電車内にて。

夏は終わりを迎えたが、秋は一向にやってこない。
春はすぐに来てすぐに去ったというのに。

4月が来るのを拒んだ日々からもう半年も経ったか。
のらりくらりと過ごしてきたが、よく何事もなく終えられたな、と我ながら賞賛を送りたい。

とはいえ9月は様々あった。
そもそも邂逅してしまったことは間違いだったのではないか、とここで書き連ねた所で絵空事だが。
ただこの再開は私の人生を一気に変えた。
平穏な日常が地続きで存在することに変わりはないが、所々の──幸福感、とでも言おうか、に満ちるようになった。

結果的には依存しているため良いとは言えないし、
何の進展も無いのだが、私はそれで良い。

こんな日々で生を終えるのも悪くないと思っている。

ただもう一度逢いたいのだ。
今度は二人きりで、なんて柄でもないことも口走りたくなるほどには。

その"今度"を探しに行きたいのだ。
でもどこにもない。

毎日、とまでは行かないがなるべく会話を続けているのはこの目標のためでもある。

繫がれている、という幸せ/安心感が欲しい。
とにかく人生に一秒でも長く関与してほしい。

触れてしまったら離れられない、と思っていたから繫がりを絶ったつもりだったのだが、
強制的に(良いことだが)繋がってしまったのなら、それは何としてでも関係を続け、あわよくば良くしたいと願うのが筋だろう。

ふと、電車の扉が空いた。がモワッとすることもなく車内と変わらぬ空気感に驚いた。
季節だけが空回りしている。急に秋になろうとしたって誰も順応できない。

さて、帰ろうか。

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