母国語じゃないんだから
現在1ヶ月のニュージーランド縦断旅をしている。海外便の機内手荷物持ち込み制限は厳しく、社交性が入らなかった。
なのでニュージーランドに住む友だちと別れたあとの一人旅は、安宿のドミトリーに泊まっているが、人との交流は極端に少ない。
英語を上達させたい。
生まれた時からついこの前まで携えていたこの気持ちも、手荷物検査に引っ掛からぬよう、薄くて軽く、隙間に忍び込ませた程度。もはや、携えなくてはいけないだろうという左脳的指令によるものだった。
でももうそんなのどうでもいいや。
変わってしまった。
こんな状態は初めてだ。半年前、通訳としてピースボートという世界一周クルーズに乗船した。
英語くらいは自信をつけたい。
仕事において相当量失われた自己効力感を取り戻すため、藁にもすがる思いで、これまで絶対的に努力してきた英語に託し、
「語学スキルを使って世界一周をする」というおもしろチャンスに飛び込んだ。
英語コンプレックスに直面した。
乗船日初日に、これから訪れるであろう仕事のプレッシャーを処理しきれず、キャビン前のコリドーでひとり号泣した。
通訳の仲間に会ってみると、英語圏育ち・海外大学卒・インター出身等、そうそうたる語学強者。試験には通ったが、高望みをし過ぎたのか?と、怖くなった。
自分は才能ではなく努力で身につけたタイプだと思う。これまでどう英語に向き合ってきたかというと、
まず、中高大とテストや受験のために真面目に勉強した。
それでも大学二年生で国際交流プログラムに参加したとき、英語が話せなさすぎて、身振り手振りと魂の交換でコミュニケーションを取っていた。
大学四年で、親に半分借金をして、一学期間アメリカ留学をした。(学費が高くて、当時行きたかったニュージーランドの大学は諦めたことを思うと、こうしてNZにいることが感慨深い)。
留学を経て英語力は格段に上がったが、会社に入ってTOEIC満点は当たり前のような同僚のレベルに達さなければ、とまたコツコツ勉強を続けていた。
そこまで求める必要ある?
ピースボートの通訳集団の語学力はとても高い。環境がそうさせた人、才能に恵まれた人、自ら環境を変えて努力した人、色々理由はある。二言語は最低(通訳なので当たり前だが)で、3カ国語、4カ国語できる人も珍しく無い。
生まれ落ちた環境により語学を自然と育んで来た人と今まであまり関わりがなかった(ことにも初めて気づいた)。おかげで、この英語と共に生きてきた人たちには決して及ばないことを理解した。
人それぞれ、生まれた環境が違えば、持てる能力も違う。そして語学は、多くの一般論が語るように、大人になって同じ状態に追いつける能力では無い。
決して辿り付かない境地を知らぬ間に目指していたんだと知って、自分のコンプレックスや苦しみの原因がこの思考にあったと知った。
「外国語なんだから、間違ったって良い。」
乗客サポーターとして乗船してきた英語ペラペラの中国人ですら、こう言ってた。気にする必要はないと、しきりに言っていた。
自分に合格を出そう。
目指していた頂点は、今のさきにないことを知り、そして英語力のおかげで世界一周ができた。
英語を身につけたいと思ったのは、外の世界を見てみたい、海外に行ってみたい、そんな思いだったじゃないか。
もう夢は叶っているおめでとう。よく頑張った。
英語というのは、ひとりひとり目的に合わせて上達レベルを決めるべきだ。
わたしが尊敬する内田樹先生の本を読んだことも、この思考に寄与した。
(語学学習に悩んでる人がいたらぜひこの本の英語論のところを読んでみてほしい。日本だけでなく、語学という観点で他の国の歴史や状況理解にも役立つのでおすすめ。)
こういうマインドの変化により、ピースボート以降初めての海外旅行に来ている現在、語学の習得意欲が格段に落ちている。
維持向上のために一定のやる気は持っておいてもいいが、また必要があったらやろうと思う。
会話より情報収集の手段として
上達レベルだけでなく、習得の方法も人によって異なる。
新たな人と話すのが億劫になってしまった近頃は、英語学習のために話そうとするのは苦痛以外のなんでもない。
(人と話すのが好きなら良かったのになぁと思うことはある。)
通訳はめちゃめちゃ楽しかった。特に、大学のような専門家の講義を通訳するのがかなり楽しかった。
なぜなら、日本語では獲得できない情報が手に入れられるから。
つまり、知りたい知識を得るための英語であれば、熱意を持って取り組めるということ。
実際にピースボートに乗る前も、ADHDにつあて興味があったので、日本語リソースを一頻りさらったあとで、英語リソースをさらうときに、通訳練習やシャドーイングをしながら情報収集をしていた。
海外ニュースを聞くというのも、日本語で聞くよりダイレクトに情報が入るので良い。
こんな具合で、自分に合う方法で、英語を通じて好きな知識を取り入れていきたいし、世界にいく機会に巡り合わせてくれたらいいなと思う。
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