見出し画像

週末の余談⑪ 「スポーツと社会」


全米オープン女子テニス大会で2年ぶり優勝を果たした大坂なおみ。
全米オープンの前哨戦の大会では、「私はアスリートである前に一人の黒人女性です。」黒人女性として、私がテニスをするのを見てもらうより、もっと大事なことがあると思っています。」とコメントすると共に、警察官による黒人銃撃事件に抗議する意思表示と翌日の試合をボイコットする声明を発表しました。大会側は、「人種の不平等と社会的な不公正への抗議」を示すため翌日の試合を中断して、一日後に再開するという異例の判断を下しました。
7つのマスク
全米オープンでは警察官の人種差別的な暴力の被害にあった黒人犠牲者の名前を書いた黒いマスクを着用して、人種差別への抗議の意を示し話題となった。優勝して用意した7つのマスクを全て直用することができた。表彰式後の記者から「7つのマスクは何を伝えたかったのか?」という質問に「あなたはどんなメッセージを受け取りましたか?」と切り返した。
「スポーツに政治を持ち込むな」というツイートに『これは人権の問題です』と痛快に反論もしている。
Black lives matter
米国では、“Black lives matter”(黒人の命だって大切だ)というBLM運動が、社会現象になっている。このBLM運動に影響を与えているのが、米国で利用者が多いと言われているTikTok。ところが、米国政府は安全保障上の観点から9/20からの使用禁止を発表。米国企業への売却を命じている。中国の反発は大きく米中対立は、ますます激しくなってきている。

1968年メキシコ大会では陸上男子200メートルの表彰台で、2人のアメリカ黒人選手が国旗掲揚の際に黒いグローブをはめた拳を突き上げて人種差別への抗議の意思を示した。2人は出場停止処分と共に、オリンピックから追放された。

1968年メキシコ大会陸上男子200m表彰式

その後IOCは、オリンピック憲章50条により、五輪会場での政治的、宗教的、人種的な宣伝活動を禁じる規定を設けた。

メキシコ大会以降の社会の流れ
米NFLのワシントン・レッドスキンズの名称は、先住民を侮蔑するものと以前から指摘されてきたが、オーナーは87年の歴史があるチーム名称は変えないと宣言していた。
2016年NFL サンフランシスコ 49ers コリン・キャパニックが、国家斉唱の際に片膝をつき、黒人に対する人種差別に抗議する意思を示し物議を醸したが、彼の行為が端緒となり多くの選手が片膝をついて抗議の意思表示を示すようになった。

「#MeToo」運動
セクハラに反対する「#MeToo」運動が盛り上がり、2018年1月7日 ゴールデン・グローブ賞授賞式では、セクハラや不平等等への抗議を示すため、女優たちが黒いドレスを着て出席した。徐々に、世界は動きは始めている。2020年1月
IOCは、禁止行為の具体例を示した指針を発表。米NFLで一部選手が行った膝つき行為のようなことは認めないと名文化した。
人種差別に対する企業の動き
しかし、5月に起きた米国での黒人男性暴行死事件を契機に、表現の自由を巡る議論が活発化している。企業の動きも素早い。世界的な化粧品会社ロレアルは、今後ホワイトニングなどの表現を廃止すると発表する。ナイキは、コリン・キャパニックを自社の広告に登場させて企業の人種差別に対する姿勢を明確にした。また、MLB運動のデモに多くの企業が資金提供(寄付)を行い支援している。

ワシントン・レッドスキンズのオーナーは、NFL開幕前の9月にはチーム名称、ロゴの変更を表明し、その結果ワシントンフットボールチームとすることを発表した。
主要スポンサーのフェデックスやナイキ、ペプシ等の企業が名称企業の検討を要求、同チームの関連商品を各社サイトから撤去したことが大きいと言われている。
IOCでは
6月10日にはIOCバッハ会長は「いかなる人種差別も非難する」と声明を出した。
7月のIOC理事会では、本課題について継続審議としたようだ。

スポーツと社会の発展のあり方を、我々も考えたいものです。

2020年9月23日