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怪談

怖がりな小芋であった。

暗いところも苦手であった。

お化け屋敷?
肝試し?
冗談じゃない。

当時の実家は、トイレの脇に階段があった。
暗い中から何かが下りてきそうで、夜中にトイレに行きたくなかった。



ある夏。

なんでか知らんが、給食の時間に校内放送で、先生が怖い話をした。

田舎の道に、生首を抱えた女が立っている的な話だった気がする(実話だとか言っとった)。

しらんがな。

なんでそんな話すんねん。



小芋はもちろん、夜中にトイレに行ったら間違い無く怖い目に合うと、思ったわけだ。

単純である。


どうすっかな。


膀胱を、カラにしとけばいい(まだ膀胱という言葉は知らない)。


夕飯の後から、5分おきにトイレに立つ小芋は、
電気と水がもったいないと叱られた。

誠に理不尽である。

眉間にしわを寄せて怒る母親の横で、父親は知らん顔をしている。

そう。
彼こそが、昼に校内放送で怖がらせた張本人だ。

だ………誰のせいだと………!
(TдT)



今は、子供の通う学校に親が教員として着任したりはしないかもしれない。
田舎だったからアリだったのか、昭和だったからなのか。

子供心に、少々気恥ずかしいものであった。



高校生くらいになって、その怪談の恨み節を話したが、父親は覚えていないようだった。
1年生のちびっこも聞く校内放送で怪談というのもねぇ……。
すべてが、怖がり小芋の夢だったかもしれない。


しかし、怒られた記憶だけは、しっかりとあるのである。




昭和に戻って、半べそで布団を被る小芋に、
君はあと数年で覚醒しちゃって、お化けも幽霊も妖怪も死体も内臓も殺人事件も大好物になるから大丈夫だよ、と言ってあげたいのである。




☆ヘッダー、お借りしました。ありがとうございます。

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