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ヘルパースケルター 3


喫茶店を出た○○と秀一は2人でタバコを咥えて歩き出す。

○○:あー寒っ・・・、てか新しい子はどうなの?

秀一:あぁ、寺田ちゃんだろ?アテンドセンターにぶち込んでる。北見が騒がねぇあたり使えてんじゃないの?

○○:まぁ、今日の依頼は数は多いが捌くのは楽だろうな
灰を側溝に落しながら言う

秀一:北見も崎ちゃんも化けもんだからな、鼻が高いだろ元センター長笑

○○:ふっ、あれくらいやってもらわなきゃ困るけどな

秀一:お前にはあのままいて欲しかったんだがな・・・。

○○:あんなけ派手にやったんだ、こうなるとも予想済みだ。

2人の灰が落ちきり、また歩き出す。

~~
その頃、アテンドセンターの面々と事務部の梅澤、伊藤はオフィス近くの定食屋に来ていた。

寺田:えーっ、○○さんって元々アテンドセンター長なんですか?

北見:そーだよ、まぁしかも1人でやってた

伊藤:ぼくの時はまだセンター長で超怖かったんだから

オーダーがくるまでの間、寺田は北見の前任を聞きおどろきを隠せてなかった。

~~
隣の席

山崎:で、北見とはどうなの?

梅澤:いや・・・普通ですよ

高宮:言ってくれたら全然かわりますよー笑

岩本:バカっ、こーゆーのは揃えずに聞くのがいいんじゃんw

梅澤:史緒里があんなのになったのに・・・うちらだけ幸せでいいのかなって・・・

山崎:梅ちゃんは梅ちゃんだからね!
暗い声を出す、梅澤の肩を抱く

梅澤:でも、あっくんは…史緒里のこと好きだったし…。

高宮:あの時も○○さんに掴みかかってたもんなー

山崎:確かに最近、○○さんと仲悪そうだもんね。またあの2人の関係性に戻って欲しいなぁ

岩本:あの2人、いいコンビでしたもんね

過去をふりかえり感傷に浸る

伊藤:あっ、きたきたきたー!

頼んだものが届き、皆テンションが上がってる。 私も、適当に頼んだ生姜焼き定食が美味しそうすぎてテンションが上がった。

全員:いただきまーす
食べ始めて3分男子陣が食べ終わる

北見:ごちそうさまでした・・・。高宮タバコ

高宮:・・・うすっ。ごちそうさまでした。
2人は席をたった。

伊藤:蘭世ちゃんやったね、お昼奢りだよ笑

寺田:えっ、悪いよ・・・。

梅澤:ほんとあーゆー所○○さんそっくり・・・
確かに、○○さんとかサラッとそんなことしそうだなぁと思って聞いてた。

岩本:てことは?梅??

ここから、梅澤さんと北見さんのお惚気け話でお腹いっぱいになって店を出たけど、店員さんからお代はもらってますって言われて伊藤さんと岩本さんはやっぱりやるねぇって騒いでた。

岩本:お昼は、うちらで外回り行こーね。寺田ちゃん!

寺田:うん!
岩本さんは、その場で止まり車を待つ

岩本:おっ、きたきたきたー

手を振る岩本さん、先に歩く皆さんに挨拶してサッと止まった車の後部座席に乗り込んだ

岩本:寺田ちゃんこっち
シートをバンバン叩いて誘導する。

寺田:カバンとか置いてきちゃったけどいいのかな?

高宮:いりそうなものはこっちでやったっす。
少しぶっきらぼうに告げられ、確認する。

高宮:じゃあ、行くっすよ
思ったより優しく走り出した車はあれよあれよと流れに乗った。

寺田:あまりよくわかってないんだけど今からどこいくの?

岩本:まずは、お買い物からだねー!

はぁ?とはなったが突っ込んでいいのかわからず。へぇーと答えるのが精一杯だった

車を15分ほど走らせた後到着したのは、至って普通な町のスーパーだった。

高宮:ターゲットは今日のタイムセール品の卵っす1人頭3パック確実に回収してください

寺田:はぁ・・・。
気が抜ける返事をする。

岩本:気を抜くとおばさん軍団にやられちゃうからね
颯爽と中に入っていった2人、これが依頼内容?戸惑いながらついて行く

岩本:タイムセールの極意は目の端にターゲットを見ておくこと、時間まではゆっくり回っとかないと注意されちゃうから

寺田:わかった
赤いカゴを片手に歩く2人、高宮は逆側から回るようだった。

店員:タイムセールをはじ…

声が終わる前に、2人は棚から卵を3パック回収した。

寺田:あわわ・・・。
人波が私を襲ったが、前を歩いた岩本の後ろを歩く形で3パック回収できた

高宮:ナイスっす、まぁこんなには頼まれてないのでこれは北見さんにあげましょうか笑

早く言えって心でツッコミ会計を済ます。 領収書とともに依頼人宅へ向かう道中

高宮:今回の買い出しっていくら?
車内で高宮くんが聞く

岩本:日中の買い出しは3,000円だよー

へぇ、結構細かく決まってるんだと思いながら私は聞いていた。

高宮:次の依頼まで間が空くから、ついでに回収すっかー

岩本:そだねー

寺田:ついでとかあるの?

高宮:あはは、3,000円で帰れねぇっしょ。まぁ1人頭だからこの時点で9,000円っすけど

寺田:めっちゃぼってるじゃん!

岩本:まぁ、いーじゃん即金で払うんだもんあのばーちゃんw

そう言いながら、1件のお世辞とも綺麗とは言えない一軒家に着く。

岩本:ばあちゃん元気?

おばあさん:はいはい、よく来たね××

岩本:うん!頑張ったんだよ?これはいっ!
岩本は卵を手渡した。

おばあさん:よくできたねぇ…。
岩本に万札を渡す。

岩本:ねぇ、友達と一緒に頑張ったんだ?いいでしょ?

おばあさん:あぁ、いいよこっちおいで

腰をかがめて近づく高宮
高宮:××凄かったんだぜー、卵バーってとってさ!

おばあさん:いつも××と仲良くしてくれてありがとねぇ
高宮くんの頭を撫でながら万札を手渡した。

岩本:ばあちゃん、これから塾があるから帰るね!

おばあさん:車に気をつけるんだよ。行っといで
笑顔で3人を送り出した。

2人は、演じていた。おばあさんの孫の××とその友達を私はただ呆気に取られただけだった。

2人と一緒に家を出て、聞いた。
寺田:ねぇ、あのおばあさんが依頼してくるの?

高宮:違うよ、訪問介護の事業所が介護拒否するおばあさんの様子を見に行けって依頼

岩本:うちら初任者あるし

高宮:ついでにこいつがガキ臭いから、孫と勘違いしてくれてよ楽なもんだよ笑
岩本:言い方!
2人は笑いあってたけど、何か違う気がした。

寺田:ねぇ、じゃあおばあさんから貰ったお金って?

高宮:んー、お小遣いですかね?

寺田:事業所からお金もらってるのに間違ってる!
車内で少し声を荒げてしまう。

岩本:寺田ちゃん、うちらって慈善団体じゃないんだよ。対価はきちんと回収する。それにおばあさんになんて言うの?実は××じゃありませんーって?

そう言われると、何も言えなかった。あのおばあさんは2人と話してる時笑顔だったから

高宮:うちの仕事は難しいから仕方ないですよ、ほら次行くよ
また、優しくアクセルを踏んでいく

2件目は、学校から依頼された交通安全員の仕事だった。

高宮:チャキチャキ歩けーガキどもー!

岩本:走んないでー

何度もこの仕事をしてるみたいで慣れた手つきで誘導していた。
その頃私は・・・。 各階のトイレットペーパーを補充して、図書室の返却本を整理していた。

寺田:何か違う気がするー!!

~~
寺田が学校中を走り回っていた頃社長室(まいの部屋)で○○と白石麻衣は言い合いをしていた。

白石:そんなの許可できる訳ないじゃない!冗談でもやめてよ!!

○○:冗談じゃねぇ、腹くくれよ麻衣!ここで蹴り付けなきゃいけないんだ!・・・頼む。

麻衣:やだ!認めないから!!出てってよ・・・。

○○は麻衣の机に書類を置き、静かに出てった。

社長室を出ると、山崎が○○の前に立っていた。

○○:山崎か、どうした?

山崎:お嬢との声うるさすぎです。まぁ寺田ちゃんが居ないから聞かれてまずい訳じゃないんですけどね。

○○:すまない。
山崎の隣をすりぬける。

山崎:○○さん!死なないで・・・また北見と焼肉行きましょ!

○○は笑顔で振返り手をあげた

山崎:ずるすぎますよ、○○さん
山崎の目には涙が溜まり、こぼれ落ちていた。

北見:崎、○○さんは死なせねぇ。俺達が死なせねぇよ。
そっと抱きしめた。

山崎:辞めてよ。梅に悪い・・・。

北見:気遣いすぎな笑
泣き顔はより、北見の胸を汚した。

山崎:○○さんは死ぬ気かな・・・?

北見:死なせねぇよ、もう誰も・・・。

落ち着いた山崎は北見の胸から離れて北見の後ろ姿をみた。
山崎:・・・焼肉でいいから定例会

北見:・・・あぁ!

山崎:死亡フラグじゃないからね!!

北見:不吉なこと言うんじゃねぇ!!

~~
??:奴らに私は殺せませんよ、ただ1人厄介な奴がいましてね。

??:誰だ、申せ渡よ。

奥宮:貴方のご子息ですよ。悠哉さん

悠哉:我を喰うは鈴木の子伜よ。我が坊では無い

奥宮:○○は動けんよ、白石が頷かん

悠哉:足元を掬われんことだな

悠哉:・・・鬼は果たして鬼の子を産んだか?

奥宮:鬼の親玉が何をおっしゃるか…

悠哉:持っておけ・・・
ドスッと拳銃を投げる。

奥宮:9割、ご子息に向けるが良いのですか?

悠哉:ふんっ、好きにしろ

奥宮:では、また・・・。
不吉な笑みを浮かべ、白昼の光へと消えていく。

~~
悠里:今日はやけにこっちに振られるな…。

悠樹:ほんとそれなー!寺田ちゃんやってくれたなぁ笑
午前中から山のように振られた営業の依頼を2人はせっせと処理をする。

悠樹:これ、確認して先方アポ取ってー

悠里:わかった。

悠樹:次、これあるから早めにね。

悠里は安心していた、このまま忙殺されておけば時間が稼げる。

悠樹:てか、悠里ー!未入金の件片付いてんのか?

悠里:さすが、渡さんだな。綺麗そのものだ・・・。

悠樹:そっかー!やっぱあのおっさん、足つかねぇかー笑

悠里:・・・嬉しそうだな

悠樹:当たり前だろ?だって消すのはクソ親父だけになったわけだからなー!
悠樹は、そういうと悠里に飛びかかった。

悠里:・・・チッ
咄嗟に飛び退き躱すが、頬からは血が出た。

悠樹:悠里ー、親父が絡んでんなら早めに言えよな笑

悠樹:あれをやんのは○○さんじゃねぇ・・・俺だ!
兄弟はお互いに相対した。

~~
学校での雑務を終えた3人は、校長に請求書を渡して車に戻った。

高宮:ここからは2手に別れよう

岩本:寺田ちゃんはうちとねーw

寺田:うん、わかった。

高宮:どこで降ろそうか?

岩本:服屋の前、んー、寺田ちゃんもお着替えねw
到着したのは古着屋の前だった。

寺田:これでいいかな?
試着室を出て、岩本に確認をとる。

岩本:えっ、ちょーかわいー!!

こんなやり取りを約5分行い、上下セットを揃えて街に出た。

高宮T:岩本聞こえる?

岩本T:よきよー

高宮T:じゃあ、初めはあの右斜め前のおっさんだな

岩本T:り!

岩本はターゲットといった男にぶつかり腕を組んで何かを話していた。 そして仲良さそうに7歩ほど歩き、私を見つけて手を振ってきてこっちに走ってきた。

岩本:あい、いっちょあがりぃ

寺田:え?どーゆーこと?

岩本T:いけたよねぇ

高宮T:あたぼーよ!

寺田:えっ、何したの?

岩本:んー、浮気写真の捏造w

寺田:えー!なにそれ?

岩本:もう既にやっちゃってる奥さんがなりふり構ってらんなくての最終手段、割いいんだよねー

高宮T:すまないが俺はここまでだあと8枚上手くやってくれ

岩本T:はーい蜂の巣駆除ふぁー

高宮くんはそう言い残し何でも屋っぽい仕事をしに行った。
私たちは、ただひたすらに男にぶつかりある時はストーカーが怖いある時は足をくじいたと言い訳して着々と積上げた。

岩本:まぁ、こんなもんでしょ。寺田ちゃんセンスあるぅw

寺田:人として何かを失った気がするよ・・・笑
苦笑いで岩本の会話を終わらせる。

~~
ドゴォッバキッボコッ
悠里:・・・黙って寝とけ。

悠樹:ははっ、やるねぇ!
目を輝かせて向かってくる悠樹、相手が血を分けた悠里であってもキレは落ちない。むしろスピードはどんどん上がる

悠里:チィッ・・・
悠樹はスピードに乗って手数を上げてくる。悠里はギアを上げるしかなかった。

??:いい加減にしろ!
2人の腕と首をつかみ自由を奪った。

??を見た悠里は笑みを浮かべ
悠里:・・・○○さん痛いっす

悠樹:へぇ、ガキ扱いしちゃうんだ?笑
○○相手にもやる気満々の悠樹

○○:悠樹、俺をやれなきゃてめぇは悠哉さんに勝てねぇよ。

悠樹:前哨戦だよ!
飛びかかった悠樹を○○は軽くいなし最後○○は右足を悠樹の左側頭部に蹴りを入れてノックアウトした。

悠里:衰えて無いですね・・・。○○さん

○○:あぁ、ありがたいことにな

伸びた悠樹をそのままに2人は部屋を後にした。

~~
○○の執務室
悠里:やはりお嬢の許可は・・・。

○○:貰えなかった。

○○:けど言ったろ?貰えなくてもやるって、俺はお前に付き合うよ
○○の笑顔がやけに明るかった。

・・・コンコン
「・・・失礼します」

○○:居るよ

??:・・・お邪魔します

~~
岩本:はいこれね、アングル的におすすめは・・・。

駅前のカフェで岩本と寺田はカウンターに座り、大人しそうな女の人に浮気写真を売りつけてた

女:じゃあ・・・この写真で
1枚の写真を指さす。

岩本:あいよーエアドロで送ると面倒だからこれ
封筒を机の上に置いて、代わりに封筒を受け取った。

岩本:終わったー!
店を出た2人は封筒の中身をチェックして岩本さんは嬉しそうに終業を宣言した時間は17時を少し過ぎた頃。

今から戻って北見さんに報告して今日の業務は終わりだ。
寺田は初めての業務、いや初めての行為に疲れていた

岩本:タクろっかー!
流しのタクシーを捕まえて会社に戻った2人だった。

寺田:ただいま戻りましたー

山崎:おつかれー、どうだった?2人の仕事は

寺田:私には出来ないです・・・。

山崎:私も初日はそんなんだったよ

岩本:崎さんより、上手かったですけどねーw

山崎:ほんとに?それはすごいな

岩本:あれ?きたみんは?
センター長の北見を探す。

「ねぇ!あっくんはどこ?」
すごい勢いで、梅澤さんが入ってきた。

梅澤:ねぇ、あっくんは?
山崎さんの胸ぐらを掴んで聞く

山崎:・・・ごめん、止めなきゃなのに・・・行かせちゃった。○○さんのとこ・・・。

梅澤:なんで?もうあんな危険なことさせないって言ったよね!

岩本:梅!
激高する梅澤を制止する

岩本:寺田ちゃん聞いちゃってるし、とりあえず落ち着こ・・・

うなだれるように、空いた北見さんのデスクに座る梅澤さん。私はただ見てるしか出来なかった。

高宮:てでーまー!

岩本:おつかれ・・・。

高宮:おい・・・北見さんは?

岩本:状況見ろよ・・・ばか

高宮くんは飛び出ていく

ただ事じゃないことだけわかったけど、自分は何もわからない。けど知りたくて口を開いた
寺田:北見さんは?○○さんと何をしに行ったんですか?

口を開けたのは梅澤さんだった。
梅澤:・・・月の仕事だと思う。

寺田:月の仕事?

岩本:今日の仕事は太陽なんだよ・・・その反対

山崎:わかりやすく言うと、人前に晒すことの出来ない仕事・・・。

寺田:・・・それって

??:そっから先は、まだ知らなくていいよ笑

全員:お疲れ様です。秀一さん!

秀一:・・・みんな今回のことはすまない
秀一はみんなの前で頭を下げた。

秀一:・・・月見は満月にしなきゃ

秀一:満ちてない月は、汚く不格好だ。今日の○○達の仕事はそんな感じだ・・・。

梅澤:それって、あっくんはどうなるんですか?!

秀一:梅ちゃんが思うより北見の意思は固い。もう奴は○○から離れる気がねぇよ・・・

秀一:寺田ちゃんは悠樹の所に行ってくれ、伊藤がそばにいる

秀一:月の欠片は悠樹だ、だから絶対に悠樹を一人にしないでくれ・・・頼む

秀一さんの言葉はわからなかったが行かなきゃいけないと思って、私は走った。

秀一:梅ちゃん、崎ちゃん。北見は死なねぇ・・・○○が死なせねぇよ
それを告げて、秀一はセンターから出ていった。

~~
秀一がセンターに入る2時間前北見と秀一は2人で社内唯一の喫煙部屋に居た。

北見:秀一さんは、いつもここに居ますね笑

秀一:ここが、1番落ち着くんだよ笑

北見:1本くれません?

秀一:梅ちゃんと付き合って辞めたんじゃねぇのかよ
赤マルを手渡す。

北見:辞める辞める詐欺ですよ。

秀一:北見、梅ちゃんのこと泣かすなよ

北見:何度泣かしたか秀一さんもでしょ何回お嬢泣かしたんですか?

秀一:あいつは腹減っても泣くから数えてねぇ

秀一:俺は、お前を止めれねぇよ・・・だから死ぬな。今回の的はもお前より強い

北見:焼肉行かなきゃなんで死ねません

秀一:じゃあ・・・死ねねぇな笑

北見:えぇ
2人はタバコを吸い部屋を出た。

~~
コンコン
北見:失礼します

○○:居るよ

北見:・・・お邪魔します。水臭いですよ俺抜きで楽しそうなことしちゃって

悠里:いいのか?

北見:俺だって月組ですから・・・。
決意を込めた目で2人を見た。

○○:あぁ!

北見:んで、ターゲットは誰なんです?

○○:上谷悠哉
低く、確かな殺意を込めて○○は告げる。

北見:・・・へぇ、俺らを作った人が俺らにやられる訳だ

悠里:あぁ

北見:○○さん、策はあるんでしょ

○○:北見が来て、策ができたよ

北見:○○さん、絶対生きて帰るよ
○○はうなずき、2人に視線を合わせる。

○○:悠里の情報によれば・・・
上谷悠哉は用心深く、見通しの悪い道を歩かない。ただ1箇所自宅まで28mの地点のみ三叉路を渡る、ここに各々が伏せて刺し切る。
これが○○の用意した策だった。

○○:ルールはただ1つ、一太刀でで終わらせろ防がれたら引け!

北・里:承知!

3人はコートを着替え日本刀を持って玄関を出ようとする。
そこに白石が立っていた。

白石:○○!ねぇ行かないで!
泣きそうな声で○○達を止める。

○○:・・・すぐ戻る。
止まることなく、すぐ横を通り過ぎる。

白石:やだ!
○○の背中に飛びつく白石

○○:やめろって親友の彼女を寝取る性癖はないんだから、な笑
振り返り白石の頭に手を置く

○○:じゃあな
3人は音も立てず、玄関を出て行った。

出て行った3人はそれぞれバイクに跨り現地を目指す。

北見:○○さんのブルバード久しぶりに見たけど厳ついなぁ

○○:お前はハーレー以外にも興味をもて

悠里:言えてる

3人とも死ぬ気である。今回のターゲットは上谷悠哉、かつて一度だけ○○達が全員で束になってかかった時もあしらった程の剛の者でありその際は木刀でも今回は真剣でやり合うと言うのだ。死ぬ前の走馬灯の如く風を浴びて死に場所に向かった。

~~
コンコンコン
寺田:失礼します

伊藤:空いてるよー

寺田:・・・えっ

伊藤の膝の上には、本当に生きているのか不思議なほど美しい顔で寝ている悠樹がいた。
伊藤:役得ってやつー・・・

普段の伊藤さんの声じゃない。事の大きさがゆっくりと実感を持って寺田を襲った。

伊藤:悠樹くんさー、○○さんに思っきり蹴り食らって伸びてんの。

寺田:○○さんに?

伊藤:・・・うん。○○さんに言われたんだ

〜回想〜
○○:伊藤、悠樹を頼むわ。

伊藤:えっ?

○○:・・・あいつを1人にするな
〜〜

寺田:・・・秀一さんも悠里くんも言ってた

伊藤:なんだかんだ仲良い兄弟だよねー笑

悠樹:・・・仲良くないよ

寺田:起きた!!

悠樹:ちょっと前に起きてたけど、これ以上聞いたら恥ずか死ぬから

悠樹:寺田ちゃん、3億回収しに行こうか笑

寺田:えっ。どういうこと?

伊藤:もう大丈夫だね?

悠樹:あっちは○○さんに任せるよ

悠樹:あと、りりちゃんの太もも最高だった!またやって笑

伊藤:生きて帰ってきたら蘭世ちゃんとしてあげる笑

悠樹:じゃあ、今日は2人とも・・・笑

軽いやり取りにこっちも気が軽くなった。
悠樹:じゃあ、行こっか

私は頷き、理々杏さんに手を振って部屋を出た

悠樹くんと一緒に会社を出た私は2人でバイクに乗って走っていた。

寺田:ねぇ、今からどこいくの?

悠樹:きっと、○○さん達は渡さんの方じゃない俺たちは渡さんを足止めする。

悠樹:渡さんは黒だ、けど○○さん達は渡さんをやれない・・・。だから俺が処理する。

悠樹と共に着いたのはタワーマンションの前だった。

寺田:ここは?

悠樹:渡さんの家、ここに3億も眠ってるって訳

??:遅いっすよ、悠樹さん

寺田:・・・えっ、高宮くん?

高宮:あーおつかれっす。いいんすか?
悠樹に確認する。

悠樹:あぁ、この子の仕事だしな
さらっと流す。

~~
三叉路に到着した○○達3人はそれぞれ配置についた。

一撃目は中央の悠里である。
○○:中央は一撃目で躱される可能性が高いその後悠哉さんの居合が飛んでくる・・・ここは俺が

悠里:・・・俺がやる

決意の目は○○と北見を納得させるには十分だった 。

北見:悠里さん、死んじゃダメっすよ

それぞれが配置に付き30分が経った頃、上谷悠哉は三叉路手前の信号に姿を見せた。 こういう時死線をくぐった奴らは意識がリンクする。
まさに3人はその状態であった。
悠里は信号から見えない位置に下がり、北見、○○も阿吽の呼吸にて呼応した。

上谷悠哉がカウントダウンの様に青信号を渡ってきた。
2月の深夜、街灯も無い路地にて悠里の一閃が音もなく上谷悠哉を襲った。

悠哉:ぐふっ・・・

悠里は仕留めたことを確認せずそのまま三叉路を駆け抜けた。

2撃目の○○が寄せた時悠哉は日本刀を抜き打った。
○○:・・・バケモンかよ

悠哉:やはりお前か・・・鈴木の子倅

○○も悠里同様音もなく悠哉に襲いかかった。
まともにやれば勝ち目はない。

○○は仕留め切りたかったが ○○の一閃は悠哉の左腕を切り落とした。 ○○:チッ・・・
駆け抜ける○○。

悠哉は○○を見て
悠哉:欲をかかんか鬼よのぉ・・・

と呟き膝から崩れ落ちた。

3撃目の北見は2人とは違い抜き身の白刃を悠哉の右腰に突き立てた。
その刹那右腕1本で北見の脇腹を悠哉の日本刀が切り裂いた。

北見:ぐふっ・・・ってぇ・・・。

悠樹:儂なら詰めは子倅じゃな地獄の友にしては格落ちだがここで死ねぇ

北見は、その瞬間に突き立てた日本刀を抜いた。
抜くと同時に悠哉の体から大量の血が吹き出して倒れた。

北見は息をしてないことを確認してその場を駆けた。

悠里:やったか・・・。

○○:北見が来るまではまだだ

遠くから脇腹を抑えた北見が走ってきた。
北見:はぁはぁ・・・やりましたよ○○さん

○○:それより傷は?

北見:こんなもん・・・唾つけとけば治りますよ
想定よりも深く血が出ており○○はあせる。

○○:しゃべんな!
○○は北見の刀創の上に自分の着ていたコートを巻き付けて縛った。
悠里もバイクを寄せてきた。

○○:とにかく戻るぞ!梅・・・いや伊藤に美彩の手配させろ

悠里:既に
北見をバイクの後ろに乗せてつぶやく


2人はフルスロットルで夜の街を駆け抜けた。

~~
○○達が、悠哉と対峙する頃悠樹は最上階の奥宮渡の部屋にいた。

寺田:きゃぁぁぁっ

悠樹:消されたね。しかも渡さんだけ

高宮:3億の袋詰め終えてます

悠樹:この傷口・・・まさかね笑

高宮:・・・ほとんど返り血は浴びてないでしょう。こんなことできるのって

寺田:し、死んでるんですよ。すぐに警察を

悠樹:それは、必要ないかな笑生きてたら俺がやってたし
あっけらかんとつげる。

悠樹:高宮ぁこれ誰がやったと思う?

高宮:こんなことができるのは○○さんとあの人以外にいませんよ

私は、この現状をただ呆然と見つめることしか出来なかった。

悠樹:とにかく、俺らのミッションはクリアだ。俺は秀一さんに連絡してから帰るから高宮は寺田ちゃんと帰りな

~~
??:…あいしてーるーのひびーきだけで…強くーなれーるき…あはは

??:もしもーし、お久しぶりですね悠樹さんっ♪

悠樹:珍しいね、いつもは出ないのに笑

??:きっと、悠樹さんが見つけてくれると思ったから笑

悠樹:大手を振って会えないのが残念だよ笑

??:わかってて、高宮たち逃がしたんでしょ笑

悠樹:邪魔だからね、それに君は俺の数少ない本気を出せる相手だから笑

??:ははっ、けどね・・・パンっ」

悠樹:おいおい・・・用意周到だね秀一さん
悠樹はそっと終話ボタンを押した。

秀一:お前が糸を引いてたのか!

??:そうだよ○○に言うの?笑

秀一:お前を殺してな!

??:秀一さんじゃテンション上がんないなぁ笑
??は高層ビルから飛び降りて姿を消した。

秀一:ちくしょう!
逃げる??を見つめて秀一は欄干を叩いた。

~~
会社に戻った○○達は一目散に救護室と書かれた部屋に北見を担ぎこんだ。

○○:衛藤!どうにかしろ!

衛藤:無茶言わないしこの程度じゃ死なないわ!

○○:いいから3分で治せ!

衛藤:って言われてるわよ北見くん

北見:3時間は欲しいッスね笑
北見の軽口に落ち着いた○○。

○○:わかった、3時間で治せ

悠里:恐らく塞がるまで3日は

○○:うるせぇ!普段喋んないくせにこんな時だけペラペラと

ドタドタ・・・
あっくん!!

北見:ってぇぇー!

梅澤:・・・よかったぁぁ

北見:一応・・・けが人な
抱きつく梅澤の頭をなでる。

その様子を見ながら一緒に来ていた山崎に声をかける。
○○:・・・山崎、焼肉屋予約しとけよ

山崎:はい!

岩本:○○さん!高宮は?一緒じゃないの?

○○:・・・おれの読みが正しければあいつは悠樹と一緒だ

岩本:・・・怪我してないかな?

○○:恐らくあっちは、怪我してないよ

寺・高:ただいまー(てでーまー)

岩本:たかみやぁ
ぎゅっ

あぁ、ここはやっぱりそうなんだ

高宮:離れろ!鬱陶しい!!

これ、岩本ちゃんの片思いかぁって微笑んでたら○○さんが近づいてきて

○○:怪我はないか?

寺田:・・・はい、でも行った時には奥宮さんは

○○:まずは休め、死体を見たんだ

高宮達の帰還から遅れること45分悠樹と秀一が戻ってきた。

もう、夜も23時過ぎなのにみんな残って待ってた。 みんな悠樹さんと、急に居なくなった秀一さんを心配してたし秀一さんと○○さんは2人でどっかに行ったのをみんな見逃してはなかった。

治療を終えた、北見さんと梅澤さんが皆の元に集まった時に北見さんが高宮くんに聞いた

北見:渡さんはどうなった?

高宮:こっちは1番後味悪いっすよ・・・行ったら仏でした。

悠樹:しかも、実行犯はアイツだ俺らにわかるようにやってやがったよ笑

北見:次から次にですね

みんなが重い空気の中、白石さんが集まってる所に来た。

白石:・・・みんなごめんなさい。もうみんなをこんな目にあわせたくなかったのに私が止めれなくて・・・。

悠樹:まぁ、俺らの運命ってやつっすよお嬢笑

高宮:頑張ったんで、おっぱい揉ませてください笑

みんなが笑ってた。

秀一:誰の彼女のおっパイ揉むって?

高宮:あの、ゴミヘビースモーカーの彼女っす笑
言った2秒後、高宮くんの顔色が青紫色に変わっていったのはあの時が初めてだった。

みんなで一通り笑ったあと、秀一さんは全員に話し始めた。

秀一:渡さんが死んだ、今回渡さんは背信行為に横領という会社では有り得ない罪を犯していたが、やはり世話になった恩人だからKYGとして送り出してやりたい。今回のことはここにいるヤツらの胸に秘めてくれ・・・。

秀一さんが頭を下げ、渡さんはKYGとして社葬を執り行われることが決まった。

奥宮さんと共に今回処理をされた上谷悠哉に関しては、上谷兄弟が喪主となりひっそりと送り出されるとのこと。

私はそれぞれの葬儀にかかる予算の算出を行うことになり、伊藤さん梅澤さんと泊まり込みでの計算となった。

○○:秀、これで終わった訳がないよな・・・。

秀一:気付いてたのか?

○○:・・・??は確実に仕留めたんだけどな

秀一:しばらくは身を隠すだろ

○○:・・・事がここまでになれば、あいつを戻すぞ

秀一:唯か・・・。

○○:あいつは前回の件であっち側だと思われてる。

秀一:しゃぁねえだろ、家族があっち側なんだからよ

○○:ただ、あいつは必要だ。

秀一:??をやるためか?

○○:あぁ次は必ず・・・。史緒里の仇を・・・。
2人は、会社の喫煙ルームで決意を固めた。

To Be Continued








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