!っていうラップで、この持続力を凌駕する馬を探すのがダービーのテーマ。


この圧倒的なパフォーマンスの皐月賞において、付け入る隙があるとすれば、2点。

1点目。
4角から急坂の直前までのラップが、意外とゆっくりなこと。

▼皐月賞のラスト4Fの個別ラップ
ジャスティンM 11.63-11.78-11.48-11.63
コスモK    11.65-11.63-11.23-11.64
ジャンタルM  11.80-11.54-11.46-12.17
アーバンS   11.61-11.43-11.15-11.76
シンE     11.60-11.71-11.40-11.94
レガレイラ   11.60-11.45-11.14-11.64

残り600m~200mの区間は23秒台(11.78-11.48)で、特に11.78の区間は他馬に比べてしっかり溜めていること。さらに、急坂前でもっとも加速しやすい11.48の区間は、追走苦に対するトップスピードの限界値と捉えれば、よりキレる馬に負けるなんてことを想像してみたい。


2点目。
皐月賞が2分を切る高速決着を先行して優勝した馬は、距離延長のダービーで体力負けをすること。

皐月賞の位置取りが前であればあるほど、ダービーの結果が悪くなる。ディーマジェスティやドゥラメンテは後方脚質で、そこで先行して最先着した馬の成績は悪い。

今年の皐月賞は、2勝Cで1.58.2が出る高速馬場で、クッション値も高め。1000m通過57.5は13年のロゴタイプを0.5秒も上回る史上最速で、それにも引っ張られたレコード決着なら、ここも疑ってみたい。



ただ、追走ペースが4秒も縮まっての優勝はただただ立派。

▼ジャスティンミラノの1000m通過タイム
新馬    63秒
共同通信杯 63秒
皐月賞   59秒 (-4秒)

※リバティアイランド
新馬    64秒
アルテミス 60秒
阪神JF   57秒

昨年の3冠牝馬リバティアイランドも、新馬→アルテミスで4秒、アルテミス→阪神JFで3秒も速くなるペースを好走した。やはりG1を勝つ馬っていうのは、格(=中盤力)をこなす強者だということ。


話を戻して。
初めて1番人気でレースを迎える
点も気になるポイント。ジャスティンミラノは先行力が高く、重心は前。そしてこの並び。

近走1F実績からの隊列想定


先行は外、差しは内。
1コーナーまでは約350m。先行勢が内に切れ込む形でかなりごちゃつきそう。スタート直後の 9.モレイラ→11.武→12.川田→13.坂井→15.戸崎の攻防 はかなりの見どころ。

ちなみに、1番人気が先行馬の場合、その圧に引っ張られる心理でロングスパートの持続力戦になりやすいようだ。
※2000年以降の良馬場のダービー


A評価:ジャスティンミラノ

キズナ × Exceed And Excel(豪/短) × Shareef Dancer(英/長)

改めてジャスティンミラノの戦績。
ダービーの追走ペースは、共同通信杯よりも速く皐月賞よりも遅い。

追走ペース(縦軸)に対する上がりの速さ(横軸)が、もう一段階高い基準(左寄り:緑)に辿り着けるとダービー馬。一線を越えられるか。



C評価:サンライズアース

レイデオロ × マンハッタンカフェ × Nureyev (仏/マ)

ラップ実績も血統的にもスピード不足。
今回もマクってかき回して、得意の持久力勝負に持ち込みたいけど、難しい枠を引いた。


A評価:レガレイラ

スワーヴリチャード × Harbinger(英長距離) × ダンスインザダーク

アイビーSや皐月賞は、ダービーの勝ち馬リズムにマッチ
前半溜めて、後半の爆発力に繋げる脚質は、いかにも東京向き。皐月賞は休み明けのテンの遅さを、物理的な上がりで相殺できずに0.5差6着。1度叩いて、最内枠のルメールがダービーポジションをとれるようなことがあれば、十分圏内。

ホープフルSは、全体時計が歴代最速。ただ、下級条件でも高速決着だったため過度な評価は禁物。


B評価:ジューンテイク

キズナ × シンボリクリスエス × サンデーサイレンス

京都新聞杯がダービーの勝ち馬リズムにタッチ。2000m以上連戦の先行馬でこのグラフなら、3着候補として。血統の字面らしくスピード勝負では分が悪いので、近走のような持続力戦に持ち込みたい。

京都新聞杯は、高速決着が続く3回開催目。
このレースもその恩恵を受けた。下級条件から好タイムが連発で、協調材料はなしという見立て。


B評価:ビザンチンドリーム

エピファネイア × ジャングルポケット × French Deputy(米/ダ/マ)

とにかく脚の遅い馬で、今回も最後方になりそう。
きさらぎ賞がダービーの勝ち馬リズムにマッチするとはいえ、京都1800mと東京2400mの距離差は大きく、過大評価は避けたい。終いがしっかりした馬なので、皐月賞で何かしらの成長した姿を見たかった。これからの馬。


B評価:ダノンデサイル

エピファネイア × Congrats (米/ダ/マ) × Forestry (米/ダ/マ)

ダービーを勝つための終いのキレで、1枚大きな壁がある。
新馬→未勝利→京都2歳と、距離は延長するのに追走ペースが上がって好走する対応力は評価できるものの、ペースの恩恵を受け続けられた運がいい馬



A評価:コスモキュランダ

アルアイン × Southern Image(米/ダ/中) × Zabeel (豪/マ)

弥生賞レコードホルダー
例年の弥生賞は、皐月賞の前哨戦で中盤が極端に緩みやすく、激流の皐月賞より瞬発力のダービーに繋がりやすい。

ただ、今年の弥生賞は、稍重に近い馬場にもかかわらず、中盤49秒台で速め。全体時計はハイレベルのマカヒキの年を超えるレコード。

となれば、当然皐月賞にも繋がって、過去の高速決着・中盤が締まった弥生賞馬は、次走の皐月賞で連対馬をずらりと排出。

その後のダービーはどうかというと、意外と悪くなくて、単純に能力上位だったというオチになる。その中でも、高速中山2000mを先行できる前向きさよりも、距離延長に耐えるくらいゆっくり構えて差し届かずだった馬の方が良績。

コスモキュランダ自身はスタートが悪く、後方からマクって体力・持久力で勝負するタイプ。ジャスティンミラノが先行横綱競馬をして、ロングスパート戦が考えられる今回も持ち味を活かせるのではないか。


C評価:ミスタージーティー

ドゥラメンテ × Sadlers' Wells (英/中) × Irish River (仏/マ)

重めな字面通り、スピード不足。
若葉Sからの鞍上交代で、戦略的な先行策+優しさが加わって、終いの爆発力も失われた。皐月賞が終始スムーズな競馬だったにもかかわらず完敗。新しい刺激が欲しい。


A評価:アーバンシック

スワーヴリチャード × Harbinger(英長距離) × ダンスインザダーク

百日草特別が重賞勝ちレベル
ダービーの勝ち馬リズムにピタリ。

百日草特別は、中盤が12秒フラットのキツイ追走ペースを、自身終い45秒で差し切り。体力系のダラッとした挙動なんだけど、2歳時点で2000m戦かつ厳しい流れを対応できる洗練さがある。

スタートが遅い分、中盤~終盤で長くいい脚を使う持続力タイプ。皐月賞ではスタートも改善されて、持ち味を最大限活かせる東京2400mの中速戦。


B評価:ダノンエアズロック

モーリス × Fastnet Rock (豪/短) × Stravinsky (英/短)

アイビーSのラスト4Fは、ダービー出走メンバー最速の4F時計
超スローの瞬発力戦なら評価できるんだけど、弥生賞やプリンシパルSのロングスパート戦では終いにやや甘さを見せて、字面通りの距離の壁がある。

プリンシパルSは、全体時計・クッション値ともに例年通り。故障明け+前哨戦仕様で勝ち切ったことは評価して、状態アップと鞍上で3着候補まで。


C評価:サンライズジパング

キズナ × Zoffany (英/短) × Exit to NowWhere (仏/マ)

重い。重すぎる。


B評価:シュガークン

ドゥラメンテ × サクラバクシンオー × Judge Angelucci (米/ダ/マ)

成長力が素晴らしい
前走の青葉賞は、距離延長のペースアップ・前走逃げから番手位置どり・上がり要求の3重苦を跳ねのけた。メイショウタバルが回避した今、鞍上の量も合間って逃げたら相当しぶとい存在。

青葉賞は、大きく離れた3番手の1000m通過が61秒中盤で実質スロー。それを物語る上がり最速馬は過去10年最速の33.5。馬場状態、下級条件・青葉賞の走破タイム、どれも例年通り。


C評価:シックスペンス

キズナ × Twirling Candy (米/両/マ) × Victory Gallop (米/ダ/中)

ぬるい。ぬる過ぎる。


B評価:シンエンペラー

Siyuni (仏/短) × Galileo (英/長) × Green Tune (仏/マ)

皐月賞は、高速馬場でスピード負け
ただ、もっと残念だったのは、持ち味だったラスト1Fの粘りがなかったこと。掲示板組だとジャンタルマンタルに続く大き目の失速で、リズムの悪さを露呈。


B評価:ゴンバデカーブース

Bricks and Mortar(米/中) × ディープインパクト × Loup Solitaire(仏/マ)

前走NHKマイルC。
ペースアップ・多頭数・爪不安の苦条件を4着に激走して驚いた。

ただ、マイルG1にしては中盤区間が両方12秒台と緩く、底力を問われにくい一戦に。また、その緩い区間ではかかる仕草を見せていて、この馬の前向きさはダービーの追走ペースでは物足りなそう。一度叩いてリズムは上昇しているが、本格的なタフ経験値が足りない。


B評価:ショウナンラプンタ

キズナ × Zensational (米/ダ/短) / Hennessy (米/ダ/短)

とにかく気性難。


B評価:エコロヴァルツ

ブラックタイド × キングカメハメハ × A.P. Indy(米/ダ/中)

一戦毎にスタートが遅くなり、位置取り負けした皐月賞。本来は前進気勢が強くて、先行できるタイプだけど、折り合い重視の後方一気で活性化が失われている。


◎アーバンシック
〇レガレイラ
▲ジャスティンミラノ

本命はアーバンシック。
東京2400mの舞台なら、百日草特別を最大評価。レースがジャスティンミラノを意識した早めの仕掛けからの持続力戦をイメージして、中盤から徐々に加速するアーバンシックの突き抜けを期待。

対抗はレガレイラ。
皐月賞は「休み明け+差し届かず」のダービーで巻き返すセオリーに加えて、ダービーポジションのルメールさん。サンライズアースの前につけられればパーフェクト!

3番手にジャスティンミラノ。
メイショウタバルの回避で道中スローも想定できるなら、先行力が物理的に有利になるジャスティンミラノ。皐月賞からの上昇度、共同通信杯で見せたトップスピードと、皐月賞の持続力の合わせ技は強力。スピード馬でした…の可能性もあるので3番手まで。

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