手放す勇気のなさに溺れる



物が捨てられない。

あまりにも、あまりにも愛着を持ってしまう。

せっかく引っ越したって一瞬で汚部屋のできあがり!かも。そうかも。


小学生の時に使ってたラメラメのペンとか
中学生の時の国語のファイルとか
高校生の時の行事の参加賞のピンバッチとか
大学の好きだった授業のレジュメたちとか

使わない。
そこにあるだけ。でも、捨てられない。

物に溢れたまま部屋はどんどん狭くなっていく

幼い私が可哀想で愛おしくて、その子を愛してあげられるのは今の私とこれからの私だけだ。きっと。

舞台のパンフレット、ブロマイド、DVDにペンライト、買ったまま一度も開いていない雑誌とかも
それからチケットの半券

新しく増えた物なんてほんの、そのくらい


今の沼に沈んでからというもの、服を買うペースが極端に落ちた。
お洋服が、靴が、バッグがだいすきだ。いまいち揃えられていないけどアクセサリーもコスメもすきだ。心ときめくものを身に纏って毎日過ごせたらどれだけ幸せだろう

そうは思っていてもお金は増えない
減るばかり。バイトはお小遣い稼ぎというよりも社会勉強とか働いてみたいとかの理由でちまちまとしていたからマイナスの月も何度もあった


だからクローゼットの中身は大学1年生の頃の私で一杯だ。
何もかもに出会う前、何も知らないうちのわたし

ちょっと可愛くみられたくて控えめながらもピンクやフリル、リボンで量産型のような、オタサーの姫(系?風?ふんわり)のような、メンヘラのような(これは否定できない)そんな服ばかり
当時の私によく似合っていた。完璧だった。

「大学デビューしようとするもいまいち垢抜けない大人しめメンヘラ私文新入生選手権」があれば間違いなく関東代表くらいにはなれたとおもう


こうして波間にざぶざぶと足を取られていくうちに何も手放せなくなる

気付いたら水はもう膝の高さを超えていて、スカートの裾がじわりと濃く染まる
あぶない!

どっと後ろに倒れ込んでまた現実に戻ってきた


はぁ。

最近こればっかりだ


断捨離!身軽な生活!と張り切ってはみたものの何も変わらない

捨てられないのなら先に買う方を、と思ったらそちらはどんどん進んでいく
あまりにも捗る…

100均のお会計が2000円を超えたのは初めてだった
ありがとう価格競争世界


ああ三連休が終わる
何もしないまま、また6時まで起きてて寝て、もう一度目がさめるのは14時とかだ

こんなの良くないと分かってるはずだ
頭で理解は出来ている

でも砂がざりざりと足に纏わり付いたままで気持ちが悪いし、何度水につけても落ちないし
波は高くなってきたし、遠く思えた島はあんなに近かった


家の至る所にこんな風に閉じ込められた私が散らばっている
愛されたくて満たされなかった私たちだ

置いていけばいいのか、形あるものはいっそ捨ててしまった方がいいのかわからない



ペットボトルの浮いた緑黒い海からもうすぐ今日も日が昇ってくる

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