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1人で生きるからほっといてほしい

どれだけ忙しい日々でも、空いた時間にちゃんと掃除をできるようになった。コンビニのご飯は味がしないので、クタクタな日でも冷蔵庫の野菜を炒めて食べている。高校生が好きそうな音楽ばかり聴いて、年不相応な感傷に浸って自分をなまぬるく慰めている。

このあいだ、急に丸一日休みができたので、朝7時に思い立ってホテルの部屋をとった。隅田川沿いにある小さなホステルで、トイレもシャワーも共同部分を使うしかない、本当に寝るためだけの部屋。

16時からチェックインできるので、夕方には最寄りの駅に到着。いったん荷物を置いて、ぼーっと1時間くらい椅子に座って窓の外を眺めていた。
いつも使っている日記帳を持っていったのだけれど、なんだか、頭もあんまり働かなくなって、ペンすら執らずにカバンの中に閉まったまま、屋上のベンチでタバコを吸ったりしていた。

近くの店で酒を飲んで部屋に戻り、ベッドに横たわったのが25時過ぎ。不運なことにその日は水道の点検のため、24時半から25時半までシャワーが使えなかったので、コンビニで買った缶チューハイを手に隅田川沿いを散歩した。

目の前にスカイツリーがあって、川には建物の明かりがピカピカと反射していて、誰もいない一本道を歩きながら「休日ってこうやって使うのか」と思った。

いつから1人が怖くなくなったんだろう。いつから1人で何でもできるようになったんだろう。本当は全然そうじゃないのかもしれないけど、誰に言うわけでもないこんな休日の予定を静かに楽しめるくらいには、今は精神が落ち着いているのかもしれないなと、レモンサワーを啜りながら考えていた。

ちいさい違和感に目を瞑り続けて、ある日突然「もうここでは暮らせないな」と糸が切れて逃げる。自分の精神衛生の保ち方がわからなくて、お金とムダな時間と精神だけを消費している。

「モラハラ されるほうが悪い」という訳の分からない検索履歴を見て、まだまだ私は他責しながら生きているのだなと腹が立った。

前に別れた人が、別れた後に「辛い時に逃げるのは辞めたほうがいいよ」と書いた手紙を渡してきた。その時に、私は、この人とは遅かれ早かれ別れる相手だったのだなと悟った。手紙は一通り読んだ後にゴミ箱に捨てた。

こいつの歯ブラシでシンクを掃除してやろうかなとか、あいつの下着だけ洗濯機から出して放置してやろうかなとか、全部の靴の中に大きめの砂利入れたろかなとか、まだまだ子どもみたいな仕返しをしそうになってしまったことだってあるけど、ちゃんと「時間のムダだ」と気づけるのは救いだった。

だから私は必要以上に怒ったりしたくないし、というかそもそも全く怒りたくないし、不必要に悲しみたくないし、大袈裟に落ち込んだりしたくない。自分の機嫌は自分で取るから、誰にも期待しないで生きるから、みんな余計なことを言わないでほしい。勝手にさせてよ。逃げてもいいじゃん。


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