BF戦記(プロローグ)

21XX年、世の中ではバトルファック(以下BF)という競技がスポーツの1つとして広く認知されていた。

この競技は男女混合で行われ、タックル・投げ技・寝技を駆使して有利なポジションを獲得し、性技を駆使して相手を絶頂させるものである。

BFは中学校から実習として取り入れられ、部活としても設置されているのが一般的である。全国大会などで優秀な成績を収めればスポーツ特待生としての進学も可能であり、プロスポーツとしても確立されている。

これはとある高校のBF部に所属する少年を中心に描かれる物語である。


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俺の名はマサト。A高校1年生。中学生時代はBF部に所属していた。この時代ではBFは競技として確立されていて部活動としても盛んだ。

俺は中学の授業をきっかけにBF部に入部した。最初は右も左も分からなかったが、諦めず努力を重ねることで中学2年春から試合に出れるようになり、中学3年時には全国大会にも出場した。全国大会では2回戦で敗退してしまったが、BFという競技を続けたかったため県内の名門であるA高校に入学した。A高校は県内屈指の名門校で全国大会出場実績もある。俺は一般入試での入学だが特待生として入学している人もいる。

4月某日、入学式を終えるとBF部に入部するために俺は活動場所へ向かった。


タクヤ:やあ、入部希望者かな?

俺:あ、はい。そうです。

タクヤ:俺の名前はタクヤ。3年生でBF部男子キャプテンをしてるんだ。名前は何ていうの?

俺:マサトといいます。

タクヤ:ああ。A中学のマサト君じゃないか。確か昨年全国大会に出てたよね?

俺:2回戦敗退ではありますが一応出場していました。

タクヤ:いやいや。2回戦まででも全国大会出場は立派だよ。うちでも即戦力になれるかもしれないから期待しているよ。中を案内するよ。


A高校はBFの名門校だけあって練習場は立派なものだ。練習場はBF部専用の練習場が設置されている。中に入ると部員らしき男女が各自でウォーミングアップを行なっていた。


タクヤ:もう少ししたら練習が始まるからそれまでに練習の流れを説明しておくよ。

BFはタックル・投げ技・寝技を駆使して有利なポジションを獲得し、性技で相手を絶頂させる競技である。初心者は性技にばかり目がいきがちであるが、実は性技に移るまでのポジションの獲得の方が重要なのだ。

A高校では性技はもちろんであるが、このポジションの獲得に重点を置いて練習が組まれている。準備運動が終わったら、タックルの打ち込み、投げ技の打ち込み、寝技の型確認、立ち技のスパーリング、寝技のスパーリング、日によって最後に性技も加えた実践スパーリングを行う。それ以外に全ての基盤となるフィジカル強化は朝練があり、そこで走り込みや筋力トレーニングを行う。名門校だけあってしっかりと理論的にメニューが組まれている印象だ。


この日は練習の見学のみで終了し、明日から練習に参加するようにキャプテンから言われた。今日の練習を見た限り、名門校であるのと高校生であるため男女ともに体格もよく、スピード・スタミナ・テクニックも中学とは桁違いな印象を受けた。

組み技・寝技のような肉弾戦が主体となるBFはサイズに優れている方が有利なのは言うまでもない。そのため強豪になればなるほどサイズが優れた選手だ多い傾向にある。もちろんサイズだけで試合の勝敗が決まるわけではなく、サイズに劣る選手がテクニックや戦術で勝利をおさめることもあるのがBFの醍醐味でもあるのだ。

明日からの練習を楽しみにこの日は床についた。


翌日、BF部の練習場に行くと俺以外にも経験者と思われる1年生がいた。どうやら俺以外にも今日から練習に参加する1年生がいるようだ。


アキラ:やあ、マサト君だよね?

俺:ええ、君は?

アキラ:俺はアキラって言うんだ。B中学でBF部に所属してたんだ。マサト君はA中学で全国大会までいってるよね?俺なんて県大会でベスト4止まりだったからなあ。すごいよね。

俺:いやいや。そんなことないよ。ここは高校だから中学の実績なんてあまり関係ないよ。

アキラ:そう言われると少し安心するよ。でも、あの子は流石に別格じゃないかな?


アキラが指差した方を見ると一人の女の子が目に止まった。


俺:えっ!!!


僕らの視線の先にいたのはカナコという女の子だった。C中学BF部キャプテンで全国大会ベスト8の実績。170cm近い長身、推定Eカップのバストに高い身体能力と技術を併せ持つ万能型バトルファッカーだ。中学時代に対戦したことはないが彼女の試合を見たことはあった。一言で言うなら寝てよし、立ってよしというまさに穴の見当たらない戦いぶりだった。彼女は相手の弱点を徹底的に突く戦術をとっており、相手が立ち技が苦手なら立ち技主体で、寝技が苦手なら寝技に引き込んで自分に有利なように試合をコントロールしていた。寝技でも立ち技でも相手にペースを握られてコントロールされている場合は特段に体力を消耗する。特に寝技では相手に押さえ込まれている状態が長引けば長引くほど、どんどんスタミナが奪われるため相手に押さえ込まれないこと、押さえ込まれた場合はすぐに脱出することが重要となる。

女性は男性に比べてパワーに劣るがその反面、女性特有の体の柔軟性がある。そのため、男性側からすると寝技の際に押さえ込んでもスルリと逃げられてしまうことがあり、逆に女性に押さえ込まれた場合はベットリと絡みつくように押さえ込まれるため逃げにくいということがある。

彼女の押さえ込みから逃れられず、体力が尽き絶頂させられた男子選手は数知れない。

彼女もA高校に進学したのか…。


タクヤ:集合!


男子キャプテンの号令が響く。練習開始の時間だ。まずは部員全員が練習場の中央に集合する。


タクヤ:今日から新1年生も合流して練習を行います。まず男女のキャプテン、副キャプテンの紹介をした後、新入部員に自己紹介をしてもらいます。


部活の幹部の自己紹介の後、新入部員の自己紹介が行われた。新入部員は男女それぞれ5名いた。さすがにカナコのことは先輩達も知っているようで、彼女の自己紹介中の時はオーッという歓声も少し聞こえた。


自己紹介の後、練習が開始された。

BFは試合の時は性技があるため男女ともに全裸で試合を行うが、性技のない練習の場合は男性は下半身スパッツ、上半身は裸、女性は下半身ショートスパッツ、上半身はスポーツブラというのが一般的だ。

準備運動、タックルの打ち込み、投げ技の打ち込み、寝技の型確認と進んでいき、立ち技のスパーリングとなった。

BFは基本的に男女対決となるため、スパーリングは男女で行うのが一般的である。

今日は1年生は1年生同士の男女で組んでスパーリングということになった。

そして俺の今日の相手は…

カナコだった。いきなりの強敵である。

スパーリング時間は10分で立ち技スパーリングの場合は相手を投げたり、タックルをして倒した時点で再度スタンディング状態から仕切り直しとなる。


俺:よろしくお願いします!

カナコ:よろしくお願いします!


お互いに挨拶を交わした後、スパーリング開始となる。

対峙して見て初めて分かるのだが、カナコの構えに隙がない。左足が前のオーソドックススタイルで自然体に構えてはいるが、迂闊には踏み込めない雰囲気がある。迂闊にタックルを仕掛ければタックルを切られてバックを取られてしまうだろう。また、不用意に投げ技を仕掛ければいなされて、逆に返し技を喰らってしまうだろう。

また、体つきも鍛え上げられた筋肉の上に女性らしい脂肪がうっすらとのっており、バストやヒップなど出るところは出ていて身体能力も相当に高そうだ。


ここは慎重に間合いを見極めていかなければならない。時間は10分と十分にあるので焦る必要はない。

お互いにゆっくりとサークリングをしながら少しずつ距離を詰めていく。カナコが少しタックルのフェイントを入れる。それに対して俺も少し反応するがカナコはタックルには入ってこない。やがてお互いに手が届くほどの距離まで接近し、組み合うような形になった。こうなるとタックルはできないので相手を崩して投げ技を打つことになる。お互いに相手の肩や手を掴んだり、首の後ろに手を回して相手の態勢を崩そうとするが、なかなか投げ技に移行することができない。この攻防を繰り返しているうちに時間は過ぎ、残り3分を知らせるブザーが鳴る。

それにしてもカナコは本当にバランスがいい。こちらがあの手この手を使って態勢を崩そうとしてもスルリといなされてしまう。また、それだけではなくパワーもあり、こちらが油断すれば態勢を崩されて投げられてしまいそうになる。

7分も真剣にスパーリングを行なっているとお互いに少しずつ息が上がってくる。息は上がってくるが、それは相手も一緒だ。残り時間も少ないので積極的に攻めにいく。やや強引に首投げを仕掛けるがこれはカナコに防がれてしまう。しかし、これは囮で相手の足の内側から足を刈りにいく、柔道でいう大内刈りを仕掛けるための布石だ。単発の技ではカナコのような強敵には通用しないため連携技で仕掛ける。しかし、これもカナコは刈られる側の足を後ろに引いて捌く。


俺:(これにも対応してくるか…)

正直、中学時代はこの連携技をほとんど防がれたことはなかったので少し落胆した。そう思っていると次の瞬間、正面にいたはずのカナコの姿が消えた…。

なんと、投げ技を打てるような近距離から屈んて両足タックルを仕掛けてきたのである。


俺:(しまった…)


近距離なのでタックルを仕掛けられることを想定していなかった。タックルは近距離でも仕掛けることは可能であるので常に警戒していなければならないのだが、攻防に必死で完全に頭から飛んでいた。

慌てて腰を引いてタックルを切ろうとするが間に合わない。カナコの両手が俺の太ももの後ろでガッチリとクラッチされる。両足タックルが決まりかかってはいるが、俺も抵抗もせずに投げられる訳にはいかないので腰を落としてクラッチを切るように踏ん張る。必死に腰を落としてクラッチを切ろうとするがカナコのクラッチはなかなか切れない。そしてついに体のバランスを崩され、仰向けに倒されてしまった。

立ち技スパーリングなのでここからはまた両者スタンディングで仕切り直しとなる。1本先行されてしまっているので、取り返そうと必死に攻めたが少ない残り時間ではそう簡単に1本取れるわけもなくそのまま終了のブザーが鳴った。


続いてはこのまま寝技スパーリングに移る。寝技スパーリングでは双方が膝立ちで向き合った状態から開始される。この状態から相手の態勢を崩して押さえ込む。押さえ込まれた側は押さえ込みから逃れようとし、押さえ込む側は押さえ込みを維持するようにする。押さえ込みが解けた場合はそのまま寝技での攻防を継続し、再度お互いに相手を押さえ込みにいく。これを制限時間繰り返す。

寝技スパーリングでは立ち技と違って仕切り直しは原則ない。序盤で押さえ込まれ、逃げられなければ制限時間いっぱいまで押さえ込まれ続けることもあり、これは最も屈辱的な負け方だ。寝技では押さえ込まれた側が圧倒的に体力を消耗するため、押さえ込まれたら早急に押さえ込みから逃れることがこの負け方を回避する方法だ。実際の試合で押さえ込みから逃れることができなければ、そのまま相手の性技で攻められ続け、何もできずに絶頂させられてしまう。こういったことからBFにおいて寝技の攻防は極めて重要であり、立ち技に比べて寝技が重要視される傾向にある。

仕切り直しになる例外として、押さえ込まれた側がギブアップを宣言するというのがあるがこれは事実上の敗北宣言なのでギブアップを宣言する選手は滅多にいない。


俺の相手は先ほどの立ち技と同様カナコだ。立ち技で1本取られているので寝技では一矢報いたいところだ。


俺:よろしくお願いします。

カナコ:よろしくお願いします。


立ち技スパーリングと同様にお互い挨拶をしてスパーリング開始となる。制限時間は立ち技と同様に10分だ。

お互い膝立ち状態で組み合い、相手の態勢を崩して押さえ込みを狙う。膝立ちの状態で組み合ってもカナコの安定感は抜群でこちらが再三、崩しを仕掛けてもなかなか態勢を崩すことができない。やはり全国大会ベスト8の実績は伊達ではない。しかしこちらもカナコの崩しをなんとか凌ぎ、お互いに決め手を欠く展開が続く。

3分ほど経過した頃、カナコが仕掛けてきた。俺が出した右手の手首をカナコが左手で掴んできたのだ。俺はカナコの手を振り解こうとしたが中々振り解けない。そこで反射的に俺は左手でカナコの左手を掴みいった。しかし、その俺の左手の手首をカナコの右手で掴まれてしまったのだ。なんというハンドテクニックであろうか…。そのまま両手を床方向に引っ張られ、俺は頭が下がってしまう。そこにカナコはレスリングのがぶりをしてきたのだ。下を向いた後頭部にカナコの体重が載ってくる。まだ押さえ込まれてはいないが、この状態では相手にいいようにコントロールされてしまう。なんとかこの態勢から逃れたいがカナコほどの手練がそう易々と逃れさせてくれるはずもない。俺の体力が徐々に削られていく…。

この態勢がしばらく続いたのち、カナコはスルリと俺のバックに回ってきた。バックを取られた俺はうつ伏せになって仰向けに返されないよう防御姿勢をとるしかなかった。しかしカナコは俺の体の横に回り、脇の下から腕を滑り込ませながら俺の体を仰向けにひっくり返そうとしてきた。俺はひっくり返されないようにうつ伏せを維持しようとするが先ほどからの体力消耗もあり、徐々に徐々に体が仰向けに傾いていく。そして、ついに俺の体が仰向けにされる。カナコは素早く片足で俺の体を跨ぎマウントポジションになると、上半身を倒し、俺に覆いかぶさるように押さえ込みをしてきた。そして俺の右手ごと首を極め、俺の両足の足首にもそれぞれ自分の足を絡ませてきた。柔道でいう縦四方固めの態勢だ。

残り時間が5分といったところでついにカナコに押さえ込まれてしまった。

寝技は押さえ込まれた瞬間はまだ完璧には寝技が決まってないこともあるため、ブリッジなどで逃れられることもある。俺はカナコが縦四方固めをかけてきた瞬間に渾身のブリッジをして、カナコの体ごと跳ね飛ばして押さえ込みから逃れようとした。

しかし、カナコの押さえ込みは既にかなりタイトに極まっており、両足を絡められていたこともあり、俺の渾身のブリッジはカナコの柔軟な体とバランスの良さによりいなされてしまった。

俺は再度ブリッジをしたり、足を左右に振ったりして必死に押さえ込みから逃れようとするが中々逃れることができない。

時間経過とともに徐々にカナコの押さえ込みが深く極まっていく…。


俺:ハァ、ハァ…、ゼェ、ゼェ…。


カナコの押さえ込みが深く決まるのと、押さえ込まれているせいでの体力の消耗も相まって徐々に俺の抵抗が弱まっていく。

カナコは170cm近い長身で手足も長く、優れたテクニックやバランス感覚に加えて女性特有の体の柔軟性もあるため、押さえ込みを極められてしまうと全く動く隙間がないようにベットリと絡みつかれたような感覚に襲われてしまう。ブリッジをしようにも両足はそれぞれカナコの両足で極められており、上半身は肩固めのように極められており、完全にタイトに密着されているため体をよじることもできない。中学生時代に見た、カナコに押さえ込まれた男子の立場に今まさに自分がなってしまったのだ…。数々の中学男子バトルファッカーの実力者がカナコの寝技に屈してきたのも、この寝技を経験すれば納得がいくというものだ…。

そして俺は5分余りの時間、カナコの体の下で屈辱的な時間を過ごすことになる…。


ビーッ!


終了のブザーがなる。カナコはゆっくりと押さえ込みを外す。文字通り完封負けだ…。


カナコ:ありがとうございました。

俺:ハァ、ハァ…ありがとう…ございました。


お互いに挨拶を交わす。俺は体力の消耗が激しく挨拶すらままならない…。


今日の練習は性技ありのスパーリングはなく、これで練習終了となる。

この後、各自でクールダウンを行なって解散となる。


アキラ:おつかれ。

俺:ああ、おつかれ。

アキラ:なんだよ浮かない表情してるじゃん。どうだったよ?全国ベスト8の実力は?

俺:いや、もう完敗だよ…。

アキラ:マジで…。お前も全国出場してるのに…。

俺:同じ全国でも出場とベスト8は別もんだよ。特に寝技はヤバかった。アキラやる時は心してかかれよ。

アキラ:ああ…。とりあえず今日は帰って休もうぜ…。

こうしてA高校BF部での練習初日は幕を閉じた。

高校生生活はまだはじまったばかりだ。カナコにもいつかリベンジできるようこれから必

死に練習しなければ。

新たな決意をもとにこの日は眠りについた。


続く


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