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一回プレイして終わりになりやすい作品

漫画を読み返す時にいちいち内容を覚えていたら2回目、3回目読む時に楽しむことは出来ない。

何度読んでも楽しいということは、
大して内容を覚えていないということなのだ。

この理論は日常シーンがつまらなくなる理由に通ずるところがあるが、1シーンが長くなるということは、その1シーンに対しての記憶力が増すということになる。

つまり「キャラクターに感情移入させるためにシーンを長くしよう」と努力したパートは記憶に焼き付きやすい。

これがリピート率を下げるというデメリットに繋がるのである。

展開速度として考える

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小説教本にはよく「起承転結の中に起承転結を作れ」とかいう一見意味不明なことが書いてあるが、リピート効果を得るためのテクニックに繋がる。

起承転結がたくさんあるほど展開速度の速さになる。

そして展開が速いほど人の記憶は追い付かない。

悪い例であげた「長い日常パートをはさんで1つのオチに全力をかける」という形式だと展開速度が遅いのだ。

もっと具体的に言うと
オチをネタバレされただけでつまらなくなる作品がそれに該当する。

作品に切り札が1つしかないという何よりの証拠だ。そして、切り札が一つしかないからそれに対しての前置きが長くなりがち。

そういう作品はオチがわかっていると途端に2週目をプレイしなくなる。

物語の面白さとは過程であって、結果ではないからだ。

進撃の巨人でライナーとベルトルトが巨人だった、というネタバレをされて面白さを失うようじゃあそこまで大ヒットはしない。

エロゲは途中プレイに向いてない

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正しくは「ノベルゲームは」と捕捉しておくが、
そもそもノベルゲームの醍醐味とは「世界観への没入度」だ。

漫画のように途中の巻数からぺらっと読むようなプレイをしても、
その没入感は得られ辛いという欠点を抱えている。

1からやってこそ、と考えるとノベルゲームをリピートさせるためにはやはり「内容を忘れさせる」必要がある。

しかし1シーンが長い傾向のあるエロゲで内容を忘れるとなると、その周期が1年や2年経ったあとというのも珍しくはない。

わたくしエロゲーマーこと妹尾まいも、お気に入りのギャグパートや、シリアスパートをロードして、基本はそこだけを楽しむようなスタイルでプレイするが、1からやるとなるとその数はごくわずかだ。

1からプレイした作品一覧

「はるまで、くるる。」「G線上の魔王」「グリザイアの果実」「暁の護衛」「レミニセンス」「穢翼のユースティア」「車輪の国」
※エロゲに興味があるなら暁の護衛とレミニセンス以外は全部オススメ

ノベルゲームで一番優先すべきは「雰囲気」

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商業で世界観に凝っていない作品なんて基本的にはあり得ない。
(ラブコメを除く)

一度読んで終わりな作りにすると、
中古で売られ、利益にならないからだ。

上であげたエロゲ一覧も世界観が独特なものばかり。

・穢翼のユースティア
「浮遊する都市に住んでいる住民が地震に怯えて暮らしている、羽化病という独特の病がある」
・車輪の国
「特殊な法律国家、ヒロインごとに「恋愛出来ない義務」「1日が12時間しかない義務」などが課されている」

仮に
「ストーリーが面白いけれど世界観は普通」
          VS
「見たことのない世界観でストーリーは普通」
が対決した時、

1から再プレイの率が高いのは後者だと思う。

ストーリーが面白い作品なんて山ほどある上に、もう一度始めようというきっかけに「面白かった」というのはさほど影響しない。

面白さの基準には「続きが気になる」があり、それは最大瞬間風速でしかなく、続きが気になっていたものが終われば、あとに残るはなんだ? 

キャラクターや世界観がそこになければ、
一度プレイして満足される作品になるだろう。

ノベルゲームの場合、音楽やCGといった武器があるので
普通の世界観で勝負するとなると、それを音楽で演出する必要がある。

続きが気になるわけでもない。驚く展開があるわけでもない。
けれどもう一度プレイしたくなる作品。

そこには独特の世界観が音楽やCG、テキストの雰囲気によって表現されているはず。詳しくは以下の記事で説明済。

世界観は替えがきかない

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ストーリーというのは全作品に共通する面白さで、替えがいくらでもきく。

可愛いヒロインもいくらでもいる。

しかし、世界観は1度作ったらその人がオンリーワンだ。基本的に後続が二番煎じになっていく。

何よりも世界観が独特だと、キャラクターそのものも独特になるのだ。キャラクターが独特になると、今度は日常シーンも独特になる。

まさに「あの世界に戻りたいからもう一度やりたい」という動機として、ストーリーやキャラクター以上に重要なファクターを担っている。

もし創作における勝ち負けがあるとすれば、それは「発明」だ。

誰かが作ったことのあるものに乗っかるか、誰も作ったことのない世界を作り上げるか。

ストーリーやキャラクターのアイデアは絞りつくされた。

しかし世界観だけは未だ無限に広がる可能性を秘めている。

もし勝負を仕掛けるならストーリーでもキャラでもなく世界観になるだろう。

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