見出し画像

④付加価値の創造とは?


 企業における付加価値とは、商品やサービスに企業独自の価値をつけることを意味します。多くの企業は、同業他社との差別化を図る目的で、どのように付加価値を付けるかを懸命に試行錯誤している。
 自分自身を商品と捉え付加価値を創造、アップグレードして商品価値を高めるとは? 短期的な観点と中長期的なビジョンで考察したい。

(1)短期的な対応
 ①自己分析して知識、技術で弱いと思っていることを集中してレベルアップする必要がある。
 ②解決力、判断力、交渉力を向上させる為、自分が担当した案件だけで過去の事例を数多くチェックする。一種のケーススタディ。
 ③自分なりに案件を分類・整理(データベース化)しておく。
 ④素早く検索できるよう、その案件にアプローチできるようにシステム化しておく。
 ⑤電話対応については、既に多くの対応事例、コールスクリプト等を目にし習得していると思われる。他の人の対応をみて、批評すると共に自分ならどうするかを考え、自分自身の対応に生かしレベルアップを図る。

(2)中長期的なビジョン
 整品あるいはサービスで最上級の一群の商品をハイエンド商品と位置付けている。事務サービス部門においても、そこを目指すべきと考える。
 市場化された製品は、消費者ニーズに呼応して汎用品化(コモディティ化)されるか、最上級の製品としてハイエンド化されるか、どちらかの方向に向かう。
 汎用品化(コモディティ化)された商品は市場価値が低下し、一般的な商品になる。コモディティ化が起こると、商品の特徴が薄れ、消費者にとっての商品選択の基準が市場価値や量に絞られる。消費者には歓迎されるが、白物家電に代表されるように製造原価を低く抑えることのできる韓国、台湾、中国等の企業の製造技術が向上すると日本の企業の優位性はなくなり市場競争力は消滅する。
 一方、大きな市場での競争力は無くなったものの、ハイエンド化した商品も数多く見受けられる。
 スイスの高級腕時計、イタリア・フランスのファッション系商品・・・。 掃除機市場は成長性が乏しいと言われていたが、ダイソンはその常識を破ったとも言える。ソニーのAIBOから今般発売されたaiboも、ハイエンド化された商品と言える。
 何れもハイクォリティでハイタッチな製品であり、高品質で現代の技術社会で必要とされる心の触れ合いを感じさせる製品でもある。
 上記の考えを、我々の実務に置き換えて考えてみたい。マニュアル化を図り、標準化を推進して、誰が対応しても同品質の成果を生み出す努力を日々行っています。企業として当然の行為で、ある面ではコモディティ化を図っている状況です。それは商品価値を低下し労働市場での選択は広がり、安く仕入れることも可能となります。つまりマニュアルに頼り標準的なレベルをこなすだけに留まっていると、競争力は低くなっていきます。
 ハイクォリティでハイタッチな実務をこなすとは、どういうことなんだろう? AI等の革新技術の発現、導入により、将来的には現在の仕事がなくなるだろうと言われ、その対応としてどうすれば良いのか?多くの議論が展開されているが、その議論の中に今回の我々が直面する課題の解が見出せるように思われる。

『生き抜く力』・・・下記の3つから成り立っていると言われている。
 ①基礎的人間力 ②情報処理力 ③情報編集力 
        <情報編集:松岡正剛氏あたりが言い出したようだ>
基礎的人間力とは、体力、精神力、忍耐力、集中力、持久力、バランス感覚、直観力等をいう。
情報処理力とは、学校教育によって習得する知識、技能で「正解」を早く正確に出す力。
情報編集力とは、思考力、判断力、表現力等をさし、正解が一つではないテーマを論じる中で(正解がない中で)自分なりの見立てや解釈をつくる力です。時には他者との協働から、皆と(他者も納得できる解)納得解を導き出すための力。
 これまでは知識や技能を習得することを重視し、結果を出す人は高い評価が得られた。ところが、日常の中で知識を得ることは、デジタル化やアウトソーシング等によって容易になり、今後は自身の考え方や創造性、クリティカル・シンキング(批判的思考)が、問題解決や判断の鍵を握ると言われている。これは情報編集力の優劣に左右されるとも考えられる。
 日本の学校教育は、正解主義の方針の下、優秀な企業戦士を輩出してきた。答えは一つしかないジグゾーパズル型能力を養い、情報処理力の向上に邁進してきた。時代や社会が大きく変容しようとする際は、まだ五里霧中で先が見通せず正解は一つかどうかも分からない。そういった時にはレゴ型能力が求められる。正解主義に対して修正(改善)主義とも言われている。状況に合わせて、ひとり一人が自分なりにデザインし臨機応変に組み立て、積み上げていく思考や能力が求められる。

 OECDが各国の学力調査(略称:PISA)を実施しているが、日本は常にトップ3に入る結果報告をこれまで目にしてきた。近年、成人学力調査を実施したところ日本のランクはガクンと下がる結果となっている。学校を卒業したら学習しないことが結果となって表れた。それでは、情報編集力は養われない。
 一時期、一芸入試等が脚光を浴びたが、時代の大きな変化に対応するには適正では無いのではないか、やはりバランス感覚があり総合的な能力を有している人材こそ、対応できるのではないか、そういった論調が多くなってきている。従って、リベラルアーツ(教養主義)を唱える人が多くなってきている。直ぐに実利に結びつくわけではないリベラルアーツの考え方が必要なんだと・・・。働きながらアウトプットするだけではなく、同時進行でのインプットが必要なんだと・・・。
 イノベーションを生むためには、自分と違う考えがあることを知ること、異なる複数の考え方を組み合わせるマインド、複眼思考が求められる。
 年初に、ゴールデン・グローブ賞の授賞式が行われたが、今回は性暴力・セクハラに抗議する意味合いを込めて多くの女優が黒のドレスを着て登場し話題となった。この時に、2つの運動が起こったと言われている。
「Me Too」運動と「Time is Up」運動だ。
「Me Too」運動・・・私も被害者だ
「Time is Up」運動・・・「時間切れ」「もう終わりにしよう」
この趣旨とは異なるが、コミュニティにおける連帯感を醸成させるためには、必要なマインドではないだろうか。今こそ連帯すべき時で、問題意識を共有し、アップグレードしようよ、と。叫びたい。

以上の状況を鑑み、我々は
・組織、自分を絶対化しないで(絶対化する人ほど、もろく)、正解主義に陥らないことが第一か。
 ※組織立ち上げ当初の混乱期の悪癖から脱却できない人も見受けられる。
・相手の状況や心情を洞察して、相手の立場になって対応するチカラを養う。
・連帯感のあるコミュニティを形成して、チーム力を向上させる。

ハイクォリティでハイタッチな仕事の成果を目指したい。