見出し画像

もしうちがお金持ちになったら

うちは今もかなり汚部屋だと思うけれど、
数年前までは、
もっともっともっと汚部屋だった。

一番ひどかった時期は、
玄関に入れないくらい
モノがあふれていたため、
先生が家庭訪問に来たとき、
入ってもらえないため、
庭に椅子を出して、
「どうぞどうぞ」と座ってもらった。
新緑が眩しかった…
晴れていてよかった…

5年前、
猫を2匹、うちに迎えた。
最初は手に乗るサイズだったので、
飼っていても楽勝だったけど、
そのうち大きくなり、
家の中を走り回るようになった。

当時、
ダイニングテーブルの下は、
モノだらけだった。
モノの入った段ボールの上に、
モノの入った段ボールが積まれ、
その上にまたモノがあるという、
とんでもなさ。

大きくなった猫はモノを蹴散らして走り回り、
倒れた段ボール箱の中に顔を突っ込み、
中に入っているものをかき出した。
ついでに何でもかんでもガリガリとひっかいて、
新品の服が入った袋をガブガブかんだ。

「ヒャアアアア」

悪夢映画か。

私は毎日毎晩、
せっせと片付けるようになった。
猫のいない部屋に、大事なものは避難させた。

子どもたちが友だちを連れてきていたころは、
そんな家の中で、
平気で遊ばせていたものだけど…
猫がいると、
人(私)はこんなにも努力できるのか…

一昨年の12月、
母とモモちゃんを、
うちに迎えることになった。

家族くんは言った。
「住んでもらうのはいいけど。
どこに住んでもらうの?」

私は再びブルドーザーと化して、
母とモモちゃんのために、
スペースを空けた。

さらに1年前、
モモちゃんが白内障になっていて、
ほとんど目が見えていないことがわかった。

「ヒャアアアア」

私はまた、雄叫びを上げた。
再びブルドーザーと化して、
モモちゃんの通り道にあるものを
どけていった。
ほとんど目が見えていないモモちゃんが、
もし転んだら。
もし大けがをしたら。

たくさんのことを犠牲にして、
モモちゃんの未来を選択したはずが、
水の泡になってしまうじゃないか。

ある日、
ネットでたまたま見た記事に、
こんなことが書いてあった。

「お金持ちの家の床には家具の足しかない」

そうなのか。

かつてうちの家は、
モノが積まれすぎていて、
家具の足なんて見えなかったもんだけど。
そりゃ、
「お金持ち」とは縁がないのも当然やな…

猫を迎えて
ダイニングテーブルの下は一切モノがなくなった。
モモちゃんを迎えて、
ダイニングテーブルの下以外の場所も、
かなり、すっきりしてきた。
(ほかの部屋がどうなっているのかは、この際、気にしない)

モモちゃんは
失明してしまう可能性があるので、
今あるモノも、
いずれもっと片付けないと危ない。

このまま家の床から、
どんどんモノがなくなって、
ゼロになったら、
すんごくお金持ちになれるってことかしら。
都市伝説のレベルかもだけど、この話。

もしうちが本当にもっと片付いて、
本当にお金持ちになったら、
「招き猫」と、
「招きモモ」って感じかも。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?