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算数と社会ができませんシリーズ


前回、通訳料を3万円から1万円に自分で値切った拙者ですが
「損する池」に自ら飛び込むご乱心が、時々起きます。


大学生の時。
「英語が話せる地方大学生(=me)」に、バイトの話が来ました。
シルク・ド・ソレイユ(世界雑技団)の公演中、
日本人スタッフと、ソレイユな方々との橋渡しをする楽屋通訳
時給1500円。

日本人スタッフの事務室で待機するも…
出番がほとんどない。
ステージでアナウンス、という表舞台は一度あったけれど
あとはタクシーを呼ぶくらいで、ひま。

同じ大学生バイトの皆さんが忙しく働いていらっしゃる中
女中体質の私、座って読書してても文字が目に入るわけがない。
→皆さんと同じ激務に飛び込みました。
トイレで座ると立つのが辛いくらいの。

同世代との連帯感を深め(た気になり)、職務全う!
したら、何が起きたと思います?

時給が、雑用バイトの800円にお下がりになったのです。
座って本読んでたら1500円だったのに…。
親にも口ごたえできない体質の私はもちろん、そのまま受理。


同じく大学生の時。
英会話スクールで数週間教え、バイト代をもらいに行かず半年。
電話したら「あなたは誰だ?今ごろ連絡するなんて非常識だ」と、不払い。
私が非常識なら、あなた様は非情式。


28才。
長野の、家族経営ラーメン屋で朝6時〜夜12時までの住み込み激務。
月給3万円(!)が数ヶ月支払われず、コミュニケーションも滞り
悩んだ末にどうなってますかと聞いたら
「フーテン長野編、今日で終わりにしてもらおうか」とクビになりました。
解雇宣告、前もって準備してセリフ練習までしてたのでは疑惑。
同じ土俵にいたくなかったので、電話代3000円を残して去る。

アスカ出版(のちに那須ブックセンターを開く方が在籍していた)
から英語の本を何冊か出すことになり、
長野でバイトしながら執筆
と思って東京から引っ越したのに激務で書けず、
出版ボツになった
というおまけも、プライスレス。


損な池ストーリー、売るほどあるはずが、これ以上思い出せない。
お、痴呆便利、good job!このまま忘れて埋め立てよう♪


と思えるのは、たぶん夫が、私に輪をかけて、損池飛び込み体質で
私とちがって、なんならそこでエンジョイスイミングする人だから。
https://note.com/inaho829/n/na892c25e22fa

自分のCDは欲しいと言う人にコピーして配ったり
うっかり原本もあげちゃってメルカリで自分のCD買ったり
首都圏の演奏のギャラはほとんど交通費以下で
下道を運転して夜明けに帰ってくる。
そして人に何かを頼む時、お礼は必ずその日のうちに、多めに渡す。
自分の赤字も黒字も関係ない。

最初の頃は(自分を思いっきり棚に上げて)
「皆あなたより裕福なんだから(家に水道あるんだから)
 ちゃんともらいなよ」と言ってたけど。

「楽しければいい」とニコニコするのを見ると
 彼は損してると言うより
「どっかに積んでる」、と思うようになった。
 事実、ピンチになると笠地蔵が現れる。
https://note.com/inaho829/n/nc29471c40a01


損する池、けっこう澄んでて。
ダイビング気分で底まで行くと
日本昔ばなしの入り口につながっているのかもな。

ニュースもsnsも、得したい人だらけの昨今、
損してニコニコする人の方の近くにいたいなと
改めて日本むかし話を見直すのでした。

(写真:夫お絵かきタイム)

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