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ノルウェーの軍楽隊のCD

アメリカから少し離れます。
世界各国は軍隊を所持していますが、そこに属するかたちで軍楽隊も有することが多いと思います。今回はノルウェーの軍楽隊で私が所持しているCDを紹介します。

1、王立ノルウェー海軍バンド
歴史が長く、1820年(!)に結成されたバンド。普段は29名という小ぶりな編成で活動しているようです。ノルウェーが保有する5つの軍楽隊の中ではCDのリリースなども多く、日本人が一番多く耳にする可能性がある楽団だと思います。私が所持するCDはイギリスのスペシャリストというレーベルからリリースされた2枚。
このスペシャリストというレーベルの素晴らしさはBand powerに掲載されていた樋口幸弘さんの「ウインド交遊録」で紹介されておりまして、残念ながら現在はサイトの閉鎖により見ることが出来なくなりました。また様々な回顧録やエピソードを見たいと願ってやみません。
ディレクターの選曲、バンド、録音場のチョイスなど、どの観点からも素晴らしい内容で吹奏楽好きならマストのCDです。数十枚のタイトルをリリースしたのですが、残念ながらレーベルは倒産してしまいました。

1枚目 オラフ王を称えて(ホルスト作品集)

購入するタイミングを逃し、喉から手が出るほど欲しかったこのCD。先日、Amazonのマケプレにかなり安く出品されていて、すかさず購入。今シーズン1番の嬉しさだったかもしれません。
今回の録音は38名の編成ですが、ダブルリード楽器など2名ずつ配置されており、日本でいうところの中編成の扱いですが、響きのリッチ感が抜群です。それでいて各楽器セクションの響きの輪郭もクッキリとしていてぼやけない。この音を聴けるだけでも購入した価値はあります。
どの曲も丁寧でしなやかに演奏されており、曲の魅力を十分に伝えてくれます。
DISC1
1.3つの民謡  第2組曲で用いられた民謡が冒頭で出てきます。この曲をアルバムのファーストトラックにする辺り、確信犯的でニヤリとさせてくれ、このCDに対する期待感がより一層高まります。第2組曲が作曲されたのは1911年という記録が残っているようなのですが、こちらの曲は正式な記録年がハッキリしないようで(知っている方がおりましたらコメントを!)・・・
2.第1組曲  演奏・録音・風格すべてが満足できる内容の演奏で、第1組曲の録音の中でも屈指の演奏かと思います。個人的1位はクリーヴランドSWとフェネルの録音。鮮烈な演奏で音を聴くだけで眩しさを感じます(笑)。その外にもEWEとフェネル、ロンドンWOとD・ウィック、この後紹介しますがノルウェー国軍音楽隊も素敵ですし。ダラスWSとH・ダン、キーストンWEとJ・スタンプあたりのアメリカのバンドのゴージャスな演奏も良く、第1組曲は人それぞれに名盤がある曲のように思います。
3.ハマースミス~プレリュードとスケルツォ~
この曲、渋すぎでまだ私には曲の良さを噛みしめられるに至っておりません。また後で聴き直してみます・・・
4.第2組曲  こちらも素晴らしい演奏で特に中低音の充実さがこの曲の魅力を引き出しているように感じています。4曲目のダーガソンの幻想曲の感銘度はピカ1であります。
5.ジーグ風フーガ(バッハ作、ホルスト編)
サクソルン属とファゴットのモコモコ音が耳に心地よい演奏です。
グレインジャーといい、この響き良いですよねぇ。
6.ムーアサイド組曲(ホルスト編)
元々ブラスバンドに書かれた作品をホルスト自身が吹奏楽にアレンジ。残念ながら全部編曲することなく生涯を終えました。DISC2のG・ジェイコブのアレンジよりも淡く素朴な印象。これはこれで良き。3曲目のグランドマーチの部分、どうアレンジしたのか聴いてみたかったです。
7.オラフ王を称えて
世界初のCD収録ということで注目を集めた作品。他のホルスト作品に比べると全体的に派手で、グレグソンの「剣と王冠」や「王は受け継がれてゆく」のような作品を思い浮かべると雰囲気はつかめると思います。(ホルストさんの方が先なんですけどね)収録して世に送り出したことは天晴れ!
ただ、他のホルストの曲と比べると単調で大味のように感じます。
8.マーチングソング
1906年に室内オケのために書かれ、R・V・ウィリアムズ捧げられた曲とのことらしいです。確かにイギリス民謡組曲の1曲目に似ている箇所もあります。イギリス民謡組曲は1923年の作曲なので、V・ウィリアムズがこの曲から何らかの影響を受けていると勝手に思いを馳せています(笑)
4分という短さながら様々なエッセンスが詰まった魅力的な作品です。

DISC2
1.ムーアサイド組曲(G・ジェイコブ編)
DISC1のホルスト自身の編曲よりも華やかさが増したように思います。3曲目はこれぞ英国、女王陛下万歳!を思わせる華やかで格調高いマーチでこれを聴くだけでも価値があります。この後に出版されたと思われるD・ライトの原曲との違いも後で聞き比べたいです。
2.我は汝に誓う、我が祖国よ
木星の中間部が英国の愛国歌なんですね。このメロディーを聴くと心が高揚します。
3.火星(G・スミス編曲)
4.木製(G・スミス編曲)
このCDの最後を飾るのは「惑星」からの2曲。最後にアレンジ作品かよー。思う方もいらっしゃるかもしれませんが、この2枚を続けて聴いていくと、「いよいよだな」と思ってしまう魅力があります。ブージー&ホークスから出版されたこの楽譜は若干の古さを感じる部分がありますが、演奏の熱量と本気度が遥かにそれを凌駕してしまいます。編成の小ささから弦の部分の音量や音色感に若干のチープさは感じてしまいますが、好演。さーし。

どのトラックも満足のいく演奏で曲の魅力を最大限に引き出すバンドです。この他にもリリースしているので、しっかりとコンプリートしていきたいバンドの一つです。


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