見出し画像

学術まとめ①インターロイキン

~Interleukin~ 世界で一番インターロイキンを網羅したまとめ

1)IL-1:Interleukin-1

・IL-1は、IL-1αとIL-1βが存在し、同じレセプターに結合することが知られている。生体内で産生されるIL-1は90%がIL-1βであり、単球をはじめ、樹状細胞や好中球、T細胞、B細胞、マクロファージ、内皮細胞、滑膜表層細胞から産生される。IL-1の産生は、LPS刺激、TNF- a刺激、Th細胞の相互作用などで惹起される。

・IL-1受容体はIL-1RIまたはIL-1RIIがIL-1 receptor accessory protein(IL-1R AcP)と複合体を形成して機能する。IL-1RIIは細胞内にシグナルを伝達しないため、IL-1の機能を阻害する分子として存在する。

・滑膜細胞や、血管内皮細胞、リンパ球、マクロファージなどを活性化する。活性化の結果、血管内皮細胞への接着促進やIL-1、IL-6、TNF-α、IL-17,IL-8、シクロオキシゲナーゼ(Cox-2)などの種々のサイトカイン、ケモカイン、炎症性メディエーターなどの発現が誘導され、その作用によって血管の透過性が亢進したり、発熱したり、あるいは種々の炎症性細胞の浸潤を招き、炎症を引き起こす。

・CD4+T細胞(ヘルパーT細胞:Th細胞)からのIL-2産生を促進する。

・IL-1βはB細胞を増殖させ、抗体産生を増強する。

・IL-1βは脳視床下部の温度中枢に作用し、PGE2の産生を促進させ、内因性発熱物質として機能する。(cf:IL-6、IFN-γ、TNF-α)

・滑膜細胞の増殖を促進し、プロスタグランジンE2(PGE2)、メタロプロテアーゼやコラゲナーゼ、破骨細胞分化因子(RANKL)などの発現を誘導し、破骨細胞を刺激することで骨吸収を促進することが知られている。関節リウマチ患者の関節滑膜細胞では高レベルのIL-1が作られている。

・生体内におけるアンタゴニストであるIL-1 receptor antagonist(IL-1Ra)欠損マウスは自己免疫性の関節炎を自然発症する(抗CD40L抗体、抗OX40L抗体を投与すると回復)。

・IL-1欠損マウスではIL-17産生量が低下し、EAEが改善する。

・TNF-αと類似した作用を示すが、TNF-αとは異なり高濃度であっても細胞障害・組織損傷を起こさない。

・関節リウマチ治療薬としてIL-1受容体拮抗薬アナキンラ(Anakinra)が開発されているが、日本ではまだ使用が認可されていない。

2)IL-2

・IL-2は、主に活性化T細胞(Th1細胞)から、その他、ナチュラルキラー細胞(NK細胞)、CD8+T細胞(細胞障害性T細胞:Tc細胞)から産生される。

・IL-2の受容体はα鎖(CD25)、β鎖(CD122)及び共通γ鎖(CD132)の3つの細胞膜表面タンパク質から構成される。β鎖(IL-15と共通)はJAK1と、γ鎖はJAK3とそれぞれ会合し、MAPK経路、PI3K-Akt経路、JAK-STAT経路(STAT5など)によってシグナルを伝達する。

・Tc細胞やTh細胞を増殖、活性化させる。

・NK細胞を、増殖、分化、活性化させる。

・単球・マクロファージを活性化させる。

・B細胞を増殖、抗体産生促進する。

・ダクリズマブ(Daclizumab)は抗IL-2受容体モノクローナル抗体であり、免疫抑制作用を示す。

3)IL-3

・IL-3は活性化T細胞、マスト細胞、好酸球によって産生される。

・IL-3受容体はIL-3Rαと共通β鎖(CD131)のヘテロダイマーからなる。

・マルチCSF因子として、造血細胞の増殖・分化を刺激し、赤血球、巨核球、顆粒球、マクロファージ、好塩基球、好中球、好酸球、肥満細胞、単球系細胞のコロニー形成を導く。

4)IL-4

・IL-4は活性化Th2細胞、Tc細胞、マスト細胞、好塩基球、ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)から産生される。

・IL-4受容体はIL-4RαとCD132またはIL13Rαとのヘテロダイマーで構成され、STAT6のリン酸化によってシグナルを伝達する。

・Th2細胞の増殖、分化を促進する。

・活性化B細胞のIgG1、IgEへのクラススイッチを促進し、抗体産生を促進する。またMHC-クラスⅡ分子の発現を増強する。

・IFN-γの作用と拮抗し、IgG2へのクラススイッチを抑制する。

・マクロファージの活性化を抑制し、NO、PGE2、IFN-γの産生を抑制する。

・血管内皮細胞のVCAM-1の発現を増強し、リンパ球や単球の血管内皮細胞への接着を促進する。

・マクロファージや樹状細胞におけるIL-25Rの発現を上昇させ、Th17反応を阻害する。

・IL-5受容体はIL-5Rα鎖とCD131の2つのサブユニットからなり、JAK2やLYNなどを介してシグナルを伝達する。α鎖には膜結合型と分泌型の2つが存在し、分泌型はアンタゴニスト分子として機能する。

・B細胞の増殖、抗体産生を促進する。

・IL-5は好酸球系前駆細胞に働いて, 選択的な好酸球の増殖ならびに分化を引き起こす。

・好酸球を活性化し、成熟、生存に寄与する。

・アレルギー性疾患や寄生虫感染、好酸球増多を伴う心内膜炎、膀胱炎、Hodgkin病などの疾患にて炎症局所や血清中のIL-5濃度が上昇していることが報告されている。

6)IL-6

・IL-6はIL-1刺激単核食細胞や血管内皮細胞、線維芽細胞、ケラチノサイト、Th2細胞、B細胞、メサンギウム細胞など様々な細胞から産生される。

・IL-6受容体には膜結合型の他にヒトの血清や尿に存在する分泌型の可溶性IL-6受容体が存在する。分泌型受容体も膜結合型受容体と同程度のIL-6親和性を示し、膜結合型と同様にシグナル伝達能を有する。IL-6受容体はgp130(IL-11、IL-27、IL-31、Oncostatin M、白血球遊走阻止因子、毛様体神経栄養因子等のIL-6ファミリーと呼ばれる分子の受容体とも会合する)と会合してJAK1/2、MAPKシグナルを伝達する。

・B細胞や形質細胞の増殖、IgG、IgM、IgAの産生増強。

・T細胞の分化、活性化(Th17細胞の分化誘導、Tregの分化・機能抑制)。

・肝細胞に作用し、CRP、ハプトグロビンを誘導する。

・IL-8やMCP-1などのケモカインの産生亢進及びICAM-1、VCAM-1などの細胞接着分子の発現亢進。

・RAの関節液中において増加し、抗IL-6受容体抗体トシリズマブ(Tocilizumab)は関節リウマチ、キャッスルマン病に適応。

7)IL-7

・IL-7は血球系細胞に限らず骨髄や胸腺、皮膚、肝臓など多くの組織の間質細胞によって産生される。

・IL-7受容体はα鎖とCD132よりなり、α鎖は胸腺細胞や樹状細胞、単球、成熟したT細胞などに発現している。また、未成熟なB細胞においても発現しているが、成熟したB細胞には見られない。シグナル伝達には多くの非受容体型チロシンキナーゼが関与しており、JAK-STAT経路やPI3キナーゼ-Akt経路、Srcファミリーのチロシンキナーゼを活性化させる。

・T細胞やB細胞の前駆体に対して増殖因子として機能する。IL-7欠損でリンパ球減少症。

・成熟T細胞を刺激して、抗原特異的Tc細胞やリンフォカイン活性化キラー細胞(LAK細胞)の細胞障害活性を増強する。

・VDJ遺伝子の再編を促進する。

8)IL-8(CXCL8)

・IL-8は末梢血単球、組織マクロファージ、NK細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞、上皮細胞、ケラチノサイト、メラノサイトなどから産生される。LPSやクレスチン、IL-1、TNFなどの刺激で産生が誘導される。

・IL-8受容体はCXCR1とCXCR2であり(CXCR1>CXCR2)、発現細胞の走化性に寄与する。

・好中球、メモリーT細胞、好塩基球、NK細胞などを誘引する。

・好中球の活性化、組織への浸潤を促進する。

・B細胞からのIgE産生を抑制する。

・白血球の血管内皮細胞への接着を増強する。

9)IL-9

・IL-9は主にTh細胞(Th9細胞)から産生される。

・IL-9受容体はα鎖とCD132からなり、JAK-STAT経路を活性化する。

・T細胞やB細胞、マスト細胞の増殖を促進する(マクロファージには作用しない)。

・血小板前駆細胞など造血細胞の増殖・生存を促進する。

・気道上皮細胞からのケモカインの産生を増強する。喘息の発生に寄与すると考えられている。

10)IL-10

・IL-10は主にTh2細胞から産生され、他にも単球、活性化B細胞、ケラチノサイトなど様々な種類の細胞より産生される。

・IL-10受容体はα鎖とβ鎖の2つのサブユニットからなり、b鎖は他に IL-22、IL-26、IL-28、IL-29の受容体も構成する。IL-10受容体はSTAT3をリン酸化してシグナルを伝達する。

・マクロファージやTh1細胞からの炎症性サイトカイン(IFN-γ、IL-2、IL-3、TNF-α、GM-CSFなど)の産生を抑制する。また、Th2細胞からのIL-4、IL-5産生を抑制し、マクロファージからのIL-1b、IL-6、IL-8、IL-12、TNF-αなどの産生を抑制する。

・NK細胞からのIFN-γ、TNF-α産生を抑制する。

・マクロファージのMHC分子・共刺激分子の発現を低下させる。

・B細胞の増殖・生存・抗体産生を促進する。

・炎症性疾患である敗血症、炎症性腸疾患で血清中IL-10濃度が低下していたとの報告があり、自己免疫疾患では、全身性エリテマトーデス(SLE)で血清中IL-10濃度の上昇を、強皮症では低下を認めたとの報告がある。

・造血系細胞に作用し、巨核球の成熟、血小板の産生、造血幹細胞の増殖などを促進する。

・脂質形成、骨吸収促進など。

・B細胞のT細胞依存的発生を促進する。

・腫瘍組織・腫瘍細胞で発現が上昇しており、腫瘍形成に寄与すると考えられている。

12)IL-12

・IL-12にはp35とp40の2つのサブユニットが存在し、p35は恒常的に産生されており、p40は活性化されたマクロファージや樹状細胞、B細胞が産生する(T細胞は産生しない)。p40とp35のヘテロダイマー(p70)として機能するが、p40のホモダイマーはp70の活性を阻害する。IL-12p40の産生はT細胞とのCD40/CD40L相互作用とIFN-γが必要。この産生はGM-CSFで促進され、TGF-βやIL-4、IL-10、IL-13で抑制される。

・IL-12受容体はβ1鎖とβ2鎖からなり、β2鎖の細胞内領域にTyk2、Jak2(STAT4を活性化)が会合している。

・Th0細胞をTh1細胞に分化させる。Th1細胞への分化にはIL-12Rの発現が必須(IL-2で誘導)。

・T細胞やNK細胞からのIFN-γやTNF-α産生を促進する。

・NK細胞、Tc細胞を活性化し、細胞障害性を増強する。

13)IL-13

・IL-13は主にTh2細胞から産生される他、NK細胞、樹状細胞からも産生される。

・IL-13受容体はIL-4受容体a鎖とIL-13受容体a鎖からなり、STAT6を介してシグナルを伝達する。IL-13受容体はT細胞表面には存在せず、B細胞や単球、気道上皮細胞などに存在する。

・B細胞に作用し、T細胞依存的増殖、IgEへのクラススイッチを促進する。

・単球からの炎症性サイトカイン産生を抑制する。

・IL-4とは異なり、NK細胞からのIFN-γ産生を増強する。

14)IL-14

・IL-14は主にT細胞から産生される。4つのへリックス構造が見られない高分子物質である。

・活性化B細胞の増殖を促進するが、抗体産生細胞への分化は抑制し、抗体分泌を阻害する。

・休止期B細胞には作用しない。

15)IL-15

・IL-15は活性化マクロファージ、樹状細胞、上皮系細胞から産生される。

・IL-15受容体はα鎖とIL-2Rβ鎖およびCD132からなり、機能的にもIL-2と類似している。

・NK、NKT、γδ型腸管上皮間リンパ球の分化・増殖・活性化に寄与する。

・メモリーCD8+T細胞の増殖、維持に寄与する。

・B細胞の抗体産生を誘導する。

・樹状細胞やマクロファージの成熟・活性化に寄与する。

・マスト細胞の増殖、サイトカイン産生を誘導する(異なる受容体?)。

16)IL-16

・IL-16はT細胞や好酸球、マスト細胞、樹状細胞、上皮細胞など多様な細胞からpro-IL-6として産生される。この前駆体はカスパーゼ3によるプロセシングで切断され、C末端側分子が自己凝集して4量体を形成し活性型となる。

・IL-16受容体はCD4分子であり、CD4を発現する細胞(Th細胞、単球、好酸球、pro-B細胞)に作用する。

・CD4+細胞の遊走、CD25の発現誘導、HLA-DRの誘導に寄与する。

・Th細胞の増殖を促進する。

・Fasの発現抑制、HIV-1の進入阻害や転写抑制なども報告されている。

17)IL-17

・IL-17はファミリーを形成し、IL-17(IL-17A)の他にIL-17B、IL-17C、IL-17D、IL-25(IL-17E)、IL-17Fが知られている。IL-17は主に活性化したTh細胞(Th17細胞)から、またその他にCD8+T細胞、γδT細胞、好中球、単球からも産生される。IL-17FはIL-17と同じ細胞で産生されるが、IL-25は活性化Th2細胞や、CD8+T細胞、マスト細胞の他、脳や肺で産生される。その他のファミリーは様々な末梢組織や免疫組織で発現している。特に、IL-17Dは筋肉や神経において高発現している。

・IL-17の受容体もファミリーを形成しており、線維芽細胞や上皮細胞、血管内皮細胞、マクロファージなど種々の細胞に構成的に発現している。IL-17Rファミリーには、SEFIRドメインというIL-1R/TLRのTIRドメインに相当するシグナル伝達に重要なモチーフが存在し、Act1というアダプター分子がこのドメインに結合し、Act-1のTRAF6結合ドメインにTRAF6が会合することにより、IKKやJNKを活性化することでNF-κBやAP-1を活性化し、下流でIL-6などの炎症性メディエーターの発現を誘導する。但し、Act1欠損細胞においてもIL-17シグナルによるERKの活性化は起こるため、その他のシグナル系も存在する。

・様々な細胞に対して、IL-6やIL-8、MCP-1、GM-CSF、PGE2、IL-1b、TNF-αなどの炎症性サイトカインやケモカイン産生を増強し、ICAM-1など細胞接着因子の発現を増強するとともに、iNOS、COX、メタロプロテアーゼなどの発現を誘導することで炎症反応に寄与する。

・好中球の遊走、増加、活性化に寄与する。

・IL-17欠損マウスに接触型過敏症や遅延型過敏症、CIA、EAEを誘導すると、症状が抑制される。このことから炎症反応や自己免疫疾患への関与が示唆されている。また、抗原特異的なT細胞応答や抗体産生の低下が認められたことから、IL-17が増悪期だけではなく、T細胞のプライミングのステージでも重要な役割を果たしている可能性がある。

18)IL-18

・IL-18は主にマクロファージから産生されるIL-1ファミリー分子。

・IL-18受容体はIL-1と同様TLRファミリーに属し、a鎖とb鎖からなる。IL-1受容体と同様にMyD88、IRAK、TRAF6などを介して、NF-kBの核内転移を誘起する。

・T細胞、NK細胞に作用して殺細胞活性やFasLの発現を増強するほか、IFN-γやGM-CSF、IL-4、IL-5、IL-13などの産生を誘導する(IFN-γの産生はIL-12による刺激が必要)。

・IL-3と相乗的にマスト細胞や好塩基球に作用し、IL-4、IL-13、ヒスタミンの産生を誘導する。

・IL-18 binding protein(IL-18BP)によってその活性が阻害される。

19)IL-19

・IL-19はIL-10、IL-20、IL-22、IL-24、IL-26とともにIL-10ファミリーを形成しており、主に刺激した単球より産生される。この産生はIL-4やIL-13で促進される。

・IL-19受容体はIL-20と同一の受容体(IL20Rα、IL20Rβ)を介してシグナルを伝達する。

・単球からのIL-6やTNF-αの産生を誘導する。

・Th細胞からのTh2サイトカインの産生を誘導し、Th2への分化を誘導する。

・肝細胞からのROSの産生、好中球の遊走、肺上皮細胞の細胞死誘導なども報告されている。

20)IL-20

・IL-20はIL-10ファミリー分子の1つで、主に活性化したケラチノサイトや単球から産生される。

・IL-20の受容体はα鎖とβ鎖のヘテロダイマーからなる。

・ケラチノサイトを含む表皮細胞の分化・増殖に寄与し、乾癬症の病態形成に関わっていると考えられている。

・IL-20トランスジェニックマウスでは皮膚の肥厚を伴う角化症がみられる。

・多能性造血幹細胞の拡大に寄与するという報告もある。

21)IL-21

・IL-21は主に活性化T細胞から放出される。

・IL-21受容体は骨髄細胞やリンパ球、リンパ組織に発現するa鎖とCD132を含む複合体で構成される。

・CD40刺激B細胞の増殖や分化を促進する。

・NK細胞の増殖・成熟に寄与する。

・T細胞に作用し、増殖の促進、Tc細胞の活性化に寄与する。また、IL-17やRORγt、IL-23Rの発現を誘導し、Th17分化に寄与する。

22)IL-22

・IL-22はIL-10ファミリー分子のひとつであり、主に活性化T細胞(Th17細胞)やNK細胞から産生される。

・IL-22受容体はIL-22RαとIL-10Rβ鎖から構成され、STAT3を介してシグナルを伝達する。

・ケラチノサイトや上皮細胞、肝細胞、線維芽細胞など多様な細胞に作用し、ケモカインやMMPの産生を誘導し、炎症を引き起こす。

・肝炎に対して抗炎症的に保護作用を持つことも報告されている。

23)IL-23

・IL-23はIL-12p40とp19サブユニットのヘテロダイマーで構成され、活性化マクロファージや樹状細胞から産生される。

・IL-23受容体はIL-12Rβ1鎖とIL-23Rからなり、STAT4を介してシグナルを伝達し、MMPの発現上昇や炎症性サイトカインの産生を増強する。

・活性化T細胞やメモリーT細胞(IL-12はナイーブT細胞のみに作用)の増殖、IFN-γ産生誘導に寄与する。

・Th17の終末分化に必須であると考えられている(ナイーブT細胞にはIL-23Rが発現していない)。

24)IL-24

・IL-24はIL-10ファミリー分子のひとつであり、主に活性化した単球やマクロファージ、Th2細胞から産生され、非造血系組織:肺、皮膚、生殖器などで作用する。

・IL-24受容体はIL-20Rα/IL-20RβとIL-22Rα/IL-20Rβという2つの異なるヘテロダイマーである。

・単球からのIL-6、TNF-αの産生を促進する。

・慢性Bリンパ球性白血病細胞を含む多様な腫瘍細胞に対し、増殖抑制、アポトーシスの誘導作用がみられる。

25)IL-25

・IL-25(IL-17E)は主にTh2細胞やマスト細胞から放出される。

・IL-25受容体はIL-17RBであり、リンパ器官をはじめ、肺や腎臓、肝臓、膵臓、腸、脳など広範な組織に分布している。

・マクロファージや樹状細胞、B細胞、活性化T細胞に作用してTh2サイトカイン(IL-4、IL-5、IL-13など)を誘導し、Th2反応の開始、促進に寄与していると考えられている。

26)IL-26

・IL-26はIL-10ファミリー分子のひとつであり、主に単球やメモリーT細胞(プライマリーT細胞を刺激しても産生されない)から産生される。

・IL-26受容体はIL-20Rα/IL-10Rβであり、STAT1、STAT3を介してシグナルを伝達する。

・上皮細胞からのIL-10やIL-8の産生を誘導し、ICAM-1の発現を誘導することで粘膜免疫や皮膚免疫に関与すると考えられている。

27)IL-27

・IL-27はEpstein-Barr virus (EBV)-induced gene 3 (EBI3)とIL-27p28 (IL-30)とのヘテロダイマーであり、主に抗原提示細胞によって産生される。

・IL-27受容体はIL-27Rα(WSX-1)とgp130のヘテロダイマーで構成される。

・ナイーブTh細胞に作用し、Th2細胞やTh17細胞への分化を抑制し、Th1細胞への分化を誘導する。

・エフェクターTh細胞からTr1細胞を誘導し、IL-10の産生誘導やIL-2産生抑制によって炎症反応を抑制することが示唆されている。

・Tc細胞やNK細胞に対してIFN-γの産生を誘導する

・B細胞に対して増殖・分化に寄与し、IgG2aの産生を増強し、IgG1産生を阻害する。

・マクロファージや樹状細胞の共刺激分子、接着分子の発現を誘導する。

28)IL-28、IL-29(IFN-λ)

・IL-28A、IL-28BおよびIL-29はIL-10ファミリー分子のひとつであり、主に樹状細胞から産生される。また、Ⅲ型インターフェロンとしても知られ、それぞれIFN-λ2、IFN-λ3、IFN-λ1と呼ばれる。

・IFN-λ受容体はIFN-λRαとIL-10Rβのヘテロダイマーから構成されている。

・IFN-λは他のインターフェロンと同様に抗ウイルス作用を示す。

・PBMCからのIL-6、IL-8、IL-10やその他のケモカイン産生を促進する。

29)IL-30

・IL-30はIL-27p28分子であり、IL-27のサブユニットとして機能する。

30)IL-31

・IL-31は主にTh2細胞から産生されるIL-6ファミリー分子である。

・IL-31受容体はIL-31Rα鎖とoncostatin M受容体(OSMR)のヘテロダイマーで構成される。

・主にケラチノサイトや気道上皮細胞に作用し、EGF、VEGF、CCL2、IL-6やIL-8の産生を誘導する。

・皮膚炎症に関与していると考えられている。

31)IL-32

・IL-32は主にT細胞、NK細胞、上皮細胞、単球からIL-2やIL-18、IFN-γ刺激によって産生される。

・IL-32受容体は厳密な同定に至っていないが、Proteinase-3-PAR2経路を活性化する事が知られている。

・単球やマクロファージからのTNF-α産生、MIP-2やIL-8などのケモカインの産生を誘導する。

・破骨細胞の分化に寄与する(活性化には寄与しない)という報告もある。

32)IL-33

・IL-33の発現解析は不十分であるが、上皮細胞や平滑筋細胞で高発現が見られる。

・IL-33はIL-1受容体ファミリー分子のT1/ST2を介してシグナルを伝達する。

・Th2細胞からのIL-5、IL-13の産生を誘導する。

・好塩基球からのヒスタミン遊離、IL-4、IL-8、IL-13の産生を誘導する。

・好酸球やマスト細胞からもこれらのサイトカイン、ケモカイン産生を誘導する。

33)IL-34

・IL-34の主な産生細胞は不明だが、脾臓や皮膚、肺、肝臓、胸腺、脳など様々な組織で発現が見られる。

・IL-34はCSF-1受容体に結合してシグナルを伝達する。

・単球の増殖、分化、生存に寄与する。

34)IL-35

・IL-35はIL12p35とEBI3のヘテロダイマーであり、主にTreg細胞から産生される。

・T細胞、Treg細胞の増殖を促進する。

・FoxP3の発現誘導、IL-10の産生促進によってTreg細胞の拡大、機能促進に寄与する。

・Th17細胞の分化を抑制する。

35) IL-36

・IL-36はIL-1ファミリーに属するサイトカインであり、IL-36α、IL-36β、IL-36γが存在する。

・IL-36の受容体はIL-36RとIL-1R AcPの二量体で構成され、NF-κBやMAPK経路を活性化する。

・乾癬など皮膚組織での炎症悪化に寄与すると考えられている。

36) IL-37

・IL-37はIL-1ファミリーに属するサイトカインである(IL-1F7)。

・抗炎症性作用を有し、LPS投与によるショックなどに抵抗性を与える。

37) IL-38

・IL-38はIL-1ファミリーに属するサイトカインである。

・IL-38はIL-36Rに結合し、Th17サイトカイン抑制といったIL-36Rアンタゴニスト(IL-36Ra)と同様の生理活性を示す。

38)OSM:Oncostatin M

・OSMはIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、マクロファージやT細胞、樹状細胞から産生される。

・OSM受容体はgp130/LIFRからなるⅠ型とgp130/OSMRからなるⅡ型が存在する。IL-6やLIFと類似した作用を示し、炎症や造血、肝臓の発達、中枢神経系の発達などに関与していると考えられている。

・内皮細胞に作用し、IL-6やG-CSF、GM-CSFを誘導する。

・AIDSにおけるカポジ肉腫(OSMRは発現、LIFRは無い)の主要な増殖因子であり、酵素や急性期タンパクの発現を制御する。

39)LIF:Leukemia inhibitory factor

・白血球遊走阻止因子・LIFはIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、活性化した単球や肺の線維芽細胞などから産生される。

・LIF受容体はgp130/LIFRからなり、OSMやCNTFと共通の受容体として機能する。

・造血前駆細胞の増殖を促進し、骨髄巨核球の増殖を促進する。

・内皮細胞の増殖を抑制する。

・神経細胞の分化に寄与する。

・肝細胞に作用し、CRPを誘導する。

・胸腺上皮細胞の機能維持に寄与する。

40)CNTF:Ciliary neurotrophic factor

・毛様体神経栄養因子・CNTFはIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、主にシュワン細胞、神経細胞、アストロサイトなどから産生される。

・CNTF受容体はgp130/LIFRからなり、主に神経や骨格筋に作用する。また、IL-6受容体にも結合すると考えられている。

・神経細胞やグリア細胞の増殖、分化、維持に寄与する。

・神経節細胞からの神経ペプチド(SP、VIPなど)の産生を誘導する。

・肝細胞に作用し、CRPを誘導する。

41)CT-1:Cardiotrophin-1

・CT-1はIL-6ファミリーに属するサイトカインであり、心臓をはじめ多様な組織で発現がみられる。

・CT-1受容体はgp130/LIFRからなり、心臓や骨格筋の形成に寄与する。

・心筋細胞の増殖、生存に寄与する。

・単球の増殖、生存に寄与する。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?