優先順位をつける悲しさ

なにかをいちばんにすることは、
とても幸福で暖かく優しく美しい尊ぶべきこと

でもそれは同時に、
なにかを2番、3番にしてしまうことでもある


何かを切り捨てなければ、大事なものは手に入らない
全部は欲張れない。そしたらきっと何も得られないから。


刀剣乱舞のログインボイスで唯一聞くのが怖いものがある

「僕をいちばん愛してくれる人は誰だろう?」


誰、だろう。

私、君のこといちばん、愛せているのかな。
世界でいちばんに君のことを愛するってこと? 誰よりも君を愛する気持ちを持ってるってこと?

どちらにせよ、きっと、たぶん、おそらく、
違うから。誰だろうって、言うしかない。


ただのゲームだ。決められた台詞だ。

でも、怖い。
それは私だよと言えないことが。


こんなデータに、感情移入を。
笑うひともいるだろう。

だけど想わずにはいられない。
その、決まり切った台詞を。その心を。


私は昔、48系のアイドルちゃんたちのCDの売り方が嫌いだった。

捨てられたCDの写真をニュースで見て、
これを買い、捨てた人の愛は理解できないと思った。

聞かれなかったCDの、握手券が抜き取られたCDの、直接見たこともないそれを想うと心が苦しい
酷く悲しい。CDは何のために作られたのか。売られるためか、お金儲けのためだけか。


推しが本人名義でCDを出すと聞いた時
高く積まれ捨てられた山がフラッシュバックした。あれは、悪夢だ。

そんなことする人なんていない。
わかっていても恐ろしかった。


セカンドシングルも、1枚でいいと思った。
私はその1枚を大事に大事に、歌詞カードを見てはにやつき、繰り返し聞くだろう。

それがちっぽけな私の、細々と応援を続ける学生のひとりの、ささやかな愛であった。


馬鹿みたいだ。
握手2回分、たったそれだけ買った。

それでも今、机の上にCD only版が2枚仲良く並んでいるのを見て毎日

何も感じない

そこには何も無い


なにもないよ。どこにも。

どうせ複数買いするならもっと買えばよかったのに、あとほんの十数枚でオリコンの順位が変わったのに。

とんでもない馬鹿だ。
積むことも、1枚を大事にすることも出来なかった。


私にはなにも出来なかった。

ここにはなにもない。
なんにも、ひとつもない。



握手2回分の、ほんの少しの何物にも代え難い数秒間と、この手の暖かさと、幸せな気持ちと、
私はたくさんのものを持ち帰ったけど

握手券を抜き取られただけのCDはなにを想うのだろうか。

こんな、中途半端な私を、
きっと許さないだろう。



『勝利の凱歌』は、2枚だけ買った。
物吉くんのジャケットの方のシリアルコードが私と妹をさいたまスーパーアリーナに連れて行ってくれた。
幸運を運んでくれたと、みんなに自慢した。

私の中のいちばんは、『三百年の子守唄』だ。
まだそうだ。これからのことはわからないけど。

『BE IN SHIGHT』も、2枚だけ買った。
Beautiful Lifeと、Versusが好きでアルバム発売まではとても待ちきれなかったから、2枚。

みほとせの時と同じ枚数だ。


『阿津賀志山異聞 2018』
プレミアム会員先行は、全部外れてしまった。

まだちょっと焦っている。
1度も劇場に行けないかもしれない。
これも、観劇の楽しみだ。当たるか、外れるか。わくわくどきどき、眠れない。

CDを買い足そうとしている。
同じものを買えばそこにあるのは「空」だから、最大でも6枚。そこは、自分の中で確実になったルールだ。
『螺旋』は私を許さないだろう。


ただそれが、優先順位が狂わせる

みほとせの時より多い枚数を買うのか、
今まで買えていないDVDよりCDを買うのか、
単騎や乱舞祭で使うはずのお金を使うのか、

私はなにをいちばんに選ぶのか。



ただただ悲しい。

いちばん悲しいのは、それが全て私のせいだということだけが私にもはっきりとわかっているということだ。

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