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イスラエル、ガザの問題に興味を持った日本人へ

全部イギリスが悪い。解散。

はじめに

親愛なる日本人の皆さん、この文章は、昨今ニュースでも多く取り扱われているイスラエルのガザ地区、あるいはパレスチナの問題に興味を持たれ、あるいは更に心を傷められている善良な皆さんに捧げます。

第3のポイント

この問題について、日本人の皆さんが知っておくべきポイントが3つあります。

1つ目は「イスラエル側の論理」
2つ目は「パレスチナ側の論理」

ここまでは、多くの皆さんも既にお分かりだとおもいます。しかし、次に紹介する3つ目のポイントも非常に大切です。それは

「なぜこの問題なのか」

です。紛らわしい言い方かもしれません。
もうちょっと細かく言うと、なぜ地球上で無数にある悲惨な紛争のうち、今パレスチナにフォーカスするのか、そして、なぜ欧米や日本ではパレスチナ寄りの論調が優勢なのか、ということを考えることが大事だということです。

ニュース、SNSの恣意性

世界の紛争に対する態度は一様ではありません。

パリでイスラム国のテロリストが銃を乱射したときは世界中で#prayforparis(パリに祈りを捧げよ)というハッシュタグが流行りましたが、同じ日に実はレバノンでイスラム国のテロがあり、その死傷者数はパリよりも一桁多かったりします。

また世界は、セルビアやクロアチアによるボスニア侵略をほとんど無視しました。「内輪もめでしょ」で済ませたのです。

シリアの内戦も皆さん忘れていませんか?

ウガンダはどうでしょうか。コンゴは…

ジョージフロイド氏が白人警官に殺害されたときは#blacklivesmatterと言って行進した方はひょっとしたらいるかもしれませんね。

しかしその中で、フルートヴェール駅で白人警官に殺害されたオスカーグラント氏のために何らかのムーブメントを始めたりプロテストに参加した人は何人いるでしょうか。本国アメリカでもほとんどいませんが。

そしてひょっとして皆さんもう、ウクライナの戦争のことも忘れつつあるのではありませんか?


なぜメディアが取り上げるのか、という問いに対する答えはパッキリとは出ないかもしれませんが、私達が注目している悲劇の他にも無数の悲劇があるということを、ぜひとも忘れないようにしてください。
私達はその場その場でメディアで流れてくる情報だけを鵜呑みにして、それらを最優先にするべきではありません。

例えば、パリのノートルダム寺院が焼けたときはメディアやSNS上でノートルダム寺院を救うための募金が呼びかけられ、莫大なお金が集まりました。私は個人的にそれは良いことだと思っていますが、皆さんの中で文化遺産の存続よりも人命救助のほうが大事、という価値観の人があれば、そのお金は他のところに寄付したほうが良いかもしれません。

大局的に世界を見ましょう。
世界はまた、良いニュースでも溢れています。あまり暗い気持ちに浸らないように。

ヒトの脳の性質

ヒトの脳は、どうしてもネガティブな情報に注目して没頭しがちです。なぜならその方が適応度が高かったからです。失敗してもそこから何も学ばずヘラヘラしてる猿より、失敗を頭の中で何度も反芻してどんよりした気分ながらも同じ失敗を繰り返しにくい猿のほうが生き延びやすいわけです。

生き延びやすい=幸せになりやすい
ではないことに注意して。

ヒトの脳に、ネガティブな情報に吸い寄せられやすい性質があることを覚えておいてください。

一瞬、イスラエル側に立ってみる

さて、長々と書いてきましたが、そもそもなんでこんな文章を書こうかと思ったかというと、SNS上での論調があまりにもパレスチナ側を支持する方に傾きすぎだと思ったからです。

それは私の個人的な感想に過ぎません。

しかし、皆さんは例えば以下のような視点に触れたことはありますか?仮にあなたが25歳のイスラエル人だと想像してみてください。

・あなたは高校生。バスで通学しますが、ブルカに身を包んだ人が乗ってくるたびに、パレスチナ人の自爆テロによる死を覚悟する毎日を過ごします。

・あなたの母親はパレスチナ人のテロにより20年前に亡くなっています。あなたの幼馴染のうち、1人はパレスチナ人による自爆テロで亡くなり、1人は失明しています。あなたも爆発音や銃声を身近で聞くことは稀ではありません。日本でいう地震や台風のようなものです。

・あなたは18歳の時に兵役に出ました。マサダ要塞でイスラエルをなんとしても守り抜くことを誓います。

「マサダは二度と陥落しない」

マサダ要塞は、およそ2000年前にあなたの遠い祖先がローマ帝国に対して起こした反乱の最後の砦でした。圧倒的なローマ帝国の兵力に押され、最後はユダヤの戦士たちはその要塞の中で自害しました。
ユダヤ人に対する長い迫害の歴史と、今、数千年の歴史の中でついに、自分たちの国と呼べるものがあることのありがたさ。
家族のため、恋人のため、防衛に命を懸けることを深く心に誓いました。


…以上の話は、私の知り合いのイスラエル人たちの話を総合して作った架空の人物の経験です。しかし、それなりにイスラエル人たちの間で共有されている体験と考えて良いように思います。身近な人がパレスチナ人に殺されている。ユダヤ人の現代まで続く悲劇的歴史を教育されている。

さらにパレスチナに行った日本人の話を聞くと、イスラエルはほとんど西洋的だけれども、ガザ地区に入ると極端に人心が荒廃しており、日本人だからと言う理由で人々から石を投げつけられたり出て行けと言われたりしたことがあるようです。
もっとも私の直接のパレスチナ人の知人たちはそういうことをするタイプには見えませんが、彼らの本拠地ではまた振る舞いが変わることもあり得るでしょう。まあ、一つの事例と思ってください。

ただ、「善良な無垢の民、パレスチナ人が邪悪なイスラエル人に侵略を受けている」という見方にはどうしても無理があると思います。パレスチナ人は全然善良じゃないし、喧嘩してるのはお互い様です。強いか弱いかの違いしかありません。むしろ先手を打って酷いことをしているのはパレスチナ人から圧倒的な支持を受けているハマスであると主張することは難しくありません。

そもそも、イスラエルはただ単にイギリスとの約束に従って与えられた土地に建国しただけです。パレスチナも同様ですが、最初はイスラエルの立場は「うーんなんかイギリスが嘘ついたから変なことになってるけど、まあ仕方ないし一緒にどうにかやっていきますか」でした。イスラエルとの共存を拒んだのはパレスチナ側です。そして、イスラエルは建国直後から周囲のイスラム教諸国から猛攻を受け続けることになります。

また、イスラエル人の中には「アラブ人には本当に申し訳ないが、ユダヤ人がこれ以上迫害されることは許されないので徹底的に叩き潰させてもらう」という考えの人も相当数いるようです。つまり、彼らには「そんな酷いことやめたほうがいいと思います!」という勧告は意味がないのです。彼らは既に、パレスチナの非戦闘員も含めてイスラエルを脅かす存在の抹殺は必要な悪であると割り切っているからです。


以上、パレスチナ寄りの情報を少しでも中和すべく、敢えてイスラエル寄りの事例を紹介してみました。

おまけ

最後に私が2019年にベトナムでイスラエル人たちと交わした会話を紹介します。

ガブ「コウスケ、お前は今ここにハマスの自爆テロリストが椅子に縛り付けてあったらどうする?」
私「警察に連れて行くかな。」
ナダ「え、何言ってるの…僕だったらできるだけ痛めつけてから息の根を止めてやるよ。」
私「え?」
ガブ「ナダ、それは良くない。そんなことをしても憎しみの連鎖が続くだけだ。」
私(ホッ…)
ガブ「俺なら苦しまないように脳天に一発ぶち込んで終わりだ。」
私(えぇ…)
ガブ「変な話ししてすまんな。俺たち兵役明け直後だし、みんな家族や友達がアラブ人に殺されてるからさ…しかしイスラエルでカフェかなんかに行ってご覧。全員こういう話で持ちきりだよ。」
私「全員?」
ガブ、ナダ、ダニ、ソフィ、カミ「全員!」
私「そうなんだ…」
ナダ「皆はアラブ人と共存できる?」
ダニ「俺はいいんだけどさ、てか、俺らユダヤ人は別に気にしないよな。でも向こうが自爆テロしてくるんだからやっつけるしかないよ。どれが善良なアラブ人でどれがテロリストかこっちにはわからないんだから…」

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