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ヘルパースケルター 0章

人生とは時に喜劇にも悲劇にもなる。 様々な感情に揺さぶられ、心身は成長する。 そんなものは全くの嘘である。 感情に流されず冷徹に物事を遂行する 成果のみが彼らの成長材料であり、生きる価値である。

20××年2月17日
ゴーンゴーン・・・
毎朝、6時になる鐘の音で男は目覚める。 起きたからといってすることはない。 スマホチェックをしながら 時が過ぎるのを待つ。

特に面白くなくても、時は流れるもので
??:時間か・・・。

ディスプレイに浮かぶ「シャワー」の 文字に反応する。

男のシャワーシーンなどテンションはあがらないが この男は別である。 色は白く、細身ではあるが嫌み無く筋肉がつき遠目から見れば浮き名を流してきたと考えるものいるだろう

シャワーからでて、??は慣れた手つきで紺色のスリーピーススーツに着替える。 ベストを着付けた時にベッドの上から着信音が響く
??:おっはよー!!○○起きてる?起きてるよねぇ

○○:今ので完璧に起きましたよ。お嬢

??:テンション低い!もしかして○○低血圧?

○○:お嬢がテンション高すぎるんですよ

??:そんなことないよぉ
電話ごしに聞こえるドンドンは無視しよう・・・ と○○は決めこむ

○○:あ、後お嬢本日は・・・

??:いいよ、あの子の所行くんでしょ。

○○:終わり次第すぐに
それだけを残し電話を切る

○○:「はぁ・・・。朝からきっつ」
電話を終え机の上にあるハイライトメンソールに火を付ける。
句読点を付けた後、○○は家を出た。

~~
20××年2月17日
上司:寺田!何度同じミスをすれば気が済むんだ!

寺田:申し訳ございません・・・。

上司:お前3年目だろ?仕事舐めてるならやめちまえ!!

寺田:わかりました。私寺田蘭世この会社やめます!
寺田:くそお世話になりました!ハラスメントじじい

寺田:やっちゃった・・・。どうしよう・・・。
会社近くの公園のブランコに、いかにもな出で立ちで酒を飲んでいた。

??:あれてんねぇ。お姉さん
新手のナンパか?と思い振り向く寺田 そこには同じ顔をした美男子が2人いた。

??:仕事やめちゃったのなら暇でしょ。

??:あぁ、ごめんね俺はこーゆー者です
名刺を出す

寺田:・・・KYGヘルプセンター?

??:そー!お困りごとなら俺等にお任せって何でも屋でーす
??:んで、俺が上谷悠樹。こっちの喋んない方が悠里

悠里:・・・ども
小さく頭を下げる

悠樹:うちの事務員の枠が急遽増枠したからさ、どー?

寺田:・・・お話だけなら

悠樹:じゃあ、一緒に行こうかぁ!悠里、車!

悠里は小さくうなずき、車へと脚を進めた。

~小谷霊園~
○○:久しぶりだな・・・。忙しくてなかなかこれなかった
仏花を代え、線香に火を付けた後話し出す○○

○○:これ無理して吸ってただろうけど、1本つきあえよ・・・史緒里
ピアニッシモを霊前に供えて、○○もハイライトメンソールに火を付ける。

○○:悠樹達も元気でやってるぞ、相変わらず悠里は喋んないけど
自然な笑みを浮かべて話す。

○○:上では幸せになってくれよ・・・。俺らは逝ったら下に行くからよ・・・
灰が落ちたのを確認し、じゃあなとつぶやき後にする。

~~
悠樹:とーちゃーく!

寺田:えっすご。何ここの建物

悠里:・・・社長の好みだ、中は普通だ

寺田:喋った!

悠樹:ハハハ、やべぇ面白すぎる。喋っただけでこの反応かよ

寺田は内心たかをくくっていた。 聞いたこの無い会社が入っている場所だ、いわゆるオフィスビルみたいなところだろうと。
実際は、大名造の平屋である。 そして中に出迎えてくるのは、甲冑に日本刀が2振り正直な感想は怖いであった。

悠樹:じゃあ、お嬢を呼んでくるわ

寺田:あっ、はいっ!
頭の中で4年前の就活を思い出し失礼の無いようにしようと考えてると

??:ばぁっ!

寺田:ひゃぁっ?!
??は驚く寺田を見て手を叩き笑っている。

悠里:・・・悪ふざけはこの辺で社長・・・。

??:もう!前みたいにお嬢って呼んでよ悠里

??:てことで、お嬢こと白石麻衣でーす!で、どっちの彼女??

寺田:あっ、寺田蘭世です。どちらとも違います。事務員の募集があると伺って・・・。

白石:あー史緒里の後釜ね。じゃあ合格!
どこに隠していたのかわからないクラッカーを鳴らす

寺田:へっ・・・合格ですか?

白石:うん!だって可愛いから
理由が不純すぎる。そう突っ込むにはまだ関係性は浅いが、安堵から寺田の目から涙が出る。

寺田:・・・良かったぁぁぁ

白石:辛かったね、おいで私がなでなでしてあげよう
寺田は胸の中で、泣いた。

寺田が泣き終えた頃、悠樹も戻ってきて白石に尋ねた。
悠樹:あ、他の皆さんは?今日定例会でしょ

白石:んーもうすぐ来るんじゃない?

悠里:セッティングしておきます

白石:ついでに蘭ちゃん紹介しようか

白石:○○と秀一には早めにあわせておかないとね

悠樹:そうっすね・・・。特に○○さんには

寺田は初めて見た悠樹の暗い声にただ事ではないと思った。
寺田:○○さんと秀一さん?

悠樹:あーうちでお嬢の次に偉い人たち。めっちゃいい人達だよ笑

白石:他のも来るから、2人で教えてあげなさいよ

悠樹:うーす

悠里:・・・はい

白石:13時から始めるから、お昼食べながら話てきなよ
ポケットの中からくしゃくしゃの万札を3枚悠樹に渡して白石は出て行った

3人が出て行く所を見つめながら、白石は1人つぶやく
白石:・・・○○達もこんな感じだったなぁ

~~
○○:13時まで時間があるな・・・。
車を走らせながらつぶやく○○
つい15分前にお嬢からの電話を無視したが 連続でかかってこないことに、嫌な予感を感じていた。

○○:悠樹たちでどうこうできない依頼か・・・。何かあったか

~~ 
悠樹:ここ、ここ!

悠樹が選んだ店は明らかに、白石からもらったお金では割に合わない喫茶店だった。 寺田はイタリアンかフレンチか思っていただけに肩すかしを受けていた。

悠里:・・・ここのは美味い。ディナーはいいとこに

寺田:心、読んだ?

悠里:・・・顔だな」

 寺田は悠里からの言葉に、頬をつねりながら入店すると先に入った悠樹が男に挨拶をしていた。

悠樹:おせーぞ2人、あっ寺田さん!こっち紹介するよ

悠樹:うちのナンバー2、中元秀一さん!

 秀一:よろしくな!麻衣にめちゃくちゃされてないか?
黒のスーツをノーネクタイで着こなし、食事を終えた後だろうか爪楊枝を咥えたまま挨拶をする。

寺田:寺田です!よろしくお願いたします。

秀一:固いって、俺らは家族だ気ぃ張らずにな
それを言い残し、秀一は店を出た。

 寺田:・・・はぁ緊張したぁ。

悠樹:だろうな、お嬢も秀さんも○○さんも圧があるからなぁ

悠樹:あっ、たばこいい?

悠里:・・・俺もいいか?

 こういう時、なんと答えるのが正しいのか。 寺田が答えるより前にそれぞれメビウスのオプションパープルと銀ピースを取り出し火を付けている。

悠樹:色々教えろって言われたけど、秀さんと○○さんさえ抑えておけば良いよ

悠樹:あと、この店はナポリタンが美味い

寺田:わかった、じゃあナポリタンにする!

悠里:・・・おい悠樹、一番安いメニューをすすめるな

悠樹:美味いから良いだろー!ナポリタン3つ!

 秀一:帰ったぞー!
声に反応するかのようにドタドタと廊下をかけて白石は秀一に飛びつく

白石:おかえりー!

秀一:ただいま、麻衣。・・・あと会ったよ寺田さんに

白石:可愛かったでしょー!

秀一:あぁ、○○とうまくいくかな?

白石:悠樹とは気が合いそうだからね

○○:誰と上手くいくかって?

秀・白:○○!

白石:新しい事務の子入れたの可愛いよ!!

○○:お嬢からの電話はそれだったんですね

秀一:俺にはなかったぞ

白石:だって、秀電話に出ないもん

○○:夫婦喧嘩はいらないよ

白・秀:違うから!

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