「物語」を生き抜くこと~『ニッポニアニッポン』をめぐって~
17歳の少年鴇谷春生。彼は自らの名前から、「トキ」(学名「ニッポニアニッポン」)に異常な興味を覚える。現在の「トキ」に対する日本国民の態度に怒りを感じた彼は「トキ」のためにそれを密殺することに決め、佐渡島での「トキ」暗殺計画を練る。しかしそれは失敗し、自らの人生の目標を失い絶望する。
その物語に、彼が好意のあまりストーキング行為をした本木桜と、佐渡島で出会う本木桜に似た少女、瀬川文緒との物語が絡む。
この阿部和重の小説、『ニッポニアニッポン』を語ることについて、社会学者で