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辞めちゃった

仕事を辞めた。

入社して丸6年。
こうして文字にしてみるとたったそれっぽっちか、とも思うけれど。
いやいや。
我ながらよく持ったなぁと思う。

とにかく社長の怒声が飛ぶ職場だった。
彼のご機嫌具合に社内の空気は左右され、一度スイッチが入ると誰かれ構わず重箱の隅をつつきだして当たり散らす。
己のミスが原因の叱責なら仕方がない、そこはあまんじて受け止めるし反省もするけれど、理不尽な事も多々あって、弁解や経緯の説明は「言い訳」としてぶった斬られる。
時にはデスクをバンバン叩いたり、書類が宙に舞ったりもする。
地団駄を踏んでいるのを初めて見たときは心底驚いた。
大人の地団駄って…漫画かドラマでしか見たことなくない?ほら、あれ、…冬彦さんとか…?
そして少しクールダウンすると、さっきまでの荒ぶり具合が嘘のように普通ににこやかに雑談を振ってきたりするし、取引先からの電話には大層物腰柔らかである。
情緒がやばい。
もう、典型的なDV男のそれだと思う。

入社した1日目から
「あ、やばいとこ来ちゃったかも」
とは思いつつ、仕事自体は性に合っていたのと、社員は皆一様にいい方達ばかりで、なんだかんだと頑張ってこれた。

だけど、こんな環境なので、人が続かない。
小さな事務所で万年人手不足、常に募集はかけているけれど、入った端から辞めてゆく。
最短3日という方もいた。
踏ん切りが早くて素晴らしい。大正解。
結局のところ、残るのは辛抱強くてお人好しな古株ばかりだ。

少し前に小さなミスが立て続けに起きた。
上席との連携ミスだったり、私のケアレスミスであったり。忙しさもピークに来ていた。
社長が烈火の如く怒鳴り散らして、割と分厚目のファイルを投げつけられた。
当たりはしなかったし、当てる気はなかったのだろうけど、ばさりと足元に飛んできて、角がひしゃげてしまったファイルを拾い上げながら、私の中でぷっつりと何かが切れた音がした。多分それは、熱意とか、責任感とか、私と仕事を繋いでいた、ぴんと張りつめていた何か。
あ、こりゃもうだめだ。そう思った。

それでも、なんとか頑張ってみようと足掻いてみたのだけど。
だって、もうすぐ大台のみえるお年頃、今更次の仕事がすぐ見つかるかどうか。
だって、まだまだ働かないと、末っ子の学費、後4年納めないと。
だって、私が辞めたら、しわ寄せは確実に残った皆におっかぶせる事になる。

ぐるぐる考えながら、結局、体調を崩してしまった。
めまいと、止まらない涙を我慢した結果止まらない鼻水。
花粉症の時期+マスク文化の定着のお陰で周囲にはあまり気づかれずに済んで本当に良かった。

以前、心のキャパをコップに例えている記事を読んだ事がある。
しんどいことは心のコップに少しづつ、少しづつ、溜まっていくのだそうだ。それを上手にどこかへ捨てることが出来る時もあるけれど、やっぱりまた溜まってしまって、気付かないうちにコップの溢れる時がやってくる。

上手く捨ててると思ってたんだけどな。

辞める事が決まった途端に症状は止まった。
我ながら単純に出来てるなあと思いつつ、早めに決断できて良かったのだと思う。

昨日からやっと、残った有給消化に突入。
次の仕事も、とりあえず派遣の短期だけどなんとか決まった。

久しぶりに図書館なんかに来てみたりして。
久しぶりぶりにnoteを書いてみたりして。

束の間の休息、謳歌いたします。

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