見出し画像

唯一無二の親友だったホームレス男性を殺してしまった男

罪名:傷害致死

被告人の名前は名井康智(犯行当時43歳)
被害者は内館さん(事件当時64歳)

名井被告にとって内館さんはたった一人の親友だった
日頃から内館さんの世話をよくしていた
被告は鬱病を患い薬を常用していた


事件の日
被告は昼から酒を呑み、内館さんを自宅に招き入れお風呂に入れて一緒に酒を飲んでいたところ被害者が灰皿をこぼして部屋を汚しそれに怒った被告は被害者の背中や頭を踏みつけた
ふと気付くと被害者は動かなくなっていた
被告は焦って近所の交番にかけこむ
「ウッチャンが…ウッチャンが動かねえ」
「大変だ、すぐに来てくれ」


・裁判で弁護人が語ったこと

事件当時、鬱病の薬とアルコールで酩酊状態にあった
自分が何故被害者に怒ってどんな暴行をしたのか本当はハッキリとは覚えていない
取調べ当時は自分が殺してしまったのだからキチンと話さなければ、話して協力しなければという気持ちが強かった
被告は手や足に傷や殴った後はなく、そうならばきっと踏みつけたのだろうと思って話した
死体の状況からもきっとそうだ、と
被告は普段被害者に怒るようなことはなく、事件当時怒ったのだとすれば部屋の状態から灰皿をひっくり返されたからだと思って話した
きっとそうだ、と

・裁判での被告の様子

逮捕当時の映像とは別人のように老け込み髪は短くカットされ白髪が目立つ
痩せて衰弱した老人のようだった
立ってるのがやっとなのか膝は曲がり足はプルプルと震えている
反省しているというより茫然自失という感じ


・判決
被害者の死因は被告に踏みつけられたことによる肺挫傷。被害者には防御創などはなく部屋にも争った形跡はなかった。

懲役5年6ヶ月(拘留500日を刑に算入)

裁判長が語ったこと
「判例に照らし合わせると軽い部類になる。あなたには今後の人生もある。出所したらお酒は絶っていただいて…」
「不完全な人生でも内館さん…(言い直す)ウッチャンの分まで生きてください。」

最後に何か言いたいことはあるか尋ねられると
被告人
「大変ご迷惑をお掛けしました」
と弱々しく語った。


弁護人の最終弁論で被告がウッチャンが、、ウッチャンは、、、と繰り返し被害者をとても大切に思っていたことを語った。
ウッチャンは64歳のホームレス、被告のたった一人の親友だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?