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週末の余談⑩ 「セントラル機能」


「大きいことはいいことだ!」作曲家で指揮者の山本直純が、気球に乗ってタクトを振り合唱する森永チョコのCMソングです。東京オリンピック後の高度経済成長時代を象徴するヒットCMと言われています。
経済大国をめざして、欧米同様に何となく一回り大きいものをという風潮があったんでしょうね。
また、海外では旅行代理店、広告代理店といった企業が、経済成長と共に存在感を増していく時代でした。消費者や一般の方に代わって専門家が対応するビジネスモデルです。

これはマージンジビジネスとも言われます。取引総額の何%かを、代理店の取り分とするものです。当時、旅行代理店で9%~10%、広告代理店で10%~15%が基本と言われました。
代理店ビジネスを儲かるものにしようとすると、母数を大きくしようとします。
例えば、100万円の10%より1000万円の10%の方が利益は大きい。
つまり「大きいことはいいことだ」になる。

そんな時代に、セブンイレブンの第1号店は豊洲で開業しました。イトーヨーカドーが米国の会社からライセンス取得して事業を開始。高額で購入したマニュアル、そのノウハウは日本文化や生活習慣にマッチせず日本式に変えていった事により成功したと言われています。ディズニーランドも然り。

セブンイレブン・ジャパンはイトーヨーカドーからの出向者7名でスタートしました。この7名による試行錯誤が昼夜行われましたが最初は集客はあったそうですが、売り上げは伸びない。7名の内の一人の男性は、自分はビジネスセンスもなく体育会系なので力仕事なら任せてくださいと店に通い、床掃除や陳列棚の整理を勤しんだそうです。
7名が集まって売り上げ増進策の会議を開いても、良い策はでない。
そんな際に、体育会系の社員が何気なくつぶやく。
「あの洗剤の箱、小さくしたら良いのに・・・」と。何をバカなことを言っているんだ、という雰囲気だったようです。
大きいのがお得という時代ですから、小さくするなどメーカーが承諾する訳が無いという固定観念があったからです。鈴木敏文社長は違いました。どうしてそう思うのか聞いたのです。お店に来るお客さんは、若くて一人住まいの人が多い。大きな箱の洗剤なら買ってくれないのではないかと。
その話を受けて7名は手分けして来店客に聞いてみたところ、小さい箱だったら買うという回答が多いことが分かりました。セブンイレブン・ジャパン躍進のスタートです。
大量仕入れ、大量販売
一時期日本一の流通グループと言われたのが、ダイエーです。薬局からスタートしたダイエーは、価格破壊を売り物に急成長。
リクルートを傘下に収め、プロ野球球団の経営にも参画。東京本社は、芝公園にある俗称『軍艦ビル』と言われたビルに所在し威勢を誇った。何故、価格破壊できるのか?
大量購入により安く仕入れることが出来たからです。販売力により大量仕入れ、大量販売が可能となった訳です。中央の本部機能のパワーアップが、それを一層可能にしました。価格破壊のビジネスモデルは、本部機能の充実にありました。本部はさらに売り上げを伸ばそうとアパレルに力を入れました。東京仕様で、仕入れます。当然大量に。
ところが、南は沖縄、北は北海道まで東京仕様で店頭に並べても顧客のニーズは違います。まず季節感が違いますから売れる訳がありません。お客様のニーズやシーズをいかに把握するか、マーケティングの基本ですが、中央本部は各現場、地域ごとの声を聞く意識が薄かったと言われています。
地産地消
今ではコンビニのおでんは、エリアごとに味が違うと言われます。
災害で公共インフラが破壊される度に、地産地消が叫ばれます。
セントラル機能
課題は現場にあり、セントラルにはありません、あっても現場感覚がないとも言われます。セントラルが力を持つと、感覚がズレたことが多くロクなことはない。現場を知らず、現場感覚がないまま、固定観念をもったまま権力を持つことは危険です。自覚もないまま力を持つと厄介だ!

我々も、準備業務に取り組む際に固定観念にとらわれず柔軟な思考で、知恵を絞りたいものです。

2020年9月14日