見出し画像

Inahouse 2012 ~家が建つということ~

 置いていたガスコンロが問題になり、担当の教授からの注意もいただき、秘密基地はとりあえず撤収ということになった。 まあ、どう考えても非はこっちにあったので何も言えない。だけど、困ったのは場所を失ったということだ。一番自由っぽい野音の裏というスペースもダメとなれば中々候補地は見 つからない。 そんな時に見つけたのは坂口恭平によるモバイルハウスといういい訳である。小屋に車輪を付けてしまえば、建築物ではなく軽車両になるというもの。これだ。大学二年の夏に仲間と財布を突合せ、工具代を入れても3万円程度で掘っ立て小屋を建てることができた。小屋といって も垂木で骨組みを作りそこにベニヤを貼っただけのもので、虫は入ってくるわ、床は抜けるわ、暑いわで住めるものではなかったのだけれど。 それでも、家が建つ!(もしくは家“らしきもの”)というのは感動で、これを改良すればなんだか素敵なことが起こる予感がした。
 計画通りに物事は進まないもので、いざ作業してみると、数ミリの ズレが数センチになり、ゆがむ、隙間ができる、材料が足りない。 家というには頼りないかもしれない、木の箱ができた。 しかし、何よりも大きかったこと嬉しかったことは、どうやら家は建てられそうだということが見えたこと。ズレようが、隙間ができようが建ったものはたったんだ。それが大事だった。
 秘密基地もいいけど撤去命令が出ると仕方がない。そんな時に出会ったのが坂口恭平のモバイルハウスで、移動可能性。 タイヤをつけてヤドカリのように家ごと移動してしまえばいいんだという結論に至った。 手持ちのお金でホームセンターで買える材料、垂木やベニヤを使って家を立ててみ ようという計画。

2021/11/12
学部時代に「資本主義へのアンチテーゼじゃい!」と啖呵をきった。それをネタに「資本主義への味の素」とヤジったポスターをデカデカと校内に貼られたことを思い出した。
確かに上手い。それだけに、あーいう奴らのヘソを取ってやりたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?