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②求められる調査分析スタッフ

 今期の損害賠償グループの事業計画のメインテーマ、キーワードは、生産性の向上ではないでしょうか。
 組織として、構造改善による生産性の向上を図っているのは、周知のとおりです。
 個人として、効率よくスピーディに作業処理することも生産性向上の一つですが、関係者との連携をスムースに行い短期間に終了させることは、その生産性向上への寄与度は、さらに高いはずです。
 我々を取り巻く環境は、より一層厳しい状況になっていると思われます。会社は組織改革を行い、45ある支店を半減、支店人員7,500人の削減案が提示されました。
創造的破壊(Creative destruction)
 昨今、ディスラプション(創造的破壊)という言葉が飛び交っています。失われた20年と言われてきた経済の停滞期におけるキーワードは、『選択と集中』でした。自分達の強みを再評価して、そこに資源を集中させることにより難局を乗り切ろうとするものでした。
 電力開発において、石炭火力発電の技術革新を推進し効率の良い電力供給が可能となり国内においても、新たな建設が計画され海外にその技術を輸出しようとしたところ、海外企業や諸外国からは冷ややかな反応のようです。炭素資源ゼロをめざす国際的な企業、ひいては欧米諸国にとって炭素資源を活用する発想そのものが地球温暖化対策として、あり得ないと判断している訳です。まさに『選択と集中』で推し進めようとした火力発電の技術革新すら、こういった有り様です。これまでの得意分野、強みを見直し新しいものを生み出して(創造破壊して)いかなければなりません。
 これは個人の行動規範をも示唆しているように思われます。
 政府の働き改革=生産性の向上の議論の中でも、創造的破壊という言葉がよく使われます。製造部門と違って、事務部門における生産性の向上は大きな課題であり難しい。だからこそ生産性の高い人材が求められます。個々の創造的破壊によりアップグレードして、これまでとは違う高い知識や技術を習得して評価を高めたい。
業務の質的変化
 損害賠償は、個人、企業、地方公共団体(地公体)の3つのカテゴリーに分かれており、担当する地公体は他の2つのグループとは異なる対応が求められます。請求内容が専門性が高く、事故後数年を経過し賠償金の支払いの実績もあり、合意形成に向けてその間繰り返し折衝してきた経緯もあります。また、地公体担当者は専門知識や経験が豊富で、周辺の地公体担当者と情報交換をした上で請求書類を提出しているケースが多々あります。
 そのため、過去の支払い実績を調べるだけでなく同じ請求内容について他の地公体ではどう対応しているか把握しておくこと、該当する地公体の事故被害の状況も理解しておく必要があります。また、国の方針が変わり請求支払いのガイドラインが変更されているケースが地公体では多く、遡って請求されるケースも増えてきています。
 このように本業務の環境が大きく変わり、従来はガイドラインやマニュアルに従ってシンプルに業務処理すれば良かった状況から、担当する個々人がこれまで以上に深掘りできる調査分析力、そのうえでの判断力や対応力が求められてきています。

 調査分析スタッフとして機能する人材 
 次なるステップへの目標としては、早く業務処理すれば良いという意識を捨て、「調査分析スタッフとして機能する人材」になることではないかと思われます。そのために求められる機能、能力としては、

〇情報整理力  
 大局的に情報をとらえ分類し、頭の中が常に整理され活用できる力。
〇自己解決力  
 自分で課題を見つけ出し、その課題を自身で解決できる対応力。
〇沈着冷静な判断力  
 状況把握が的確で本質を理解し、情緒的でなく沈着冷静に判断できる力。

と、考えておりました。昨今発生している懸案事項・事象つまりトラブルのベースに「ミス・コミュニケーション」があるのではないかと考え、上記の3項目に1項目付け加え取り組みたいと思います。本来、上記3項目の能力を向上していけば問題ないのではないかとも考えましたが、敢えてピックアップしました。
〇合意形成に向けた交渉力  
 落ち着いた雰囲気での知的で説得力のあるコミュニケーション力。

 我々が主に対応するのは、地公体の請求担当者や拠点の担当者ですが、電話での会話は相手の目を見ながらのコミュニケーションではない為、余計難しい。営業的なアプローチではなく損害賠償についての交渉のため相手にもよりますが、元気よく多弁に相手に踏み込んでいくようなアプローチは避けたいものです。発声もキーを少し下げ、トーンも抑え気味に、テンポも多少抑えゆっくりした方が、説得力も増しますが、相手によっては、それが“じれったさ”を助長させストレスを感じさせる場合もあります。従って、瞬時に判断し臨機応変に対応しなければなりません。
 会話の内容も多岐に渡るため、あらゆる場面を想定しておく必要もあります。まさに、総合力が試され当方の経験値や知力も見抜かれます。相手の立場になって、何に疑問を持ち、何を確認したいのか、その場合、どう対応すると良いのか、日頃からシミュレーションを繰り返し対応力を身に着けたいものです。