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心理学おもしろ話、サビタイジング

 ひっさしぶりに、記事を書きます。今まで、記事を2,3本だけ書いていて、もうすぐで三日坊主になるところでした。

 さて、これを読んでいるあなたは、サビタイジング(subitizing)という言葉を聞いたことがあるだろうか。知覚や発達心理学で用いられる用語だが、目に映ったものを数えることに関係している。言葉で説明するよりも、実際に体験した方がわかりやすいので、簡単な実験刺激を用意した。下に、動画があるので、是非見て欲しい。動画を見ながら、やって欲しいことは、画面に(一度に)映った丸の数を数えるということだ。では、どうぞ!

 さて、これで何を体験して欲しかったかというと、実は、あなたは丸の数に応じて、2つの数え方を使い分けたはずである。1つ目は、映った丸を「1.2.3….」とひとつずつ数える方法。2つ目は、映った瞬間に、「2!」とか「3!」という風に、すぐに、合計数がわかる数え方である。この、瞬間的に合計数がわかることをサビタイジングという。
 個人差があるらしいが、大抵は、3か4個ぐらいまでは、このサビタイジング で個数を把握できるらしい。
 では、このサビタイジングを今初めて知ったという人もいるだろう。普段生活していて、ものの数え方の違いに気づく人は、相当の変態に違いない。しかも、研究者はそれを大真面目に実験で、統計的に測ろうとしているのだから、面白い。
 しかし、実験心理学が生まれる数千年前から、ほとんど全人類がこのサビタイジングに気づいていたと言ったらどうだろうか。そして、その証拠は我々が毎日使っている言葉の中にある。例えば、漢数字の、一・二・三・四・五という並びを見て、何か気づかないだろうか。そう、実は、三までの漢字には、横棒の数に規則性があり、その先の数字にはない。これは、我々が、三までの数字に何か特別さを感じていたという証拠と言って良いだろう。また、漢数字だけでなく、ローマ数字を見ても、I・II・Ⅲ・Ⅳ・Ⅴと同じ規則性が見られる。
 
 昔、厚切りジェイソンのネタで、漢数字の勉強をしていて、三までは法則があって覚えやすいのに、四はなんであんなムズイんだ!Why Japanese people!!!と叫ぶのがあった。見ている人も、確かにそうだと納得して笑っていた人が多いと思う。しかし、その理由は我々の心の中にあったのである。しかも、全人類の中に。



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