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MusicEducator's DR Inc. presents Music for Winds & Percussion vol.3

前々回に引き続き2枚目の紹介です。


1.木星(G・ホルスト / arr.不詳)
2.ページェント(V・パーシケッティ)
3.シンフォニック・ダンス第2番「マスカーズ」(C・ウィリアムス)
4.グロスターの3つの歌(M・スチュアート)5.フローレンティナー行進曲(J・フチーク / arr.F・フェネル)
6.天国の猟犬(J・サイラー)
7.バッカスの行列より(「シルヴィア」より)(L・ドリーブ / M・ウィリアムス)
8.ローシーミーダー(R・V・ウィリアムズ / W・ビーラー)
9.サヴァンナ・リヴァー・ホリデー(R・ネルソン)

若干ジャケ汚れがあります

1曲目は誰もが知る名曲のチョイス。アレンジャーの記載が無く、転調もされいてます。アレンジャー記載が無いとなるとB&H版だと思われます。全体を通して音程などに難があり、バンドの音もハリが不足。名曲であると同時にプレイヤーに確かな技量がないと聞かせられない曲だと思いました。曲ごとに多少のメンバーの入れ替えがあったと思われ、2曲目以降は演奏が安定しています。
2曲目はパーシケッティが吹奏楽作品として3番目に書いた佳作。前半のコラールは讃美歌を彷彿とするようなきれいなメロディーと和音で進行します。後半はリズミカルに進行し、目まぐるしくパッセージが様々な楽器に割り振られ、停滞することなく曲を閉じます。ABA(アメリカ吹奏楽指導者協会)の委嘱ということで、この時代のABA委嘱作品は現在のマスターピースとして確立されていると思います。
3曲目は3番の「フィエスタ」があまりにも有名になり、埋もれてしまったC・ウィリアムズのシンフォニック・ダンスの2番。マスク(仮面)を付けた紳士淑女の仮面舞踏会の様子を連想して書かれたということで、日本にはあまり馴染みのない光景とも言えるでしょうか。3分半という小品ですが、C・ウィリアムズの曲だとハッキリ分かる筆遣いです。
4曲目は1969年に出版された曲。イギリスにあるグロスターという地に昔から伝わる民謡を題材に作られた曲。この作曲家はローグレードのバンドピースを多く残しており、決定打となる代表作と言われる曲はすぐに思いつかないものの、こうした曲を多く手掛けているように思います。シンプルで丁寧に書かれた曲で、古さを感じさせないスクールバンド向けの曲だと思います。現在ではフレックス版がアレンジされて出版されていて、アメリカの教育音楽界の中ではメジャーな曲なのかもしれません。
5曲目も名曲。フローレンティナー行進曲。丁寧に演奏していますが、マーチとしての推進力や音のハリが今一歩足りず、ちと残念。
6曲目は1993年NBA作曲賞の受賞作。作曲者のサイラーは学生時代にA・リードやM・コルグラスに教わっており、比較的吹奏楽作品を残している作曲家と言えます。イギリスの詩人フランシズ・トンプソンの同名の詩からインスピレーションを受けて作曲されました。詩の内容が私には難しく、曲に没頭できませんでした(涙)「神の救いを求めて精神世界を旅する魂を描いたもの」と、ある紹介文には書かれており、苦悩と解放が交互に押し寄せます。最後は静かに終えます。
7曲目のバッカスの行列は現在ではデ・ハスケ版や建部さん版などが多く使用されていると思いますが、このCDではM・ウィリアムズの編曲が使用されています。このアレンジャーもロー・グレードの曲を多く手がけている作曲家です。無理のない響きです。
8曲目はR・V・ウィリアムズがウェールズの賛美歌をもとに作った3つの前奏曲の中の1曲です。エルガーのニムロッド、愛のあいさつのようにイギリス生まれの作曲家のこうした曲は心が洗われます。管楽器の集合体で演奏すると金管楽器特有の柔らかさと木管楽器の清らかさが融合して感動深い音が出るように思います。個人的に吹奏楽という形態の一つの魅力だと思っています。イサカ大学で長年バンド・ディレクターを務めたW・ビーラーのアレンジの良さも光ります。
9曲目はR・ネルソンのサヴァンナ・リバー・ホリデイは1953年の作曲ということで、作曲されてから70年経ちます。全く古さを感じさせない曲です。終盤、スターウォーズを彷彿とさせる箇所が出てくるのですが、こちらの曲の方が20年ほど早く生まれているという事実に驚愕(つまりJ・ウィリアムズが・・・いや、たまたまだと思いますけどね・・・)。そして、こちらの曲も中間部が美しい。
今回も選曲のバランスの良さが光ります。演奏は前回の盤に比べると少し聞き劣りしますが、未聴の曲など新たな発見がありました。

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