お絵描き「素人」がやらかした致命的なCGの描き方
しばらくぶりに素人シリーズ。
1ヶ月更新でお分かりの通りスクリプトがほぼ終わっているので、
裏でやってしまったイラストの失敗について書きなぐった。
さっそく本題に入るためにイラストを見てもらいたい。
問題のCG
裏でダブルカタルシスのCGを描いていて、
それがまあまあ順調な中で出来上がった一番時間をかかったイラスト。
これで一番時間をかけたのかと思うかもしれない。
クオリティはともかく、
エレベーターという特殊なシチュエーションで、資料を探し、実写を参考にし、二人も描くの面倒くせぇ、と思いながら時間をかけた絵。
しかしこのイラストはある根本的な過ちを犯している。
参考資料は以下
これ「立ち絵でよくね?」
このイラスト最大のバカは、
この情報をイラストに起こす必要あったのか? ということ。
デッサンが崩れると嫌だから簡単な構図で上手い絵を描こうと意気込んだ。
それは難しさに対する逃げだ。
誰でも描けるような構図が魅力的なわけがない。
で、簡単な構図を描こうとするとどうあがいても魅力的にならないので、それに気づかず時間がかかる。
何を良くしていいのかわからない、漠然と一つの線だけをなぞっている。顔が可愛く描けた。耳が上手く描けた。髪の毛が上手く描けた。など、一部一部にぐだぐだと時間をかけていく。
どれだけディティールを詰めたところで、魅力のない絵には変わりない。
時間をかけることで
多少上手く見える絵に近づくことはするだろう。
しかし、上手いけどパっとしない絵になるだけだ。
よく言われる「時間をかけた割にウケが悪い。さくった描いた絵のほうが伸びるのなんで?」なんて絵は無自覚にこの失敗を犯しているのかもしれない。
魅力的な絵=ディティールが細かいは間違い
描き込みを増やして得られるイメージというのは物足りなさを補うことだ。
より説得力に磨きをかける、という意味で細かく描いていく。
ところが描いていると
「自分はものすごいものを描いているのではないか」と錯覚する。
書き込み量が増えるにつれて、本人の気も多くなっていくのだ。
これはシナリオと似ている。
長編を書けば凄いわけじゃない。
説得力を終盤まで積み上げた長編が面白いのだ。
例えばこのラフを線画にしたとしよう。
↓
しかし、受ける印象はそこまで変わらない。
構図が同じなのだから当然だ。
(これも後ほどリメイク記事を出す予定)
シナリオも一つのテーマをながったらしい文章にしても何も魅力的ではなく、魅力が薄れるまである。
むしろ精巧にすることで
「なんでこんなに熱量のある作品なのに魅力的に感じないんだろう」感が強まるだけ。
書き込んだのにウケなかった絵というのは、その絵はそれ以上書き込んでも大して説得力が上がらない、必要としない絵だったという証明でもある。
すごい作品と魅力的な作品はまったくの別物。
すごい絵はディティール(説得力)で出来ているが、
それは補う行為であってベースではない。
魅力的な絵というベースに、ディティールを詰める作業がお絵描きだ。
素人が頑張るべき「ストーリー」
最初にも書いた通り立ち絵で表現できそうな部分は断捨離していいね。
ボケっと突っ立っている主人公の顔など誰も見たくないし意味がない。
エレベーターも重要でないのでそれをわかりやすくする必要はないだろう。
ヒロインの女の子がアイドルで「孤独の存在だった」ということを表したいので、そのアンニュイさを一番に強調させたい。
そうなると、自分の内面を隠すようにキャップを深くかぶり、
俯いているような構図にしてみた。
ベースの絵でもキャップはつけるつもりだったが、あの構図で帽子をかぶっていてもいまいちピンとこない。
そもそも正面だと顔が見えなくなるので、
やはり構図の時点で失敗していたように思える。
素人が頑張るべき「陰影」
やたらと添削動画などで加筆されている箇所。
それだけ重要なのに軽視されている部分だということ。
これだけで平面的な絵が立体的になり「そこにいる感」が増すのでやらない手はない。
ビフォーアフター
顔に影を落とすことでヒロインの内面が強調された。
ただ、素人がつけた影なのであまりキレイではない。
素人が頑張るべき「視線誘導」
新海誠もやっている視線誘導テクニック
そもそも最初のCGは全部描きたい、という気持ちからどれを一番に伝えるべきかがブレて、伝えたいことが伝わらないというCGになっていた。
例えばヒロインの表情が大事なのに、背景が下手なせいで
「どこにいるのか?」という疑問のほうに引っ張られたりする。
今回は背景の書き込み量が少なくてぼかしても目立たないが、
「一人の人物のみ」を強調する時にはガウスぼかしを使うといい。
これについては他のイラスト記事でまた後日紹介する。
素人は頑張らなくていい「デッサン」
それでは完成したCGと最初の没CGを比べてみよう。
ビフォー
アフター
このCG、デッサンもパースも割とおかしい。
けれどデッサンが崩れるのを嫌って簡単な構図にした最初の棒立ちCGよりもずっとわかりやすくなったと思う。
(シチュエーションを想像しやすくなった、とでも言うべきか)
さすがに腕が折れていたり、コンタクトレンズの大きさがでかすぎたりするのは問題だが、パッと見てごまかせそうならデッサンにこだわる必要はない。
そもそも下手な時にデッサンを気にしても仕方がない。
全部描こうとしたことが失敗
全部を描こうとして「何を伝えたいのか?」がわからなくなっているCGから多少は「ヒロインの内面」を描いたCGに変わってくれた。
それによって絵に対するイメージも変わっていたら描きなおした甲斐もあるというもの。
背景のガラスを細かく描いている場合ではないし、主人公の顔がただ映っていればいいわけでもない。
シナリオで言うところの蛇足部分。今のシーン必要あった? などの力を入れる部分の間違いが、イラストにも同じように現れる。
絵を描いているとぐだぐだとどうでもいいところに時間をかけて現実逃避してしまう事は多々ある。ディティールを詰めるのが楽しくなってしまって、ベースの魅力から目を背けてしまっている可能性大だ。
イラストの記事を書く時にいつも書いている気がするが、大事なのは細かさよりも全体的なバランス。
時間をかけるべき箇所を見誤って努力の方向音痴をしてはいけない。
以上、今日のお絵描き素人シリーズ終わり。
ゲーム制作の余談
7月も1/3が過ぎ、いよいよ追い込みをかける時期。経過報告として
CGがこの時点で5枚と(2枚ラフ)が出来ている状態。
公開する予定の範囲はヒロイン1√全ての予定なので、まあ文字量に対して必要最低限CGの満足度はあるのではないかなと思います。
やっぱ立ち絵に比べるとCGは楽だし描いててテンションが上がるのでモチベーションが違いますね。
いまからティラノフェスが本当に楽しみ。
間に合わなくてもフェス不参加で出すのでその点はご心配なく。
あと最近スーパーゲ制デーなるものが流行ってるっぽいのでこの記事をそれにしておきます。
では皆さん。今週も良いゲーム制作ライフを。
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