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コントレイルの思い出

コントレイルを初めて見たのは東スポ杯でした。
このレースには後に秋華賞を勝つ事になるアカイトリノムスメの全兄のラインベックや、個人的に推していたアルジャンナが出ており、三強ムードになっていました。
余談になりますが、その年に最も愛した馬であるディープインパクトが他界しており、アラビア語で天国という名前を冠したアルジャンナに特に思い入れがありました。

話を戻しますが、レースは圧巻のひと言でした。
2着のアルジャンナに5馬身差をつけ、1:44.5という破格の時計を叩き出しました。
調べた所、JRAの1800mの2歳レコードを1.1更新した事になります。
着差で考えるととんでもないですね。
この際にユーイチさんが騎乗停止になり、ムーアが騎乗したのですが、そんなに速い時計が出たとは思わなかったとコメントしていて、あまり能力を感じなかったのかなと思ったのですが、無理をせずともそれだけの時計が出せる能力があったのかもしれません。

ホープフルは試金石という感じのレースになりましたが、完勝した物の前走のような怪物という印象は受けませんでした。
どちらかと言うと朝日杯の方を勝った、サリオスの方が強い勝ち方をしたなと思っていました。
2歳のG1ウイナーのコントレイルとサリオスが皐月賞に直行することになったのですが、個人的に気になったのが、その年から弥生賞ディープインパクト記念と改名したレースで勝ったサトノフラッグです。
ディープインパクト産駒は道悪が苦手なイメージがあるのですが(データではそうでも無いようです)、道悪の馬場でかなり強い勝ち方をしました。
それに加えて、2歳時にマーフィーが2度騎乗しており、今まで乗った馬の中でもトップクラスの馬だと手放しで絶賛していたので、彼の今まで主戦を務めた馬と同じレベルであるなら、相当な名馬なのではないかと期待しました。

皐月賞の単勝オッズは、コントレイルが1番人気、それに次いでサリオスを抑えて、サトノフラッグは2番人気に支持されました。
レースはコントレイルとサリオスのマッチレースと言って良かったと思います。
このレースを見て、コントレイルは本物だと確信しました。
スタート後、1コーナーを回って隊列が大体決まった時に、これは負けるかもしれないと思いました。
最終的に4コーナーでも大外を回る事になり、絶好のポジションでレースを進めたサリオスの後手を踏む形になりましたが、外から鋭く伸びてきました。
これは突き抜けるぞと思ったのですが、サリオスが最後まで食い下がった事もあり、この2頭がこの世代では抜けていると思いました。

いよいよダービーです。
コントレイルとサリオスの話になった際に、ことあるごとに言っているのですが、アンカツさんが2歳の終わりの頃だったと思います。
二千までならコントレイル、それ以上はサリオスと評していました。
確かにコントレイルは胴が詰まっていて、距離が持つような馬体ではないとわっちも思っていました。
しかし、蓋を開けたら圧勝でした。
2着のサリオスも後ろを置き去りにしていましたが、その3馬身前にコントレイルが居ました。
この辺りから無敗の三冠を意識し始めました。
前述の通り、わっちはディープインパクトの大ファンですが、彼を超える馬が現れるなら彼の仔であって欲しいとずっと思っていました。

秋は神戸新聞杯から始動と言う事が決まり、ドキドキしながらレースを待ちました。
神戸新聞杯は未対戦のグランデマーレが2番人気に推される位で、既に一緒に走った馬は敵わないという状況でした。
レース自体も多少気合いをつけただけで、ほぼ馬なりで2着以下を置き去りにしました。

この時点で無敗の三冠を確信して居た人もいると思うのですが、わっちは心配性なので、天気や距離の事を考えるととても不安でした。
全長1メートルの巨大てるてる坊主を作ってお祈りしたり、10日前天気予報や、京阪電車の淀付近の定点カメラを暇があったら見ては、一喜一憂していました。

とうとう菊花賞の日が来ました。
未対戦でセントライト記念を逃げ切って勝ったバビットが2番人気に推されていましたが、1番怖いのはアリストテレスだと個人的には思っていました。
鞍上がルメールであるというより、アリストテレス自身に怖さを感じていたのですが、鞍上もとても恐ろしかったのです。
4コーナーを回って楽な手応えだったので、これは千切れると思ったのですが、アリストテレスを振り切れません。
ゴールが近付くにつれて、カメラのアングルもあり、じわじわ迫って来ているように感じていたので、早くゴールしてくれと祈る気持ちでした。
勝った時は本当にホッとしたというのが正直な感想です。
腰が抜ける感じでした。
大接戦だっただけに、本当に無敗の三冠を達成したという実感が湧くまでに時間がかかりました。
2歳時にG1を勝っているので、無敗の四冠馬です。

改めて振り返えるとなんと言う年だと思うのですが、ひと足先にデアリングタクトが史上初の無敗の牝馬三冠を達成しており、ジャパンカップに参戦する事を表明していました。

コントレイルは激戦だった菊の疲れもあり、年内は休養と当初は発表されていました。
矢作先生は菊の勝利後に、二度とコントレイルの適正外のレースや、ベストコンディションでは無い状態でレースに出さないというコメントをしていました。
それを聞いてとても安心したのを覚えています。

ジャパンカップはダービーと同じ舞台であるという事と、走れる位回復したと言う事で、参戦が決まりました。
そうなると現役最強で8冠を達成したばかりのアーモンドアイの動向に注目が集まりましたが、出走する事が決まり、3頭の三冠馬が対決する世紀の一戦となりました。

この1戦で初めてコントレイルは1番人気を譲りました。
レースはキセキが大逃げ。
4コーナーを回っても相当な差があったので、1発あるのかと思いましたが、アーモンドアイ以下に捕まりました。
アーモンドアイが抜け出した後は差を詰められず、デアリングタクトを交わした所でゴールして、三冠馬の1,2,3でフィニッシュしました。
アーモンドアイの強さにねじ伏せられるレースになりました。
その後来年一杯で引退するという事と、国内に専念する事が決まりました。
オーナーのマエコーさんも、矢作先生も海外遠征に積極的なので、凱旋門賞の名前が出ないか心配していた為、正直ホッとしました。

明けて4歳になりました。
自分としてもモヤモヤしてしまう所なのですが、ディープ産駒の牡馬は4歳で伸び悩む馬が多いのです。
コントレイルに関しても心配していましたが、大阪杯の1週前追い切りを見て杞憂だったと思いました。
確か、コースも坂路も軽々と自己新のタイムを出していたと記憶しています。
今回の大阪杯の見どころとしては、グランアレグリアの参戦です。
彼女はスプリント、マイルで圧倒的な強さを誇っていましたが、二千の距離が持つのかという事が取り沙汰されました。
個人的には二千が得意かは分からないけど、持つと思っていました。
その他には秋華賞を除外された後に、チャレンジCを完勝して幻の秋華賞馬とも言われた、無敗のレイパパレにも注目が集まりました。

大阪杯当日は曇りか小雨位の予報で心配していたのですが、14時くらいまでは曇ってはいる物の、雨は降っていませんでした。
何とかレースまで持って欲しいと思っていた矢先に、スコールのような土砂降りになってしまいました。
良馬場だったのが一気に重馬場になりました。
コントレイルの道悪適正については、ハッキリしていない部分があったので、コントレイルを信じるしかないと思っていたのですが、道悪が抜群に上手いことが分かったレイパパレが突き抜けて、道悪巧者のモズベッロにも交わされ3着に敗れてしまいました。

恐らく宝塚はパスするだろうと思っていましたが、やはりパスしました。
色々言われると思いましたが、今でも懸命な判断だったと思います。
その後秋は天皇賞1本と聞いたので、もう一走しかしないの?と驚いたのですが、天皇賞とジャパンカップの二走で引退する事になりました。

天皇賞も天気が心配でなりませんでした。
また10日間予報で天気を見ていたのですが、土曜までは晴れなのに日曜だけ曇りになったり雨になったりで、かなり気を揉みました。
当日は多少降った物の、良馬場で天皇賞を開催する事が出来ました。
人気はコントレイル、グランアレグリアに続いて3歳のエフフォーリアが差のない3番人気に推されていました。
3歳馬が勝つのは難しいレースであるという事と、世代でも飛び抜けた馬では無いと個人的には思っていたので、三つ巴状態になっているのは不思議でした。
レースが終わった後の感想は、エフフォーリアは強いのひと言でした。
自分の見る目の無さに呆れました(汗)
ルメールは馬場がソフトだったと言っていたので、エフフォーリア向きの馬場だったかもしれませんが、それも勝負の内です。
それでも競り合ったグランアレグリアには先着しています。
皐月賞のサリオスや菊のアリストテレス、ジャパンカップのデアリングタクト、大阪杯でのグランアレグリアなど競り合いになったら滅法強いんです。
今よりはもう少し先行した方がと思ったりもしますが、矢作先生やユーイチさんは、コントレイルの切れ味に賭けているんでしょう。

ディープ産駒は基本的に瞬発力に秀でていて、スパッと抜き去る馬が多いのですが、コントレイルはそういう所に加えて、強い勝負根性も持っていると思っています。
このレースもスタート後行き足がつかず、4コーナーも大外を回したにも関わらず上がりは最速だったので、エフフォーリアと叩き合いに持ち込めていたら面白かったのでは、と都合の良いことを考えたりもしました。

あまり見ないようにしていたのですが、三冠達成後に勝てていない事で、色々言われているのは知っていました。
個人的にですが、無敗で三冠を達成した時より、今のコントレイルの方が好きです。
天上の存在だったのが、身近な存在になった気がしますし、リアルスティールがディープの次に好きなわっちの好みに近付いたのかもしれません(笑)
そして引退レースとなるジャパンカップに挑む事になります。

ここからはジャパンカップを見終わった当日に書いています。
まずは、コントレイルが無事に走り終えてくれてホッとしています。
そして本当に優勝おめでとう、ありがとうという気持ちで一杯です。
ユーイチさんもコントレイルを信じ切った、素晴らしい騎乗だったと思います。
三冠馬としてのプライドを示すかのような、堂々とした素晴らしい走りでした。
飛行機という名前から、飛ぶという言葉が連想出来ますが、本当に最後の直線は飛ぶような走りでした。
お父さんを彷彿とさせる、圧倒的なパフォーマンスでした。
完勝でした。

今日は前がかなり残るという印象を持っていました。
前述の通り、コントレイルには強い勝負根性があるという考えがあったので、前目につけたほうが良いのではと思いましたが、結果を問わずユーイチさんはコントレイルの競馬に徹するだろうと思っていました。
結果はいつも通り、中団後方にポジションを取りました。
オーソリティは鞍上がルメールという事や、前走の内容から、菊花賞の時のアリストテレスと被る物があった為、かなり脅威に感じていました。
実際に2着に来た訳ですが、今回は並ぶ間もなく交わしてくれました。

交わした後、一緒に見ている人に勝てるよと言われたのですが、よく分からない感情に陥っていて、ゴール後に泣いてしまいました。
今まで涙が滲む事はあっても、涙がボロボロこぼれ落ちて、声が震えたのは初めての経験でした。

レース後引き上げてきて、ダービーの時と同じく脱帽して、ユーイチさんが馬上で一礼したのですが、その時コントレイルも一緒におじぎしていたのを後で知って、やっぱり強いだけではなく、可愛くてお茶目な側面がある馬だなと、微笑ましく思いました。

今日は関テレをメインに、グリチャも見ていたのでてんやわんやだったのですが、関テレの方の勝利騎手インタビューでユーイチさんが、立派でした、立派な走りをしてくれました。と堪えられず涙声で話す姿を見て、また泣いてしまいました。
コントレイルに有終の美を飾らせてあげたい。
彼の強さを疑う言葉にも、結果で実力を示したい。
表に出さずとも、相当なプレッシャーがあったと思います。
コントレイルは間違いなく強いという事を、最後に証明出来た事は、矢作先生をはじめとした厩舎スタッフの方々、オーナーのマエコーさん、牧場関係者の皆さん全員がやった!コントレイルありがとう!と思ったに違いありません。

レース後の引退式はパドックにて和やかなムードで行われました。
矢作先生がダービーのゼッケンをつけたコントレイルに跨ってみたり(颯爽とジャンプで下馬しました)、コントレイルの仔で凱旋門を勝ちたいと言ったり、マエコーさんのマイクが度々入らなかったり、コントレイルは長々と付き合わさせられて、レースより大変だったかもしれません(笑)

わっちはVtuberとして昨年引退しましたが、コントレイルの引退を見届けたいという思いで活動を再開しました
今回、復帰して本当に良かったなと思っています。
自分の周りにあまり競馬ファンが居ないので、競馬Vtuberさんを初め、競馬が好きな方々と今日という日を迎えられたのは本当に嬉しいです。

ジャパンカップ前に、リアルスティールを抜いて、好きな馬ランキング2位に浮上したコントレイルですが、絶対的な存在であったディープインパクトと、甲乙付け難い位大好きで、思い出深い馬になりました。

書こうと思えばオタク特有の早口で延々と書けるのですが、読む方も苦痛だと思うので、Twitterに書いたポエムを添えて、そろそろ締めさせて頂こうと思います。

飛行機雲を見る為には晴れてないとダメだよね
古馬になって初めてコントレイルを描ける空になったね
完全無欠な馬はいない
常にベストな状況で走れる訳じゃない
それでも間違いなくキミは強い
今日の完璧なフライトを忘れないよ

今後の種牡馬としてのコントレイルと、その仔たちに幸多からん事を。
最後までお読み頂きありがとうございました。

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