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恋愛トピックスしか書けない自分がキモい

何かを書こうと思うと、決まって恋愛の話がメインになってしまう。

意識しているわけではなかったから、無意識に湧いてくる感情がすべて恋愛に向けられているような自分が情けなくて仕方なくて、すごくすごく嫌だった。「私の人生には恋愛しかなかったのか?」と思うたびに、安っぽい人生に嫌悪感が溢れてどんどん自分を嫌いになった。

何気なく、紙のノートに今日の日記を書いていた時に、やっとそのジレンマの正体のしっぽを掴めた気がしたので、忘れないように書いておこうと思った。

まず大前提として、私にはコミュニケーション能力が欠落している。

これは今まで、デジタルネイティブ世代における「テキストだとペラペラ喋れるんだけど、コミュ力低いから対面だとうまくしゃべれないんだよね(笑)」という言い訳じみたものと同じだと思いこんでいたけれど、よく考えたらそもそも私は他人とコミュニケーションをまともに取ったことなどなかった。

他人との話の中で辻褄を合わせる時は、「なんかさ〜、小学生の時は一時期不登校だったんすよね(笑)」「中学生の時、学校行けてない時期があったんですよ〜(笑)」くらいに言ってはぐらかしていたけれど、そもそも私は小・中共にまともに学校へは行っていない。

もっと言うならば、中学校は本当に一度も登校していない。3年間、家に閉じこもって進研ゼミを解き続け、学校で配布された問題集を見ながら、わからないところは回答集を見ながらロジックを理解しながらなんとか解いていた。

当たり前だった。小2から中3まで不登校だった人間が、まともに他人とコミュニケーションを取れるはずなんてない。むしろ高校だって、山奥の片隅にある閉鎖的な通信制の学校だったのだから。

まるっと空白になってしまった10代は、どう足掻いたってこれから取り返すことなんて出来ない。だって、脳が未熟なあの頃でなければ学べないものだったから。むしろ、脳が未熟なあの頃に学ばなければいけなかったことを私は放棄した。

前に彼氏と喧嘩した時に「お前ってさ、誰かとコミュニケーションを取りながら物事を進めたことないわけ?」と、言われた。前後の文脈は省略するが、この発言には皮肉が込められており、ただの悪口であり、私は、はっとしたしすごく傷ついた。

やっぱりな、と思った。「不登校でもなんとかなります! くすぶってたけど頑張れば平気で働けます! むしろ不登校だった経験が『人の気持ちを理解できる』っていう長所につながっているんじゃない?」ぐらいに思っていた。

当時13歳の私は「義務教育」である小・中学校の存在意義を、「授業を受けなくても卒業できる学校」くらいに思っていた。だから、行きたくない人は行かなくていいと思っていたし、自動的に卒業できるくらいなら、他に好きなことをして有意義に時間を使うほうがベターだとすら思っていた。

私はバカだった。なぜなら、義務教育を受けていないから。……こんな皮肉を言えるくらいには、私も自分の人生を客観視できるようになったのだとポジティブに捉えたい。

それでも浅はかな言葉で言うならば、あの瞬間でしか得られない経験はもう絶対に、一生、二度と、取り戻すことはできない。

仕事だったらまだ良い。異業種から転職することや、これまでのキャリアと全く違うジャンルの事業を始めることだってできる。だってそれは、活きるから。

“10代がなかった”という経験は、何の役にも立たないし、これからの人生においても弊害を生み続けるだけだから。

しょうもない男にすら陶酔して、恋愛でしか自分を慰められなかったのは、私が過去に置いてきてしまった自己肯定感をやっと今、なんとか、別のもので補おうとしているからに過ぎなくて、未熟な私の周りに集まってくるのは未熟な人しかいなくて、どんどんどんどん辛い経験が蓄積されるだけ。

だけど今、大きな石が川の下流に向かうほどに小さく丸く削られていくような、物理的な現象に近い。やっと「ああ、普通の石になれそうだな」と思えているだけであって、私自身の中身はスカスカなままだ。まるで普通かのような顔をしているだけのとんだハリボテであり、密度も輝きもクソもない偽物の石。

「私の人生はなんだったのか?」と、とんでもなく人生の序章に戻った気がして果てしない気持ちになった。役に立たない過去と、一生補えない人生を抱えたまま生きていかなければいけない未来だけが私を待っている。

だけどこれは、過去の私が選んでやってきた人生なのだ。どうしようもない。文句は言えない。

人生として欠落していることを、恋愛という「大人になってもできる」手軽なシミュレーションゲームで補おうとしている自分に気づいてしまって、めっちゃ絶望した。

別に、本当にゲームだと思っているわけではないけど、ちゃんと振り返れば自己肯定感を上げるためのコンテンツに過ぎなかったのかもしれない。

「私の人生なんて救いがないのかな?」なんて、しょうもないことは言わないから、せめて頑張っている今の自分を絶望させないように生きていきたい。たったそれだけ。

みんなからしたら、たったそれだけ。だけど、実際のところ、どうするかは知らない。あーあ。

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