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「2つ揃える」 ~吹奏楽コンクールとフィギュアスケート試合~

2014年秋に書いた文章です。音楽とスポーツのライブ体験を綴ったもの。
こんな体験が出来るようになる日が早く来ないかな。



 少し前に書いた「吹奏楽」と「フィギュア」の共通点。武生商業吹奏楽部の植田薫先生からメッセージを頂戴し、書き手の想定を超える反響に面映ゆく感じています。そして、また書かずにはいられないことが起こってしまったΣ(・ω・ノ)ノ!。
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「記録上の評価と記憶上の感動は別物」と言い放ちながら、電卓片手にNHK杯フィギュアを観戦@なみはやドーム。グランプリファイナルの切符の行方が気になってしょうがない。(結果は他媒体で報じられたとおりなので割愛)

 2日間に分けて、ショート・フリーの2演技で競うペア、女子シングル、男子シングル。吹コンは12分の制限時間内に課題曲と自由曲の2曲演奏。ともに複数名の審査員の採点で評価を行っている。
 2つのプログラムをそれぞれ完璧に演じる!誰もがそう思って舞台に、リンクに立つはず。そしてその2つとも完璧に演じることは、ほぼあり得ないと思う。

 なみはやドームで観戦した、NHK杯フィギュア。ショートプログラムをほぼ完璧に演じた、デュハメル・ラドフォード組、村上佳菜子、無良崇人、、、みなフリーは精彩を欠いた。きっと演技の先に「優勝」「グランプリ・ファイナル」といった「評価」を観ていたのであろう。

 2日間の試合で、一番観客の魂を奪っていったのは、前述の選手たちではなく、金メダリスト羽生弓弦でもない。「Dice」こと村上大介。2つともバッチリ揃えて来た。

 ショートは「ロクサーヌのタンゴ」。高橋大輔(大ちゃん)の2005-2006シーズンをリスペクトしたという。どことなく大ちゃんを連想させる演技。これでDiceは、観る人の心に自分を刷り込んだ。そしてフリーではラフマニノフの繊細なピアノをダイナミックかつ丁寧に演じていた。

 その結果が、完璧な演技=感動。フリー後のスタンディングオベーションを数式に例えるなら完璧×完璧=スタオベ。決して完璧+完璧=感動ではない。そして競う相手が、持てる能力を十分に発揮できなかったことで評価=優勝まで転がり込んできた。

 武商の名古屋での演奏にも、前述の数式?が当てはまると感じていた。そんな中、娘からLINE。

「吹奏楽コンクールのテレビ番組、武商は課題曲しか映らなかった。」

 NHK杯と同じ時間に、テレビ放送してた吹コン。娘と一緒に涙を流しながら聴いた武商の自由曲は、テレビ放送されることはなかった。

 そもそも、舞台の背中側からホールの3階隅にまで気を配られた演奏を、映像で再現できるはずもない。吹コン番組は複数台のカメラで撮った「全体俯瞰」「指揮者アップ」「各パートアップ」「ロングショット」「ソリストのアップ」等を、楽譜に合わせて映像をカットし、つなぎ合わせたもの。第3者のフィルターに掛かって作られた別物でしかない。
 課題曲のみ放送されたことに不満の声が多数上がったと聞くが、私はこれで良かったと思っている。

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キッチリまとめ観客の心に存在を植え付けたショートプログラムと課題曲、思い切り「音」を「楽」しんだフリーススケーティングと自由曲。

 会場に居合わせた人のみが体験できた一体感と言ったらそれはもう何と言っていいやら!

 こうして、なみはやドームでの「ピアノ協奏曲第2番」と、センチュリーホールでの「ウィンド・アンサンブルのためのコンチェルト」は伝説になったのである。

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