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タツのお葬式

猫が亡くなったとき、人によっては庭に埋めたり、山に埋めたり、あるいは近所の公園の片隅にこっそり埋める人もいるが、最近では動物霊園で供養する人が増えているという。

かくいう我が家も動物霊園でタツ(享年21歳)のお葬式をした。3年前になくなったハッピーも同じ動物霊園でお葬式をしてもらったので、どういう段取りかはわかっていた。だから、そろそろ危ないかもと思ったとき、白いバスタオルを用意し、遺体を保存するための大きな保冷剤も冷凍庫に入れておいた。お葬式の日まで何日か、自宅に安置するためだ。

ハッピーが亡くなったときは、何をどうしていいかわからず、猫仲間の助言に助けられた。そのときの経験が、今回、役に立ったというわけだ。大きな保冷剤は、東日本大震災が起こったとき、電気が消え、冷蔵庫の食材を保管するために購入したものだ。それが遺体を保存するのに役立つと、ハッピーが亡くなったとき知った。

タツの遺体を2日間、我が家に安置した。そして、冷たくなった遺体を抱いては「看取れなくてごめんね」と繰り返し、謝った。そして、「21年も長生きしてくれて、ありがとう」とつぶやいた。

お葬式の日、動物霊園から送迎車が我が家まで来てくれ、私たち夫婦も同乗した。2人ともペーパードライバーだったから、頼んで乗せてもらったのだ。霊園に到着すると、受付を済ませる。このとき「初七日の供養もしますか?」と聞かれ「はい」と答えた。タツを看取れなかった自責の念があり、しっかり供養したかったのだ。

後日、友人に「猫の供養にそこまでする?」といわれたが、21年も生きてくれたんだから、それくらい供養してもいいだろう。今年の6月ぐらいまでは腎臓病の輸液をしつつも元気で「あと1,2年は大丈夫かもね」と連れ合いと言い合っていたのだが、やはり21歳は21歳である。急激に容態が悪化していった。

動物霊園での供養は人間と同じだ。お坊さんがタツの遺体を前に読経して、火葬をする。それからお骨を拾い、骨壺に入れる。納骨堂に移動し、再度、お坊さんが読経をして終わり。お骨を持って霊園が用意してくれたタクシーに乗り、最寄りの駅へ。そして、帰路についた。

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