オタク道をふりかえる

「振り返らないのが獣道」
私はなんとなく獣ではなさそうなのでオタク人生を振り返ってみる

私はずいぶん恵まれた環境で育ってきたと思う

胎児教育的な感じで絵本を読み聞かせ、童謡を聞かせ、クラシックを聴いたらしい
そんなの覚えてないけど

でも、私の周りには本があった
まずは絵本や童話。母方の祖父や母は私が読みたいと言わなくてもたくさんたくさんの本を買い与えてくれた。「うちは、ど田舎の古本屋くらいの品揃えはあるのよ」と何度も母から聞かされた
小学生の頃は風邪を引くと、することもなくて退屈だろうと母が2,3冊本を買ってきてくれた。私はそれを4,5時間で全て読んでしまう
「読み終わったっていうけど本当にちゃんと全部読んだわけ!?」と怒られたのは最初の一度だけ。全ての本のあらすじを母に話して聞かせると納得してくれたみたいだった。
母は本を全く読まない人だ。活字が嫌いなタイプ。父は似たような自己啓発本とビジネス本しか読まないからアマゾンの段ボールと仲良しだ。妹はもはや活字アレルギー、ゲームや漫画、自分の好きなこと以外を書いた文は全く読めない。
母方の祖父の本棚には、ほんの少しだけど本があった。覚えてるのは『日本沈没』とか。初めて開いてみた小学3年生の私は4ページ読んで断念した。

とっても有り難く、幸せなことだと思う。
私の周りの人には本は身近でなかったのに、幸運が巡ってきたことで私の周りには奇跡的に本が存在していた。

ハリーポッターシリーズにはまったのは小学2年生の頃。
同級生が読んでるから!と母にせがんだらしいけどあんまり覚えていない。だけど10歳になるまでホグワーツからの手紙を待っていたのだ。

煙突も暖炉もなくたって玄関のドアにふくろうが手紙を挟んでくれる!
でも結局手紙は来なかったから私はまだ日本にいる。一般的に想定されている使い方とはちょっとずれるけどこれが私が初めて「夢女子」になった瞬間だ。

私はずいぶん不自由な環境で育ってきたと思う

女の子なんだから、お姉ちゃんなんだから、◯◯しなさい!!
世間様一般から良く見えるように、可愛くおしゃれに、適度に賢く、穏やかで優しい綿菓子のような女の子に、そして結婚して子供を親に抱かせ老後は介護を…
そのために育てられてきたように思う。いや、それに気付かないように頑張っていたのに。高校生になった私に親はあっさりとネタバラシをした。

小学生にしてハリーポッターシリーズやニチアサ、コナンや犬夜叉に結界師などふんだんにアニメを見て、ちゃおになかよしで育ってきた私はすでに立派なオタクだった。
なぜかハルヒシリーズもみてた。声優さんになりたかった。そのくらいアニメが好きだった。

でも、『電車男』が流行った後?だったから私の中のオタクのイメージは頭にバンダナ、チェックシャツ、牛乳瓶眼鏡に黒いリュック、などであった。我ながら酷い差別。偏見。
オタクの外見イメージは悪いからせめて私個人としては可愛くありたいという思いは強く、なんとか外面は一般人を装っていたものの、どオタクである。そりゃあもう、どオタクである。

中学生の私は何故か『家庭教師ヒットマンREBORN!』にはまっていた。動機は確かアニメ版の炎の描写があまりにも綺麗だったから、だったと思う。ツナ君の死ぬ気の炎に惚れ込んでいた。夢女子かと言われると…そうではなかった
物語はさらに次のステージへ。おめでとう!私は腐女子に進化した!!
偶然立ち寄った本屋さんで好きキャラ総受けアンソロを買ってしまったのである!しかも年齢指定付き!!(好きな漫画のR指定の本があるとは夢にも思わずろくに表記を見ないで父親に「これ買って!」をしました。BLのR18アンソロを買わせてごめんなさい、お父さん。)

私の歴代の推し(この場合の推しの定義は、はまったジャンルの中で一番好きなキャラ、である。)はなんとも統一性のない感じだ。ただまぁ、可愛い系なのに強くたくましいキャラは総じて好きかもしれない。

それで私は、ついに3次元にはまった。
舞台俳優さん。メディアでは2.5次元俳優と言われがちだけど、活躍の場は2.5次元舞台に限定して欲しくないので私は舞台俳優とか俳優さんと呼称している。

推しについてはまた今度。
でも私は、その舞台俳優さんに心底惚れ込んでしまった。ガチ恋とかはよくわからないけど、こんなに素晴らしい人間がこの世に存在していいのか…!と思ったことを覚えている

好きだから、見たいと思うのは自然なことで
同じ演目を数回みたり、去年は平均すると月1以上で劇場に通った。
親に、心底怒られた。何をやっているんだと言われた。何度も演劇なんて見に行って、しかも何度も同じものを見に行くなんて気が狂ったのかと。言われた。

わかってくれとは思わないけど、許されはしたかったんだと思う
現在は友達とカフェでおしゃべりしていることにしてひとり渋谷から原宿方面への坂を登ったりしている。


私はきっと行き着くところまで来たのだろう
今こうして辿った道を振り返ってみて思う、おそらくここがオタク道の果てである。
ここから先はきっと、オタクをやめるか、今後は自分で道を作るか、2つに1つだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?