『異常快楽殺人』と『殺人犯はそこにいる』、『日本のいちばん長い日』
連休なので本が進む。こういうときに何から読み進めて、読了後、次に何を手に取るのか自分でも不明なのが連休読書の面白いところなのだけど。
古本屋で見つけた『異常快楽殺人』は前から読んでみたかった本なのだけど、重いことこの上なかった。登場する七人の殺人者たちのずしりとした実在感は何なのだろう。悪夢を見るくらい恐ろしいのに(恐ろしいのはそこに溢れるリアリティなのだ)、実在の殺人者を一人読み終えて、息をついて、またページをめくるぼくは何なのだろう。
『異常快楽殺人』の流れからそのまま『殺人犯はそこにいる』へ。なんというか、とても怖い本だ。『異常快楽殺人』とはまた別の怖さ。最後の犯人への呼びかけは本当に背筋がゾッとしてしまう。そして、その上でも自己防衛を優先しようとする権力の怖さ。
権力といえば、と本棚をまさぐって『日本のいちばん長い日』に。ポツダム宣言受諾を決定した八月十四日正午の御前会議から十五日正午の玉音放送までの二十四時間の物語。権力が瓦解する瞬間と咆哮。回天する時代のきしみ。こんな緊迫した事件が起きていたなんて全然知らなかった。偶然だけど、十四日十五日と同じ日付で読み進めるのはとてもスリリングだった。
期せずして三冊ともノンフィクションで、どれもべらぼうに面白かった。しかし明日は何を読むんだろうか。
(二〇一六年八月)
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