長期実践型インターンシップのOB(社会人10年目)に、当時を振り返ってもらう!(並河征之さん)
好評で「ノリノリのインターンシップ大冒険」第5話まで配信を終えております。そして、引き続きnoteでも長期実践型インターンシップを中心に、情報発信を続けていきたいと思います。
第四話
第五話
<長期実践型インターンシップ>
長期実践型インターンシップとは、以下のとおり、一定の長期間で、専属のコーディネーターが存在し、学生にとっても、実践的な内容のプロジェクトに取り組み、難易度が高いものの、やり遂げる中で成長を遂げられるプログラムです。
NPO法人G-netでは、20年程度にわたって「ホンキ系インターンシップ」として実施してきました。
インターンシップの効果は、その瞬間ではなくて、その後の大学生活や、その後の社会人生活に大きな影響を及ぼすことが期待されます。一方で、追跡調査に関しては、インターンシップが様々な内容であることや、企業や大学がそれぞれ、インターンシップに取り組んだ人に対して、数年間にわたって調査することが困難であり、日本ではあまり調査結果が浸透しておりません。
「長期実践型インターンシップ入門」(ミネルヴァ書房)では、約100名に対するアンケート調査と9名のOB/OGへのインタビュー調査を行いました。
今回の並河征之さんは、書籍には登場しておりませんが、実践的な内容に学生時代に取り組み、その後の就職活動や、社会人生活に大きな影響を与えたお話を伺うことができました。
「長期実践型インターンシップ」
コーディネーターの役割
1ヶ月以上の期間でコーディネーターが企業とも学生とも違う、企業とも大学とも違う第三者のコーディネーターの人が企業側と学生側双方に伴走支援をしながら、企業の難しい課題というかですね、実践的な経営課題に学生がその期間取り組む「精神と時の部屋」(ドラゴンボール)状態を作り出すことができます。
<ゲストの並河征之さんの紹介>
愛知県名古屋市の名古屋市立大学経済学部卒業、卒業後は、岐阜県各務原市のスーパー銭湯の運営会社へ就職。就職先は、社員数が7人ぐらいの会社で、約10年間働き、今年の3月に退職。現在は社会人約10年目、創業に向けて準備中。
<学生時代のインターンシップ>
学生時代には、大学3年生の夏頃から5ヶ月間、NPO法人G-netの実施するホンキ系インターンシップ、長期実践型インターンシップに参加しました。企業は、愛知県の高浜市にある、瓦の配送をする物流コンサルティング企業でインターンシップへ参加しました。
<インターンシップに参加した理由>
大学にG-netのインターシップに参加していた先輩から、インターシップフェアというインターシップのマッチングイベントの宣伝を聞きました。そこで、インターンシップフェアを知って、参加しました。10社ぐらい、岐阜県の会社もあれば、愛知県の会社などの中で、すごい面白い会社がすごくたくさんあった。その中でもインターシップをさせていただいた物流のコンサルの会社の担当の方が、キラキラしていて、目立っていた。フェアでブースに学生が集まって、いろんな質問を投げかけて、いろいろな回答をしている姿が、理路整然としていた。こんなふうに質問に答えられる人がいることに驚き、パワーがすごく、関心を持ち、志望するに至りました。
<インターンシッププログラムの特徴>
最初に、G-netのコーディネーターも含めて、一緒にプロジェクトを設計することから始まりました。学生の個人にフォーカスして、対話を求めるタイプの会社でした。
夏休みは、平日毎日、5日間インターンシップに参加していました。朝礼に出て、最後は、もう会社閉めるまでいました。夏休み終わった後は大学が始まってしまうので、大学の授業を受けながら、3年生の後期は、授業も結構少なくできたので、授業がない休みの日は1日出勤していた。大体週に3日くらい参加していました。
<具体的な業務>
並河:「物流というと、瓦の準備と、瓦が必要な場所が存在します。それを結んで、瓦を運ぶトラックの配車をします。お互いの事情が存在します。こんだけの瓦の量だったらこれぐらいの日数がかかります、いつまでに欲しいのですが・・・といったような内容の業務でした。このような要望と、運べる内容を調整する機能を持った事務所でした。細かくファックスで瓦屋さんに発注したり、物流センターに指示を出したり、電話で調整したりをやる事務所でした。それぞれの人がどんな仕事をするのか把握しました。」
並河:「その次に、プロジェクトとして、事務所のレイアウト変更をやりました。事務所の中でオフィスの場所を変えることでした。具体的には、デスク、複合機、プリンターの配置、効率の良いレイアウトにしました。会社の業務を把握する観点でも、業務内容がわかっていないと、レイアウトに反映することができないので、まずは、レイアウト変更案を提案して欲しいという依頼がありました。その後は、業務改善する観点で、レイアウトの変更に限らず、全体の業務の流れなどを捉えて、効率よくできることや、ミスを減らすためにできることなどを提案しました。」
今永:「アルバイトだと、言われたことをそのままやる、あるいは指示に従ってその通りに行うことが多いと思うのですが、このインターンシップでは、自分で考えて、自分で提案することが求められるのですが、どうでしたか?最初からうまくできたのでしょうか?」
並河:「いや、結論から言うと、僕のこの5ヶ月間のインターンシップは、結構辛かったんですよ。どちらかというと僕個人のパーソナルな部分で言うと、ナンバーワンを目指すのは結構得意でした。決められたルールの中で、1位を取ってくださいみたいなのは結構得意なタイプだと思うんですけど、何やってもいいです、やりたいことやってください、それで結果出してくださいと言うことは戸惑いが多かったです。」
棚瀬:「大学生であれ、社会人であれ、オンリーワンを目指して、自分で考えて提案して実践するのは、なかなか難しいことだなと思います」
今永:「そのような中で、どうやって乗り越えることができたのですか?」
並河:「すごく難しかったですね。ずっと考えてました。相談もたくさんしました。もともとその会社でインターシップをしていた先輩とかが、声をかけてくれたり、一緒にご飯食べに行ったりしてくれました。また、G-netのコーディネーターとも、たくさんご飯に連れて行ってくれました。また、上司の方ともたくさんお話をしました。実は夏休み明けからの後半戦は社宅に住まわせてもらって、社宅から大学に帰ってたんですよ。完全に社員っぽい感じになりました。さらに、同期の学生もいたので、その同期とルームシェアしていました。
今永:「普通に授業を受けているだけだと、あんまり他の人と真剣に議論したりとか、相手のことを考える機会は有益な経験になってますね。お互いのことを考えたりとか、アドバイスしたりとか議論したりする機会は、将来社会人になる中でも重要ですね」
<インターンシップの中で特に印象的なこと>
最初の1ヶ月経った時、インターン始めて1ヶ月経った時に、中間モニタリングという、1ヶ月間自分はこういうことをやりました、こう思ってます、これからこうしたいと思いますと言うことを社内の人に、発表する機会があり、その発表に対してフィードバックをもらえる機会がありました。その中で、2つのコメントを今でも覚えています。
1.直属の上司から言われたコメント:
新入社員として見たらめちゃめちゃ優秀。でも、あなたに求めてるのはそこじゃない
振り返ると、空気を読んだり、相手が求めるものとして答え合わせしに行きますよね。
だから、上司の人はやって欲しいことをやってくれるから、部下、単純に新入社員として部下にいたらすごく助かるんだけど、でも、インターン生に求めてることって、だって半年でいなくなっちゃうんだから、別に新入社員に求めてることをあなたに求めてるわけじゃないよ。もっと、この短期間だからこそできる爆発力というか、パワーを出してほしいのに、そんなうまくやらないでよ。と言われました。
2.社長から言われた「君は語彙力がないね」というメッセージが今でも忘れられません。
語彙力は、ある方だと思っていた。国語は得意で、語彙力はある方だと思っていた。多分単純に語彙、知ってる言葉の量とかっていう話ではなくて、伝える力がないと言うことや、自分の気持ちを言語化するっていうところがあまりにも凝り固まってて、自由に自分の考えとか思いを広げて、言葉にするっていうところが足りないっていう意味だと今では理解できた。ただし、当時は衝撃的でした。
伝える力とかプレゼンの力とかっていうのも、別にそんなに苦手意識とかっていうのがあったわけではないので、そこで君は語彙力がないねって言われたのはすごくショックで、それを噛み砕くのにすごく時間がかかりましたね。
<就職活動について>
インターンシップを通して、社会のことや業界のことを知らないと思えたので、業界とか職種とか、最初は全然絞らずに、もうとにかくたくさんの業界に応募しようと思った。エントリーシートを出すためには、会社とかその業界のことを調べないと書けないので、その経験が有益だと思いました。50社とか100社とか受かりたいという気持ちより、業界について知ろう、その会社について知ろうっていう気持ちで、最初は幅広くエントリーシートを送っていました。
もし、長期実践型インターンシップをしていなかったら、単純に僕は愛知県内の大学の経済学部を卒業する予定だったので、大手メガバンクや、地方銀行、地元のトヨタ系の会社や、商社などが人気であったので、そのような企業に就職したような気がします。
とりあえず有名なところとか知ってるところを希望するのではなく、なぜこの企業に就職しようと考えているのかと言う点に、疑問を持てたことがインターンシップへと参加して一番よかったと思いました。
インターンシップの時には、社員の人と、夜遅くまで一緒に働いたり、ご飯を食べたりなどの姿を間近で見ていたので、その人の肩書とか、そこに所属しているっていう会社の大きさではなく、個人としての魅力とか、生き生き人生を謳歌している社会人に触れられたことがよかったです。社会人の姿をたくさん見ていたので、会社の肩書きよりかは、どんな生き方を自分がしたいかといった点から、会社を選ぶこと、探すことが重要だと気づいた。インターンシップする前と後では全然違う就職活動になったんじゃないかなと思います。
<最終的には、社員の少ない会社を選んだ>
一番大きな理由は社員数の少なさです。就職活動を終えるときは、一生で1回しかない機会だと思っていたので、長く就職活動していました。4年生の秋、10月ぐらいまで続けてました。その時点で最終的に内定を4ついただき、その中から選ぼうというところで、社員数だけで比較すると一番大きいところで大体3000人ぐらいいる会社、次は300人ぐらい、100人ぐらいの会社、7人の会社というところで、その4社から内定をいただきました。
3000分の1、自分が何かやりたいとか、そういう時に手を挙げた時に、やりたいですって言った時にできる確率が全然違うな、それだったら7分の1の会社に自分が7分の1になった方が絶対会社にとって貢献できると思いました。一番の理由は単純に社員数が少なかったからと言うのが一番大きい理由ですね。
<社会人になってからよかったこと>
社会人になってからは、温浴施設の運営をしている会社で働きました。温浴施設の支配人をやりました。具体的な業務としては、ネットショップでの商品開発と販売、入浴剤の製造、また、温浴施設のコンサルティングとかもやりました。何でもやりました。本当に社長の右腕と言っても過言ではないくらいに、常に社長と近い場所で仕事をさせていただいたと思います。。
インターンシップを通して得られた「自分はどうしたいんだ」と言う主体性に関しては、とても大切にすることができました。「自分はこの会社をどうしたいんだとか、自分はこのお店をどうしたいんだっていうところを、ちゃんと自分の意見を持つっていうのはすごく意識をしていました。」それがないと、結局ただの社長の手となり足となり、歯車の一つとなり、働くっていうのは社員の数が多くても少なくても一緒だと思います。
仕事をする中で、自分の意見を持って社長と意見を交わすことが重要だと思いました。それが最終的に社長の意見に同意することももちろんありますし、社長とは違う考えを持っていて、それを押し通すみたいなことももちろんありました。インターンシップの経験で、自分がどうしたいか、自分の考え、自分の気持ちはどうなんだっていうところにすごく向き合う経験をしたからこそ、社会人になってから、このような働き方を実現することができたと思っています。
<メッセージ>
もう本当10年以上前の話になりますけど、学生時代に感じていた、なんとなくこのままじゃダメなんじゃないかっていう気持ちとか、でもなんか周りよりもちょっといい結果を出したい、だからうまくやりたいみたいな、そういう気持ちは、時代が変わっても、多分今の学生さんたちもそんなに変わらないんじゃないかなと思います。
単純にそのままうまくやるっていうことだけを繰り返していると、本当に主体性のない自分の本当の思いとかやりたいことっていうところに向き合えない人生になってしまうと思っています。10代20代の時間は、とても貴重な時間だと思います。そういうところに向き合う時間を取ることができると、その後の30代40代がいい人生になるんじゃないかなと思っています。
並河さんの貴重な体験談でした。
詳細は「ノリノリのインターンシップ大冒険!」#4,#5でご確認ください!
第四話、第五話 はコチラから。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?