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ハーバード流交渉術のリアル

大分前になりますが、私が読んでとても参考になった本をご紹介いたします。
ハーバード大学のロジャーフィッシャーが書いた交渉術に関する本の日本語訳です。
https://www.amazon.co.jp/ハーバード流交渉術-必ず-望む結果-を引き出せる-ロジャー-フィッシャー/dp/4837957323/ref=pd_lpo_sbs_14_t_0?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=DAZ1N6S6GRBQFHS0EFX7

私のメモとして、頭の整理として、そして
たまにやってきてくれる数人の閲覧者の皆様のお役に立てればと思います。

数年前、私の所属する部署が解体された時、すがる思いで読んだ本がこれです。
もめ事が起こる前にこの知識があれば、ずいぶん結果も変わっていたのではないかと後悔しています。

何かを変える時、物事を進める時、いろんな人を巻き込まないと前には進みません。
そこには利害関係が生じてきます。そして交渉が生じします。
この本に繰り返し出てくる言葉は下記の四つです。交渉において最も大事な考え方といえます。
()内は私なりの補足です。

1.人と問題を切り離せ(人は感情のある生きものであることを理解し即座に批判しない、対立関係になってしまうと交渉自体が始まらない)

2.立場ではなく利害に焦点を合わせよ(条件はあくまで表面的なものであって、その背景にある問題がわかれば共有の利益がわかる)

3.複数の選択肢を用意せよ(1つの案では利害を回避出来ず、却下されるので複数案を検討しておく、背後の利益に共通項が見いだせれば、案が改善されて、交渉が進む)

4.客観的基準を強調せよ(あの場合、この場合とピンポイントでの問題提起に対し全体を網羅した客観的な基準を示す。いわゆるメリデメ整理)

この基本原則を基にこの本では様々な状況や人物のパターンや
どうしようもない時の対処方法等、本当に参考になることが書かれています。
ただ、理論と実践が伴うのは非常に難しいです。ですから、つまりは、実践あるのみですが、闇雲にやるのでなく、理論を頭に入れておくことも役に立つのではないかと思います。

一般的な交渉は本書の中では「駆け引き型交渉」と言われていて私はこれが苦手で好きになれません。
これが上手な方はいっぱいいらっしゃいます。
実際には、本書の中にではこのように分類されています。
ハード型:条件を譲らない頑固な姿勢
     →脅して、粘って、または権力を使って、交渉に勝つ
     →友好関係が対立関係に変貌する
     →結果、煙たがられる
ソフト型:友好関係に重きを置く
     →交渉に負ける
     →お人好し
     →部下や利害関係者への面子丸つぶれ(陰口叩かれる)

これに対して、この本の中に書いてある交渉術とは、
原則立脚型交渉術」です。
端的に言えば、
「する」、「しない」ということを双方が争うのではなく、
出来るだけ共通の利益を見出し、利害が衝突する場合は、
どちら側の意思からも独立した公正な基準に基づいて結論を出すことです。

正論を振りかざして相手を黙らせるという方法では決してなくて、相手の感情、気持ち
をきちんと汲み取ることが大事だと書かれています。

いろいろ書いてあって会得するのは難しいのですが、私がこの理論の中で一番大事だと思って
意識していることは、お願いする相手には対立関係になる前に仲間となることです。
交渉とはディベートではなくていかに同じベクトルを向いて仕事が出来るかということではないかと思います。
同じ組織の人間であれば、論破されて、その後にその指示通りに動こうとは
思いませんよね。何も、討論会をして正論を唱えて黙らせる必要はないと思うのです。
上司が部下を教育・指導する際にも同じだと思います。
何も、どなり散らかす必要はないのです。
持論を展開する必要はなく、相手に何らかのメッセージを投げかけている時というのは
最終的に行動変容を求めているのだと思います。

その際に一番大事なのは、相手の気持ちになって相手の主張を考えることであり、
こちらの主張についても決して恣意的でなく
客観的にみて合理的かどうかを常に考えるということを意識しています。
理論は難しいですが、私はそのような基本理念を心に宿しながら日々の生活を送っています。

次回はもっと実践的な部分での感想文を書いてみたいと思います。
この理論に基づき実践してみた事例等について書ける範囲で。

(筆者 過去のブログ記事を再編集)