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Matterport Pro3を使った点群の検証

Matterport Pro3に関して、点群を使った映像制作の分野からみた検証を行いました。何かの参考になれば幸いです。
この検証は株式会社アルファコードさんと合同で行いました。

株式会社アルファコード CEO 水野 拓宏さんと、検証の様子

目次

1,Pro2からPro3でバージョンアップした事
2,実撮影の感想
3,データを使えるようにする費用について
4,撮影データの検証
5,点群動画を作ってみました

1,Pro2からPro3でバージョンアップした事

①野外撮影が可能になった

 Pro2の場合は屋内施設のみで撮影可能でしたが、Pro3は晴天の野外でも撮影可能となりました。実際公園の撮影を行ったのですが、とてもきれいに撮影する事ができました。Pro3に搭載されたLiDARのおかげですね。

②撮影時間の短縮

 Pro2は1スキャンに30秒程度かかります。それに比べ、Pro3は20秒未満で撮影可能です。1ポイントで10秒ではありますが、400ポイントの場合、1時間の短縮になるので良いのではないでしょうか?
短期間で大量に撮影できるのもメリットですが、野外での撮影は人が通ることも少なくありません。人が通ってない一瞬の間に効率よく撮影するには、この10秒の短縮はとても助かります。

③重さについて

 Pro2より30%小さくなっています。重さは2.2kg程度で専用のバックがついています。ノートパソコンと一緒に機内持ち込みも可能なサイズ感なのでフットワーク軽く撮影に行けると思います。

2,実撮影の感想

①簡単!早い!!!

 今まで、点群データの制作はフォトグラメトリーという手法を使って3Dデータを制作し点群データに変換していました。建築物を作る場合は、数千枚の写真を撮影して、パソコンで処理をかけるのですが、撮影と処理に膨大な時間がかかります。肌感なのですが、撮影時間は20分の1程度だと思います。
また、フォトグラメトリーを制作する場合、撮影し忘れ箇所があると、再度全ての撮影をする必要があります。撮影し忘れの場所だけ撮影+処理できればいいのですが、太陽光の色など様々な要素が変わるため、全てやり直さないと、一か所だけちぐはぐなデータになってしまうのです。それに比べ、Matterport はアプリで撮影データをその場で確認できるので、撮影し忘れが発生しにくいと思います。
数回の練習で撮影はできるようになるので、大きな会場を手分けして複数人のスタッフと一緒に撮影する事もできると思います。(MatterporのHPに掲載する際は1台で完結させる必要があります。)

②簡単に隠れられる。

 360°撮影の場合、カメラマンは死角に隠れる必要があります。野外で撮影する場合、隠れる場所が少なく、結構大変で、1ショット毎に数十mダッシュする事もw
 それに比べて、Matterport Pro3はカメラ直下は撮影しないので、三脚の下に隠れたらOKです。

撮影中の様子

3,データを使えるようにする費用について

Matterport Pro3は撮影データを、そのまま本体から抜き出すことはできません。必ず、データをMatterportのサーバーにアップロードして、サーバー内での処理後にダウンロードする必要があります。
この作業を行うには2種類の費用が発生します。
①月々発生する会員費用
②データを処理する毎に発生する費用

①月々発生する会員費用

撮影データを点群データとしてダウンロードする際はプロフェッショナルプランに加入する必要があります。

費用

これを契約している間はクラウド上にデータを保存してくれるのですが、映像制作で使う場合はローカルPCにデータを移動すれば、クラウド上に保存しておく必要はないので、使う月だけ契約すればいいと思います。

②データを処理する毎に発生する費用

 MatterportはMatterportのHP内で使用するために、専用の処理をしています。
点群データやポリゴンデータとして使う場合はE57ファイルという形式に変換する必要があります。その価格が¥10,700(2023/5/29現在)

価格表

なので、 Matterportのサイトを使わずに、点群データだけ取りたいっていう場合は
撮影一か所目が19,100円
それ以降は、+10,700円
ってイメージです。

ちなみに、本体のレンタルは数は少ないですが、何か所かあるみたいです。
私が調べたところ68,000円/日 でした。
私がチェックした所→ママフ合同会社

4,撮影した点群データの検証

①レーザーの取得距離に関して
②点群の密度に関して
③誤差について

①レーザーの取得距離に関して

撮影データを確認した結果、レーザーは最長で230mまで飛んでました。
ただ、実際使えるデータは100mが限界値で、余裕をみて50mまでで考えて撮影計画を立てるといいかもしれません。

実際に撮影した点群データ

②点群の密度に関して

点群の密度は濃い場所で3mm間隔でした。

点群の濃い場所
点群の密度(m)

ただ、密度の薄い場所とのギャップが大きいため、綺麗な映像を作るには間引く必要があると思います。
わたしの感覚値ですが今回のデータだと4cm間隔まで間引くと綺麗に見えると思います。

右、元データ  左、4cm間隔に間引いたデータ
4cmで間引いた場合の画像。十分綺麗です。

次回、Matterport Pro3を使う事があれば、撮影密度を増やす事で、間引く間隔を小さくできないか?検証してみたいと思います。

③誤差について

建物の角や葉っぱの端など、背景に空が映る場所に関しては、空の色が入っていました。
これは、私の予測なのですが、Matterport Pro3のLiDARは位置情報のみを測位しており、RGB情報に関しては、写真から近似値を参照してるのではないかと思います。
(もしかすると、LiDAR自体がRGB情報をとらない規格なのかも??勉強します。)
空が背景となる場所では注意が必要だと感じました。

5,点群動画を作成しました

個人的な感想ですが、
私は、今まで点群を撮影する時は、写真を使うフォトグラメトリーかiPhoneのLiDARを使っていました。
部屋、一つとかであれば、iPhoneでも撮影可能なのですが、オフィス1つとかになると、iPhoneでは限界があります。
iPhoneで限界の場合はフォトグラメトリーを使っていたのですが、数人で半日かけて数千枚の写真を撮影して、数日かけて処理していました。
しかし、Matterport Pro3を使った場合は、一人で20分の1程度の時間で撮影から処理まで済みます。
1回の撮影に多少の費用はかかりますが、それに以上の仕事をしてくれるのではないかと思います。
それでは、作成したサンプルをご確認ください。

この記事のお問い合わせは
info@imgee.tokyoまでお気軽にご連絡ください

最後に、この検証にご一緒くださいました、株式会社アルファコードさんに心より感謝申し上げます。


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