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シナリオを見直す時は何を基準にすればいいのか?(リライト)

シナリオを客観視するのはとてつもなく難しいが、やはりちゃんと作る方法はそれなりにあると思う。

今回はエロゲのテンプレを基盤にして
シナリオの見直しを解説していきたい。

プレイヤーが辞める瞬間の見極め

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例えば自分がゲームをプレイしていて、なんか面白くないな、これ今後どうなるんだろうな?(でも期待が持てない)みたいな時は、プレイをいったん中断したくなる時だ。

それは大抵「先の展開がわからなくなっている箇所」に当たると思う。

人は無意識に展開の予想をする

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よく出来た物語は先の展開がある程度予想出来るように出来ている。
まるで予想出来ないストーリーは斬新さに潰され、好奇心に繋がらない。

「自分の予想があっているかどうか」を確かめるためにストーリーを追っているのに、そもそも予想が出来なければそれを楽しむ余地がないからだ。

このことから先の展開が予想出来るように書けているか? 
というのがシナリオを見直す際に注意する点その1になる。

その基準は「テンプレ」にある。

一般的に言うテンプレでも、独自に作り上げたテンプレでも構わない。

物語の構造は平面ではなく階段上なのだということを想像すると良い。

エロゲの初動は「ヒロインが次々と出てくる」というテンプレが必ずある。

ヒロインレースが醍醐味なのだから当たり前だ。

もちろんそれだけだと芸がないので、ヒロインの抱える問題を次々と解決していく。みたいな派生だったりが多いかな。

これが第一テンプレ、一つ目の階段にあたる。

メイン着地点とサブ着地点を作る

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今後どうなっていくんだろうな? という文脈には2類ある。

今後どうなるかわからない(不安) ×
あのヒロインはどんな問題を抱えているんだろうか?(期待) 〇

期待というのは展開がある程度予想出来ないと生まれないもので、階段状になっているほど期待に繋がりやすい。

物語を平面にするということは水平線まで見えている状態。

これに該当する作品のほとんどは「メイン着地点」しかないことが多い。
致命的にサブ着地点の作り方が下手なのだ。

サブ着地点の作り方が下手だとどうなるか?

日常シーンが長くなる。

該当記事

サブ着地点は先ほど紹介した「次々にヒロインの問題を解決していく」がそれにあたるのだが、

ではそれが終わったら次はどうなる、その次は? それが終わったら?

そうやって次々とサブ着地点を作っていくか、あるいはすぐにメイン着地点に行くことでストーリーの停滞は防げる。

しかし作者的には「いや……まだ本題に行くまでには早すぎるな、そうだ、日常シーンでお茶を濁そう」みたいになりがちだ。

結果、停滞した箇所が生まれることになる。

このままでいいの? メイン着地点にはいつたどり着けるの? という風にストーリーに対して急かすような心境になる。

テンプレが無くなっている状態で途方もなく続く日常シーンは地獄以外の何ものでもない。

心理的に、テンプレが続いているようなシナリオ構造のほうがプレイヤーは安心してプレイできるのだ。

一言で面白さを説明できるか?

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やはりこの項目はシナリオを見直す上では外せない。

あなたの作品の何が面白いの? と聞かれた時にこれは上手く説明できたほうが良い。

仮に物語を今言ったようなテンプレに当てはめて作ったとして、面白くなるかどうかは別なのだ。

じゃあ例えばメイン着地点を「ヒロインと結ばれること」にしたとしよう。

しかしそれだけでは魅力に欠ける。ただ当たり前の着地点なのだ。だから大抵のエロゲはキャラありきで、話がつまらないことも珍しくない。

しかしこれが「女装していることがバレてはいけない主人公×ヒロイン」という設定にすると途端に面白くなる。

エロゲの女装モノは名作が多いぞ(宣伝)
(るいは智を呼ぶ、月に寄りそう乙女の作法)

このジャンルは面白さの言語化がひじょうに簡単。

・女しかいない学園に女装してまで潜入しなくてはいけない動機
・絶対にそれがバレてはいけない×バレたらどうなるのかという期待
・バレた時のヒロインの反応、好感度の上下

これはジャンルの強み。その部分が見たいがためにプレイしている人にとってはここが弱いとガッカリする部分なのだ。

自分の作品は「何を期待されているのか?」はハチャメチャに大事だ。

なので「ジャンル」「メイン着地点」「サブ着地点」なんかを使い、ここに期待してください、と最初に掲示するのは当たり前。

長い作品であろうと短い作品であろうとここで大きく差が出る。

物語はエンタメである

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シナリオライターに求められるのは何に期待していい物語なのかをちゃんと掲示できる能力だと思う。

なんとなく話が進んで、なんとなくキャラが怒ったり泣いたりしても、プレイヤーは冷めているのでなかなか感動してくれない。

「まず期待させる」というのは大前提だ。

作品を誰か友人に見てもらうとして、最初に聞くべきことは「面白かった?」ではなく「この作品に何を期待した?」のほうが治すべき方向性は見えてくると思う。

予想できるテンプレを作り、期待させる着地点を設けて、あとは停滞を生まないようにサブ着地点を絶やさない。

そうやってきっちりと作られた作品はまず不安にさせない、信頼感のある作品になるはずだ。

面白い作品を作る一歩はまずはそこからだろう。

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