生きて生きて生き抜いた
私の祖母が亡くなった。
享年104歳だった。
大往生だった、と言いたいところだが、最後の約13年ぐらいは埼玉の老人専門の病院で暮らして叔母が世話をしていて、私が最後に生きている祖母とあった時は認知症かと思われる症状が出ていたし、その後片脚が壊死してやむなく切断したという。よく生きたなあと驚くばかりである。
昔は女学校の先生をしていた祖母は、私が幼稚園の時に亡くなった母の代わりに私を育ててくれた。何事にも真面目で、家事も完璧にこなしていた。私はそのあたり全然祖母に似なかった。厳しいところもあったけれど、私を色んなところへ連れていってくれた。城崎温泉や天橋立へ観光に行ったり、祖母の生家へ行って昆虫採集をしたり……。思い出がよみがえる。
また旅行に連れていって欲しかったなあ、と思う。祖母もそう思っていたのではなかろうか。だから104歳まで生きられたのではあるまいか。
亡くなったことを知った時は私はただでさえ心身の調子が悪かったので、もう泣いてばかりで何もできなかった。
しかし子には(つまり私の母には)先立たれ、夫にも先立たれたのにここまで生きられたその生命力ってなんだろう。
祖母の生涯に思いを馳せる。
私も生きて生きて、生き抜こう。
生きて絵を描いて、描き抜こう。
私は今やっと、またキャンバスに向かって絵を描き始めた。
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