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AE86×SuperRestorationから学ぶ、レストアの真髄とは。

どうも!神戸のインパルスです。
本日は自動車整備工場×レストアファクトリーのブログです。

レストアって聞きなれない方も多いと思うのですが、自社がメインで扱っている車種はトヨタ自動車が昭和58年(1983y)から昭和62年(1987y)に製造されたカローラレビンとスプリンタートレノです。昨年(2023y)に生誕40周年を迎えた車です。

このような車を長く乗り続けるには、機関の修理、メンテナンスだけでなく、ボディの錆、腐食修理が必要になるのですが、

いわゆるレストアレーション(復元)作業には、現在傷んでいる箇所を修理する方法と、傷む原因を修理する方法に分かれるのですが、

悲しいかな、現場で行われているのは、前者がほとんど。

理由は簡単で、前者の方が安く、後者の方が高い、ただそれだけです。

住宅なら雨漏り対策として、防水処理をしたり、屋根の修理、交換をしますよね。

車も一緒で、錆びる原因は上から入った水が、各部に流れていって腐食させる場合と、雨の日の走行で、下回りから入った水が、腐食させる場合があります。

錆びる原因は、水(水分)と空気なのですが、住宅の場合は、2、3年持てば良い、そんな修理をする人はいないはず。

ですが、自動車修理の場合、顧客のニーズは今の故障が直れば良い、出来れば安くが染み付いています。その環境が染み付いた整備工場は、その流れで修理してしまうので、レストアしても2、3年で錆びてくるのです。

とは言え、鉄は錆びるもので、錆びた箇所を切り取って、新しく鉄板を溶接しても、鉄板は錆びますし、溶接の熱は錆びを誘発する、原理原則と、

もう一つ、錆びている箇所は、錆びる原因(環境)がある、ので、どれだけ修理しても錆びやすい、という事実を理解しておく必要があります。

錆びたルーフ(フロントガラス開口部)

画像はフロントガラスを取り外した開口部。ガラスの縁にモールと呼ばれる部品がついているので、表に出てきたサビは氷山の一角です。
本題は、この錆た箇所をどうやって直すのか・・です。

原理原則、構造原理を知るから始めましょう。
この屋根、ルーフは一枚の鉄板がプレスで成形され、形が出来上がっています。
角の部分は折れ曲げられ、鉄板が延びることで薄いのです。
薄い部分が錆びると、穴かすぐに開きます。

一般的な板金工場で修理すると、どうするか・・
錆びを削って除去します。削るということは鉄板も薄くなったり、穴が開きます。
開いた穴を溶接して肉盛りしたりします。
または、部分的に切り取って、新しい鉄板を溶接します。
このような方法は正しくもあるのですが、また錆びます。

そこで、理想と現実の間で、どうしようもないじゃん!と諦めてしまいます。
また錆びるは仕方ない、現状の修理を優先しよう、と。

本業に差し支える危険があるので、奥深くまでは説明しませんが、
インパルスが考えるレストアは費用対効果です。

かけた費用に見合う、価値(効果)を得られること。
かけた時間(工賃)とかかった物(部品・資材費)の合計が、修理費用です。

お店にとって、効果が長いか短いかは、もらえる金額に変化は出ません。
顧客が安くを望まれれば、工程が減り、見た目が綺麗でも中身の効果は減ります。
効果の減り方は同じ比率じゃないのです。費用が10%安くなった、効果は30%悪化した。そんな現実です。

インパルス製のカーボン製品

対費用効果、考えれば考えるほど、カーボンファイバーにたどり着きます。
このカーボンファイバーはモータースポーツや航空機用に多用されている素材ですが、成形方法や素材が一般に流通するようになり、自社のようなショップでも販売出来るようになりました。
https://toresor.jp/?mode=cate&cbid=2403804&csid=0

ただ、カーボンファイバーといってもコンセプトが重要で、モータースポーツ用のカーボンファイバーは軽さを一番にします。カーボンファイバーの成形は、炭素繊維の生地を積層し、焼き固めるため、積層枚数が多くなれば厚く、重くなります。

単純には言えないのですが、薄い=軽い、ですが、素材コストは減るので、その分安く出来ます。自社のカーボン製品は、ストリートと言われる、車検のついた車に使用する目的で開発しているので、積層数を増やし、少し重くても、強度が増す設計をしているのです。
使用する素材が増えるので、価格は上がります。

高い、安いだけでは、物の本質は分からないのです。

航空機は機体がカーボンファイバーになってきました。
理由は軽い、強い、もありますが、錆びない、が大きいのです。
カーボンになる前はアルミでした。
アルミが錆びるので、常に除湿をしている話は有名で、カーボンファイバーの機体になることで、機内の湿度があり、快適性が増す、と言われています。

カーボンファイバーの正しい知識と、延命のためのレストアレーションの本質を理解する。理解してしまえば、付帯効果に目が向きます。
航空機は湿度でした。

自動車では、鉄からカーボンに置き換わることで、
軽くなります。
強くなります。
接着はボンドなので、溶接より強くなります。

言い換えると、錆びないだけでなく、軽くなれば燃費が良くなり、燃料消費量が減るということは、Co2排出だけでなく、熱エネルギーの排出も減ります。
タイヤやブレーキの摩耗も低減します。
ボディ剛性が上がり、快適性が増します。

自社の顧客では、交換前にピラー付近の内張りから走行中にミシミシと音を立ててたのがなくなった、事例もあります。

自動車の構造原理について解説を挟みます。
自動車の寿命と、航空機の寿命を考えてみてください。
自動車の寿命は10−20年が一般的です。では、航空機は?
そう、航空機は数十年使える、その間世界中を飛び回るので、カーボンファイバーを用いても原価コストを賄えるのです。

自動車の場合、特殊なスーパーカーを除いては、製造コスト面でカーボンファイバーの採用は、コスト面で合わないのです。
旧車における延命、レストアレーションでは、修理費用の総額に対して、カーボンファイバーの導入コストのバランスを計算できれば、とても有効な選択肢にもなり得ます。

屋根の錆は雨漏りを招きます。

レストアレーションには、表の顔と裏の顔があり、表を見た目とすれば、裏は寿命と言えます。

さらに奥深く解説したいところですが、誤解を招くリスクもあるので、この辺で失礼します。製品開発の裏側と、レストアの真髄のお話でした。

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