大地をカチ割れ呪いに打ち勝て



ミュージカル ジェイミー
2021.08.11  昼公演を観劇しました。


フォロワーに聞いていた通り、大人がえぐい…
子供としてみるとこれはかなり苦しいというか毒親育ちには耐え難い苦しみがありますね……

しかし!総括、大好きです!!!!
違うキャストさんのバージョンも観てみたいなと強く思ってます!ありがとうU25!チケット増やしたい!!!!
こうなるので今のご時世だけでもU20やU25のチケット売れば良いのに…空席より安売りで夏休みの学生さん掴みなよ……


ジェイミーやプリティは16歳とは思えないほど自分の意見をしっかり持ってる。大人たちに害されずここまでまっすぐ育ってこれたのは本人の努力と素晴らしい人柄あってこそ!
劇中の出来事を経て2人とも最終的に自己表現までできるようになっていて本当にすごい。
私はそれが出来なかった子供なので羨ましく眩しく思って見つめていました。

そしてこの2人、歌唱力がとにかく凄い!!!!
私の鑑賞回は高橋さんジェイミー、田村さんプリティだったんだけど、特にプリティは圧倒される歌声!!!!
伸びが良くて2階まで響きがある上に私の好きなディズニーの似合うタイプの夢見るボイス!発音も丁寧で歌詞が聞き取りやすく(今作全ての歌詞が聞きとれたのはプリティとドラァグさま達だけだった)柔らかいのに意志を感じる、強さと可憐さが両立されていて素晴らしい!!!!


お話としては「うまくいくこと」「うまくいかないこと」のバランスがちょうどいいなと思いました!
母親の理解を得られる、先輩に応援されてショーにすぐ出させてもらえる、そこで同級生たちに認めてもらえる、最終的にプロムにパンツドレススタイルで出席できる!
父親に嫌悪される、いじめっ子にいじめられる、先生からなかなか理解されない…
何もかもうまくいきすぎてもつまらないし、辛いことばかりでは救われない…楽しくポップにしつつも主人公が辛いことを乗り越える成功体験を積んで行く、いい構成だなと思いました。実話が元になってるとの事だったけどどこまでなのか…

まず実話の部分かと思うのですが母親から理解され、丸ごと愛されていたのが羨ましいなと思いました。
私はおそらくデミセクシャルで、女の子を好きになったこともあるのですが母親はテレビでLGBTQの話題が上がると「こういうのだけはお願いだからやめてね」と言うのでした。それがたとえレズビアンの方がディズニーで結婚式をあげたとかそういうおめでたいニュースだとしても。高校生くらいまでは「私が当事者だったらどうするの?左利きと同じくらいの割合のひとがLGBTQと言われていて妹は左利きだよね?少数派で変わっているけど気持ち悪いからやめろといったことがある?」と何度も何度も言葉を変え易しく分かりやすく伝えて来たつもりだけど、22歳で私が家を出るまで結局母は受け止めてもくれませんでした。親なんてそういうものなのです。現実ってそういうものなのです。だから本来ならいちばんの理解者であって欲しい親にさえ子供は自分のセクシャリティを隠す。

しんどくなってきました
「我が子」の歌、感動シーンなのはわかるんですけど母親がジェイミーを自己から切り離せていないのも浮き彫りになる象徴的なシーンだったと思います。親って子供と自分が別の人間なことを理解できてないことが多いからこんなに苦労するんですよね。はぁ。。。
母からしたら良かれと思ってやったことで愛する大切な息子から暴言吐かれてもそれでもあなたはわたしの息子!っていう良いシーンなんだろうけどわたしはここで震えが止まりませんでした。恐怖でしかなかったです。親ってこうやって美談を作るから。自己正当化を図るから。あれって優しさでもあるけど裏切り行為でもあるし16にもなった息子を赤ちゃん扱いする行為でもあるし、子供には両親揃ってなきゃダメって呪いを1番かけちゃいけない自分自身と我が子にかけているってことの証拠にもなるんですよね。とにかくしんどかったです。


こんな風に現実はミュージカルのようにはいかないけれどそれでも、どんな親を持っていても、どんなセクシャリティーでも、世間からどんな目で見られていても平等に、残酷にも明日は来てしまうんですよね。
どうせ明日も生きなきゃいけないならせめて、心にミミ・ミーのような自分を奮い立たせてくれる存在を飼っていたいなと思います。


あとは赤い靴につま先をちょっと入れるだけ。
辛いことなんて全部踏み壊して、高いヒールかち鳴らして
前を向けるように。

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