お願い、隣に座っていて


私は連番が大好き。

出来ることなら私が見に行く公演は全部、誰かしら(ツイッターの譲渡で探したんじゃない)と連番したい

みるまえと、みたあとに、
すぐに気持ちを共有できる相手がいるのは素晴らしいことだし

自分が気付かなかった目線を持ってる
同じものを見たはずなのに違った気持ちが飛び出すところが

うーん本当に最高!

泣いててどうしようもなくなっちゃった時に助けてくれるのも。

ありがと。


誰かが隣にいることで、
変わるの。見方さえも。

あっ、このシーン好きそうだな
って思うと、隣に意識を集中。…やっぱり好きみたい!

このセリフ、泣かせにきたな…!
って思ってたらひとあし先に泣いてるお隣

目で追わなくても隣の席は
空気で何考えてるかなんとなくわかっちゃう

私が思ったこともきっと、伝わってるのかなあ
そんな気がする。たぶんそう。


知っている人に隣に座っていて欲しいのは
そういう楽しみがあるから

それに、安心するから。

本当に心に響く作品だったら
私は客席の暗闇にひとりぼっち

異世界の中でたったひとり。

取り残されて不安になった



私はいっつも『三百年の子守唄』の話がしたくなる
それも、初めてみたあの日の話を。

怖かった。
本を読むのとは、映画を見るのとは、比べ物にならない
そこで、目の前で、手を伸ばせば届く距離で、

今まさに。物語が進んでゆく
開演前に私がいたのとは別の世界で

私はその空気に飲み込まれていって
自分の輪郭がなくなってしまうような、ぼやけた気分の中でひとり
暗い客席にただひとり私ひとり


暗転して、舞台の上の眩い光が
何もない無に還る

その時に私は膝に置いておいたタオルを目に当てて、僅かな瞬間だけ、自分の形を取り戻した

隣で友達も涙をぬぐっていた。

ああ、ひとりじゃないんだった


何百人という人がこの世界を同時に
贅沢にも私たちだけが
それから舞台の上の役者さんと、作品に関わった全てのスタッフさんが
そんな、この世界の中のほんの少しの人だけ

噛みしめて、ゆっくりと喉の奥にとおしていく。

周りはみんな同じものを体験しているのだった。
それさえも、忘れかけるほどの波だった。

飲み込まれて、わたしが消えてしまわなくてよかった。
隣にいたから、自分が生きていたところに、もとの場所にきちんと帰ることができた


私にはそれが丁度いい

暗い客席で、お互いの顔も見えなくて
気配だけ
でも確かに近くにあって、

そのくらいでいい。
それだけでいい。


劇場の外だって、おんなじ。
常に目を合わせて見つめあって笑いあって触れてそうして、そうして…なんていらない。

ただそこに、
確かに近くに、隣の席に

そのくらいの距離でずっと
いれたらいいのに





だからお願い、誰か隣に座っていてよ

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