『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた』(和田靜香 著/取材協力 小川淳也)は、政治家が言う「自助」に真っ向から異を唱える必読の書である。

「まず自助を実行せよ」と政治家は言う。しかし、国民の4割は非正規労働者なのである。国民の半数近くが最低賃金か、少し高いぐらいの給料しかもらっていない。それで、どうやって自助をしろというのか。
 至極、真っ当な疑問を、ドキュメンタリー映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』の主役である小川淳也・衆議院議員に投げかけ、できあがったのが本書である。

 私は選挙の投票を欠かしたことがない。国民の義務というより、唯一、政治に関われる権利だと思っている。しかし、投票した候補者が当選することは滅多にない。
 この本の著者である和田さんはもっと積極的に選挙に関わり、応援する候補者のチラシをポスティングしたり、ツイッターで情報発信したりしている。それだけに落選したときの落ち込みは半端ではない。

 小川議員とのやり取りの中でも「なぜだ?」と疑問を発し、「落ち込んで、絶望的になるんです」と訴える。そんな和田さんに対して、小川議員はこう答えている。

「落ち込んでもいいんですよ、それでまた立ち上がれば」

「……選挙は、毎日が砂粒を積み上げるような感じがして、途方に暮れそうになるんですね。でも、そこで途方に暮れちゃうと、そうじゃない人の勝利なんで、途方に暮れそうなことを認め、でも、途方に暮れないことを決意して、一粒一粒、砂を積み上げることをあきらめない、ということしかないんです」

 直球で疑問を投げかける和田さんに対して、えらぶることもなく、率直に返答する小川議員。こうして、本書では「人口問題」「税金」「女性の就職」「環境、エネルギー、原発」「沖縄」をテーマに、自由闊達な議論が展開される。

 私は政治に関心があり、選挙には必ず投票に行くが、実際のところ、政治や社会問題のあれこれを事細かに知っているわけではない。というより、あまり知らないといってもいい。

 そういうレベルの人に、本書は頼もしい入門書となっている。「小川議員に何を質問していいか、質問の内容も浮かばない」と頭を抱える和田さんに、私は大いに共感した。文体も親しみやすく、「わかる、わかるわ〜」と思わず、声に出してしまうほどである。

「いまの日本が生きづらく、何とかしたいけど、どうしていいかわからない」という人に読んでもらいたい本である。きっと、元気をもらえることと思う。

 

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