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ラーメンみたいに、人間で「味変」すんな

電車に揺られるのも癪だし、いまさらピカピカした青白い朝をまじまじと見るのが嫌で、タクシーを拾った。とっくに酔っ払っているから、どのみち起きたって何かしら後悔するんなら、後悔の負債を増やしても変わんないだろうって思って投げやりになる早朝。

どっちでも良かったし、どうでも良かった。誰が誰を好きでも、私の好きな人がどこで眠ろうとも、いったん私は安全な寝床に返って眠ってしまいたいという気持ちになってしまうのが、朝までダラダラ飲むような飲み会の悪いところ。

そういう人が好きなんだったら、ハナから私はやめておけばよかったのに。私の家でもない、あなたの部屋でもない、誰かの私有地でなにも誓えるわけないのに、なんで永遠だと勘違いしてしまったんだろう。駐車場の隙間みたいな場所で、車も持てない私たちが描ける未来なんて1つもなかったのに。

ラーメンの味変みたいなつもりで手を出したんだったら、殺すよ、私の心の中で。私の気持ちの中で、あなたなんて火葬して終わらせるから。

すこし時間が経つだけで、思い出が綺麗な顔をしてこっちを向いてくる。見たこともない初見の町並みのくせに、二人っきりになった途端にこの前みたいな顔するのやめなよ。

免許なんて1つも持ってないくせに、バイバイってした改札をくぐり抜けたあとは私のことなんて微塵も考えたことないくせに、これからのことなんて一つも考えたことないくせに。

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