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ヤキモチヤイタ

今朝、私が一番最初に起きてキッチンにいて。
次に次女が起きてきて、うふふ…って近づいてきたので「おはよう、朝ごはん何食べる?ピザトースト?蒸しパンもあるよ?」と、顔を近づけて話していたら、長女が起きてきた。
「長女ちゃんも起きてきた。おはよう!」と、私が声を掛けたが、長女はじろりとこちらに目を向けて、隠しきれない嫉妬を滲ませ、和室へ消えて行った。

「行っちゃったね」と残念そうな次女。
「ピザトーストにする」と続けて言うので「じゃぁお着替え選んで、お仕度してね」と手を離す。

和室にある、各々のロッカーへ服を選びに向かうが、和室入口のあたりで姉妹はひと悶着。
「通して」と、次女。
両手を広げて通せんぼする長女が「来ないでよ」と言う。
やいのやいのと押し問答があった末に、するりと潜り抜けて次女が和室に入るとすぐにギャァ!と叫んだ。

次女が怒った声で「どうして押すの!?」と問いただしている。
長女の返事は聞こえない。
次女が更に「お返事して!」と怒っている。

「どうしたの?」「大丈夫?」と、私が和室を覗くと、次女は涙を流しながら怒っていて、長女はムスッと黙り込んで怒っていた。


次女が言うには。
和室の入口で通せんぼされたので、避けて入って、自分の服を選んでいたら、後ろから強く押されて、顔をロッカーの角にぶつけた。

長女が言うには。
追いかけて行ったら、ぶつかっちゃった。


わざとじゃなくても、ぶつかっちゃって「痛い」って言ってるのだから、すぐにごめんねしようね。わざとじゃないなら、すぐにごめんねした方が良いかもね。

長女は謝らない。
口を尖らせ、「臍を曲げる」の見本みたいにそっぽを向いている。

次女に「お姉ちゃんと話してみるね」と伝えて、自分の支度をするよう促し、長女と向き合う。
怒り過ぎたくないので長女を抱き寄せたら、強めのキックを食らった。


長女ちゃんはさ。
1階に降りてきたら、お母さんと妹ちゃんが、仲良くお話していたのが、嫌だったんでしょ?寂しかったんじゃない?

小さく頷く。

お母さんは、その気持ち、分かるよ。
だけど、お母さんでも分からないこともある。
「うわー朝からご機嫌ナナメだなぁー…近づかないでいよう…」って、避けられちゃうかもしれないよね。

気持ちって、目に見えるんだっけ?

みえない。

そうだね。
お母さんは長女ちゃんよりも長く生きてて、長女ちゃんのこともお腹の中にいる頃から知ってるから、「あ、もしかして、次女ちゃんとお母さんがおしゃべりしているのが、嫌だったのかな。寂しかったのかな」って考えてあげられるけど、長女ちゃんがなんで怒ってるのかなんて、本当は誰にも分からないよ。
お母さんだって、もしかしたら分かっているつもり、なだけかも。
だって、どれくらい寂しくて、どれくらい悲しくて、どんな風に辛いのか、なんて分からないんだよね。
だからさ、どうしたらいいんだっけ?

いう。

そうだね。
言葉で伝えたら良いとおもう。
それでも伝わらないことはあるけど、伝える努力はしなくちゃ。

自分から伝えようとしていないのに、「わかってくれない」って、分からない妹に意地悪したり、分からないお母さんをキックするのは、違うんじゃないかな?

…イモウトちゃんに、ごめんねする。

うん。
後ろからぶつかっちゃったのかもしれないけど、もし強く押したら、お顔怪我しちゃうよね。次女ちゃん、ちょっと痛そうだった。

…ごめんなさい。

次女ちゃんに後でごめんねしてね。
お話聞いてくれて、ありがとう。
お母さん分からないことがあるんだけど、聞いてもいい?

申し訳なさげな、困ったような瞳がくるりと動く。

「朝ごはん何食べる?ピザトーストする?蒸しパンする?」

アハッと長女は笑って、元気に応えた。
「りょうほーう!!」


嫉妬深くて、察してちゃんで、かまってちゃん。。
母は、本気で将来が…というより、近い将来が…小学校生活が、なんとなく心配。
素直に「ずるーい」とか「私の話も聞いて―」とか言ってくれたら良いのになぁと思ってしまう。

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