バイアスぅ…。


特殊ミステリー歌劇「心霊探偵八雲」-思考のバイアス-

何回か観てみたりしたりしました

池袋のtheater Mixa初めてだったんですけど
キャパ小さいのもあるけどめちゃくちゃめちゃくちゃ見やすいです!!!!
立ち見も2階も!近い!!!!2回最前はガラスあるんですけど切れる部分もかなり少ないです。良心設計。
せやかて工藤、下がゲーセンとパチ屋なのは治安悪いで…建物自体の存在は認識してたんですけどまさか劇場あるとは思ってませんでした…ライブハウスもあるらしくイベで行く機会もあるかもですね。


と、書いたところまでで前楽を見終えてからはや1ヶ月ちょい。
そろそろいろんなことを受け止める時かなと思ってもう一度これを書いています。


原作はもしかしたら読んだことあるかも?記憶ないんですが、キャラクターがスッと入ってきて良かったです。
八雲くんに説明的なセリフが多かったのはまぁしょうがないけどキャラクター的にそこまで違和感もなかった。彼は頭の中でああいう台詞みたいに字の文がザラザラ流れてるんだろうなって思うので。

もうね、笹森!立花!永田!って感じで(敬称略)凄かったですね
どの層に向けて商売しようとしてるのかがハッキリしてて潔かったです。私はこれ今の2.5の形としてありなんじゃないかなって思います。
御子柴先生の台詞量の多さや押し出し具合はわかるのですが、後藤刑事にいきなりソロがあったり矢口さんが急にソロ曲やったりするのはやっぱりそういうことなんだろうなと思ってました。

毎公演のようにアフトとお見送りがあるのも、イベントが途中発表で挟まったのも、何もかも今の2.5界隈にフィットしてて、お金を出すキャストオタクからはしっかりガッツリ稼がしてもらいまっせ!って感じが私は結構好きですね
だってお金出す層がはっぴーな方がいいじゃないですか。


ただそれを、舞台としての面白さを削がない程度に差し込むのがとっても難しいですよね。
今回はギリギリを攻めて来た感じはあって普通に大筋面白かったから何回か入ったけどこれ何回も続いたら萎えるかも。推しの演技的な見せ場、とくになかったし。

(これは追記であとから書いてるんですけど、八雲は楽曲がいいです。メインテーマのプライムナンバーの歌詞のことを思い出していました。
「君に見えてる世界は僕が見てる世界じゃない」を毎公演噛みしめて、これを刻んで。自分が持ってるバイアスをブチ壊せるように。これは当たり前じゃないっておもいながら見てたはずなんです。だからきっと今メンタルぐちゃぐちゃではあるものの普通に生きていられる。これでよかったんだと思います。
「君が君であるための魂の素数」という歌詞でこの曲が終わるのも良い。美しいひと、演技が良いひとたちが溢れているあの世界で、素数になるために、素数でいるために戦うあのひとたちが私は大好きなんだな、って。)


今作、簡単にいうと「好意のかたち」「バイアス」「ファムファタル」みたいなのがテーマになってて見やすかった。テーマがはっきりした舞台は見やすくていい。

角田くん、飯塚、中谷くんの3人に言い寄られる水川マジで強すぎる美人だし守ってあげたくなる感じ?かもだけどにしてもすごいよね

魔法少女アルカナのコスもめっちゃ似合ってて可愛いんだよね…ツインテふわふわ衣装は正義…
冒頭は誰も舞台上にいない状態でアルカナのテーマ(アニメのOP)を流してるんだけど、これ2番までしっかり歌詞も作られててすごい。普通に曲が好き。ニチアサ。ここ入場制限かけてるのもポイント高い!これを数回ロビー?ホワイエ?で聴くことになった私ちゃんなのですが(時間管理能力皆無)(限界オタク)ここをしっかり聴かせることで効果的に角田くんの物語が響く感じがしますね

学生課でたまたま見た素敵な職員さんでしかなかった水川さんをコスプレナイトのスタッフに無理矢理呼ばれて出会ってしまったことで大好きなアルカナに重ねてしまう、っていう偶然はエグいけどこんなんさぁ…角田くんまじのオタクだもんね…
現実との区別がつかなくなってんのはやばいけど飯塚から水川さんを守ろうとした、救おうとしたっていうのは角田くんも中谷くんも同じことで…それ自体は別に問題ない?よね…まぁ付き合ってもないし他人だから介入するなら中谷くんみたいに略奪して彼氏になってからだろうとは思うけどいんきゃオタク大学生がそれ出来るかと言いますと……

前半のアルカナのテーマにコール入れてる時と、終盤の「僕が代わりに歌うから、きいててよアルカナ…」の時の差がもの凄いしキャストさんの歌唱力というか演技としての歌がもの凄く良くて毎公演そこでゾワゾワきてた
あれ、めちゃくちゃ良い…推し、好きな人のためになんでも出来てしまうタガが外れたオタクとしてあれ以上の表現はなかなかないんじゃないかなって思います。


そんな不器用でストレートな角田くんに対して、冷静でスマートなのが中谷くん…
彼氏と上手くいっていない隙にうまく滑り込むし、おそらく「好き」のワードすら引き出してるんだろうな…盗聴問題で彼も犯罪者ではあるけど直接誰かに物理的加害を加えることもなかったしね。あとは水川さんの方から飛び込んできてくれるのを待つだけだった。これって大人の狡さだし、盗聴問題は抜きにして笑 良くあるよねこんなの。
「彼氏と上手くいってないんだ…そっか辛いね、俺はいつでも話聴くからね?きみの味方だよ?」って悪魔の誘いすぎます…。これたまたま飯塚がクズいことしてたからあれだけど、、、そうじゃなくても水川さんは靡いたと思うしマジでこの女〜💢てかんじ。笑笑

突然現れた「私を理解してくれる王子様」だもんねそりゃ水川も好きになります。
そうはいっても「飯塚に酷い扱いを受ける可哀想な私」というアイデンティティも確かにあったわけで、飯塚の「出た!いつもの『酷い、私可哀想』!」っていう台詞も的を射た感じではあるんよな。
飯塚水川は「なんだかんだこんな俺に着いてくる可愛い女」「酷いところも強引なところもあるけど私のことが好きな格好いい男」とお互いを思って共依存だった訳だし、あのまま共倒れしちゃえばよかってのに、って思う。

いうても飯塚は轢き逃げにウリの斡旋までして普通に法に触れまくっているのでやばいけど。
水川も惚れさせたやんでも言うこと聞く男に人殺しまでさせるので別のヤバさがある。やば〜。


ていうかさ、刑事組めっちゃ喜劇要素を担ってて愉快だったね。キャラが可愛かった。(刑事組の)オタクじゃないのにめっちゃ目線も来たしすげ〜
みんな丁寧だったすごく。めっちゃ良かったね。舞台のアクセントというか、スパイスみたいな感じに徹してて、八雲御子柴が出せない(出しづらい)緩急を作る意図でつくられたキャラだったと思うんだけど、製作陣の考えをきちんと汲み取って形にできるキャストさんが当てられていて良かったな。歌も素敵だったし。

ファンサの話で言えば御子柴先生と異様に目があったなぁっていうのを思い出す。
意外と矢口さんとのシーンは多くないって言うか矢口さんのシーンは多くない舞台だったから、ながたさんが舞台上にいない時はぼんやり笹森さんの御子柴先生を見てることが多かったんだけど(キャラクターとして八雲より御子柴先生の方が好きだというのと、長台詞とかも噛まないのが良かったから)めーーーちゃめちゃ目が合う。もう、とにかく。
単純なオタクだからすきになっちゃった。2階に座ってても一階でも立ち見でもどこでも目が合うから凄い。まぁ私だけを見ている訳ではなくて目線を丁寧に飛ばしているんだろうけど、飛ばす相手もきちんと選んでいるようだったのが良かった。笹森さんは自分と、自分に向けられた視線に対する感覚がほかの俳優陣よりも鋭敏でそれに対するアクションを取るのも早い。ほとんど感覚的、反射的にこなしているんだと思う。「あ、自分のオタク見つけた、目線飛ばしとくか」の間がほぼない。気付いた時には自分を見つめているオタクの方へ顔を向けてるような感じ。上手いね。


永田さんは、ちょっと、ずっとくるしそうだった。
そりゃ、そうだよ。そう思うような役どころで、そう思うような脚本演出だった。
彼は、なんていうか、オタク嫌いだなっていうのは前々から言っているけど、なんていうかな…先述の笹森さんと真逆なんだ。

自分に向けられる視線とか感情を感じ取る力が強いのは一緒なんだけど、それを「うまく使ってやろう」という気持ちが皆無で、むしろ「永田聖一朗」というキャラクターを見ているオタクに嫌悪感を隠さない、のか隠せてないのか。
自分の演技を見て欲しい、でもそんなの見てる人なんていないんじゃないか、みんな過去に演じて来た役に自分を重ねていて、自分のことなんて何にも見ていない。それが悔しいけど、どんな形にせよ見てももらえない方が辛い。って、そう思ってるんじゃないかなって予想です。私の勝手な思い込み。

演技的な見せ場が全然なくてしんどかったな。オタクがしんどいならながたさんはもっとしんどかったはずだ。
江おんの後で立花さん笹森さんと一緒だったことも、2人と台詞量や内容が全然違ったのも、きっと彼を苦しめたんだと思う。
ふざけたがりで目立ちたがりなところがあるから、矢口の「おいしさ」みたいな所はきちんと理解されてたと思うし、今までとアプローチの違う「オモロ」を作ろうとしてたことも、歌唱が良くなってたこともちゃんと伝わった。

ただ、この歌劇八雲を、江おんのあとの名残りみたいに消化するのがキツくて、
何か次に待っているお仕事の準備みたいな、成長のための練習みたいな、束の間の休息みたいな、そんな風に見てしまった自分が悔しい。
歌劇八雲は、歌劇八雲で、これで終わりなのに。これはひとつの作品なのに。

確かに面白い作品だった。リピートしても楽しくて、いろんなキャストさんに目を引くポイントがあった。
いい舞台だった、きっと。

ただ、これが終わりで最後になるかもって思った時に、どうしてもまだ、それを受け入れられない。
そんな見方をしてしまった自分を私はきっと生涯許せないんだろう。


推しがいつでも舞台の真ん中に立って見せ場だらけの素敵な舞台ばかりじゃない。
そんなの分かってるけど。

苦しい。
俳優 永田聖一朗のいない世界は今日も平和で、明るくて、美しくて、楽しくて、幸せなことで溢れてる。

それが苦しい。
そんな世界で平然と生きてしまっている自分を、もう正面から見る勇気はない。


私はまだ、さよならを言う準備なんてできてない。
それが、ながたさんを傷付けることになるとしても、帰って来て欲しいと思う身勝手な心がまだ自分の奥底にいて、何でもない一瞬に何度だって戻ってくる。

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